第15話 ギルドランクアップ
再度ログインしてからも料理を作り続けてようやく羊肉と山羊肉を全て消費しきった。出来た料理の数は126個でQuは全てE。ずっとQuがEのままだったから、下処理の仕方をちょくちょく変えてみたのだけど変化はなかった。
これでウルフ肉を使って作った分を合わせると189個。依頼一回分で3個必要になるから、丁度63回分の個数になった。これを納品すれば、おそらくギルドランクがDになるはず。
そう言うことで作った料理を納品してこよう。
「すいません。依頼の納品を」
「はい。えーと、ああ、料理の納品依頼ですね。どうぞこちらに納品するアイテムを移してください」
依頼のボードから料理の納品の依頼の紙を剥がして受付に出すと、納品用のボードを受付の人が出してきた。それにウィンドウを操作してインベントリから料理を移す。
「ええっと、全部で189個ですね。過剰分に関しては追加分として換算しますか?」
「別依頼扱いで願いします」
「了解しました。でしたら63回分の依頼を達成ということで処理します。それで、依頼の達成報酬は合計で79320ASになります。ASはギルド金庫に預けますか?」
「え、あ。50000ASは預けます」
「了解しました」
受付の人がそう言うと同時に私のステータスウィンドウ上に表示されていた所持ASに、預けた50000ASを引いた額が追加される。これで所持金が40000ASを越えたのだけど、もう少し預けた方が良かったかもしれない。まあ、委託とかでまたアイテムを買うだろうから大丈夫かな?
「それと今回の依頼を達成した際のギルド貢献ポイントの獲得により条件を満たしましたので、ギルドランクをDランクに上げるランクアップ試験を受けることが可能になりました」
「試験?」
試験…、Eランクに上がった時は特に試験とかは無かったのだけど、Dランクに上がる時はあるのか。まあ、生産工房が使えるようになるくらいだから、受けられる特典がEランクとDランクで大きく違うのかもしれない。
「試験といってもアユさんの場合はJOBが生産職である錬金師なので、【錬金】系のスキルで作製した特定のアイテムを納品することで試験は終了となります。納品するアイテムに関しては試験を受けてからの説明になります」
「なるほど。その試験は何処で受け…たらいいのですか?」
JOBの転職の時と同じ感じでやるのかな? あの時は見せただけだったけど、今回はそれを納品する形という事かな。
「試験の受付はここで行いますが、試験を受けますか」
「…はい」
いきなり試験と言われて戸惑う部分もあるけれど、どの道試験を受けないとギルドランクは上がらないのだから受ける以外に選択肢はないよね。
「では、試験の内容は【錬金】系のスキルで作製したRa:C以上、Qu:C以上のアイテムを10個以上納品となります。これはギルド貢献ポイントの獲得はできませんが一応依頼扱いになりますので、達成した際に相応のASの報酬が発生します」
納品のアイテムは転職の時に見せた物と同じだな。という事は今持っているポーションを納品するだけで達成になるのかな。ポーションならまた作ればいいし、今すぐに終わるから楽でいいのだけれど。
「納品は今でも大丈夫…ですか?」
「条件を満たした物であれば問題はありませんね」
「じゃあ、今納品します」
「了解しました。ギルドカードと納品するアイテムをこちらにお願いします」
受付の人はそう言って受付のカウンターに箱というよりはお盆に近い様なものを出して、そこに納品するアイテムを出すように指示して来た。普通の納品依頼とは違ってインベントリから出す必要があるのか。やっていることは同じな気がするけれど、試験であるから直接受付の人が確認する仕様になっているのかもしれない。
それほど手間という訳でもないから指示通りに初級ポーションを出していく。最後にギルドカードを出すと受付の人は先にギルドカードを受け取り、その後に初級ポーションの確認をし始めた。
「初級ポーションですね。Raの方は問題ないとして、Quは…Cですね。作製者の方も問題なし。数も指定した数がありますので、試験は達成となります。おめでとうございます。これでアユさんのギルドランクはDになりました。ギルドランクがDとなりましたので、いくつか特典が発生しますが、それについての説明は必要ですか?」
「お願いします」
「ギルドランクがDになったことで受けられる特典は4つになります。1つ目は委託取引の際の手数料が10%から8%に引き下げられます。これは総合委託取引、専用委託取引の両方に適応されます。ただし、ランクアップ前に取引が完了したアイテムに関しては、ランクアップ前の手数料となりますのでその辺りはご注意ください」
委託の手数料が減るのは嬉しいけど2%か。現状だと塵も積もればって感じかなぁ。アイテム1個当たりのSASが上がれば大きいのだろうけど、私が今まで委託に流していた物ってそんなに高くないから、そんなにって感じだ。一番高いのでこの前流した毒の短剣だしね。
「2つ目と3つ目はギルド内に設置されている生産工房の使用許可と訓練設備の使用許可になります。アユさんに関係するのは生産工房になりますが、そちらの使用方法は生産施設の受付での確認となります。訓練設備に関してはここで利用の受付をしていますので、利用の際はこちらに声を掛けて頂ければ案内いたします」
「わかりました」
訓練設備が少し気になるけれど、訓練ってある以上戦闘系のスキルを上げるたり練習するための施設っぽいから現状使う予定はないし、後からでも聞けるみたいだから今はいいかな。
「最後の1つは使用できるギルド倉庫枠の拡張ですね。Dランクに上がったことで最大150枠まで使用できるようになります。説明は以上になりますが、質問はありますか?」
「…大丈夫です」
おお! ギルド倉庫の枠が50も増えるだと!? 料理をする際に邪魔なアイテムを預けた段階で残りの枠が数枠しかなかったから、これは純粋に嬉しい。
でもまあ、ギルド倉庫に関しては後でも確認が出来るから後に回して、今納品した分のポーションを補給したいし、生産工房の確認もしたい。
「では、ギルドランクアップに関する説明は以上になります。それとギルドカードを返却しますね」
「ありがとうございます」
ギルドカードを受け取り、用も済んだので受付の人に会釈して受付を離れる。そしてそのまま生産施設の受付に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます