第14話 料理、料理。ただし、塩味のみ

 

 とりあえず、ウサギ肉は全て消費した。出来上がった物のQuは殆どがDで、もう少しQuを上げようと工夫している時に出来たQu:Eが少しあるくらい。どうやら今使っている素材のQuなのか素材の種類の影響、もしくは生産装備による制限でQu:D以上は出来ないようだ。


 そしてありがたいことに同じ料理、且つ同じQuであれば重ねてインベントリに入れられるようで、残りの枠の心配が少なくて済んだ。


【料理】スキルの熟練度はウサギ肉を全て消費してようやく30%に届いたくらい。これが早いのかどうかはわからないけれど、3時間掛からないくらいでここまで上がったと考えれば、まあ順調…なのかもしれない。


 ついでに、納品の関係で一つだけウルフ肉を使ってみた所出来たのがこれ。


[(アイテム・料理)ウルフ肉の香実焼 Ra:C Qu:F SAS:360]

 ウルフ肉に下ごしらえを施してから焼いた料理。下ごしらえの際にスパイスシードを使用しているため肉の臭みが薄れ、少し食べやすくなっている。最低限の味付けであるため肉本来の味も楽しめる一品。

 製作者:秘匿


 アイテムの説明を読んで、うーん、って感じ。SASに関してはウサギ肉を使った物よりも高い。ただ、説明文にある臭みが薄れ、という部分がなぁ。おそらくウルフ肉をよりおいしくするには材料不足という事なのかもしれない。もしくはウルフ肉その物のQuが低い。


 さらに言うと、見た目はそこまでおいしそうでもない。見た感じ若干パサついているし、固そう。これを見る限りウルフ肉は煮込むなり、たれを絡めて焼いたりした方が向いている感じもする。


 そして、これに関しては私も味見をしていない。いや、焼いている時から独特の匂いがして、それがあまり好みではなかったのですよ。作ったからには味見をした方が良いのは理解しているのだけど、少し身構えると言うか、たぶん味自体は悪くないとは思うのだけど匂いがちょっと。いっその事、兄を毒見役にするのもありかもしれない。


 まあ、どうあれ依頼の条件は満たしているから、このまま納品するのだけどね。味見怖い。


 とりあえず、今出来上がっている料理を納品してこよう。ウサギ肉を使った料理が98個と、ウルフ肉を使った料理で合わせて99個だから、依頼としては33回分。その内、10回分は2回分のギルドポイントがもらえるから、実質43回分依頼を熟したことになるはずだ。


 という事で、納品してみると予想というか、依頼に書いてあった通りに43回分のギルドポイントが入ってきた。金額の方は24310AS。ASの方はいいとして、これで私の獲得したギルドポイントの合計は441になり、後59回料理の依頼を熟せば500ポイントに到達する。


 WIKIで調べた限り、総合ギルドのギルドランクをDにするにはポイントが500以上になる事と書いてあったので残り59ポイントでそこに到達することになる。料理を納品するのなら59回分で177個必要だ。まあ、これくらいなら今日中には終わるのでさっさと終わらせてしまおう。



 また生産施設に戻って料理をしていく。使う素材はまあ、ウルフ肉でそれが無くなり次第、羊肉か山羊肉にしよう。もともとウルフ肉はそれほど多くないし、正直私は食べるつもりが無いのでさっさと料理にして在庫処分してしまおう。


 ウルフ肉を料理していき、インベントリにしまっていく。何個かはQuが上がらないかの確認をするために違う処理の仕方をしてみたものの、脂身を減らし薄切りにしてみることでようやくQu:Eにすることが出来たくらいで、結果は良いとは言えない。それに、それをしていると処理に時間が掛かるため、料理したうちの半分程度しかその処理はしていない。


 ウルフ肉が無くなったので、次に山羊肉よりも数が少ない羊肉を料理していくのだけど、この羊肉ってラムなのかマトンなのか、そもそもどこの部位なのかもわからない。他の肉もそうだけど部位によって癖が変わるからどこの部位かがわかると良いのだけどね。


 ドロップ元の羊は見た目から成獣なのはわかっている。ただ、それが雄なのか雌なのかで肉質が変わるしなぁ。それにジンギスカン…をするにも野菜が無いし、フライパンしか料理道具が無いのもあれだよね。


 やっぱりウルフ肉と同じような処理をして焼いて行くしかないのか。

 うーむ、まあ、スキルの熟練度を上げるのとギルドポイントを稼ぐためと割り切ってやるか。どの道調味料も塩と胡椒しかないし、工夫するにも限界があるよね。


 試しに焼いてみよう。まあ、一々味見をする必要は無いのだから失敗しなければいいくらいの感じでやればいいか。食べられそうだったら味見はするけれどね。


 羊肉を薄めに切って、塩と胡椒を振りかける。スパイスシードは先に油を引いたフライパンに投入しておいて油に香りを移しておく。そして味付けした羊肉を入れる。薄くした分焼けるのが早いから気を付けてまんべんなく焼いて行く。

 焼いている時の匂いはスパイスシードを先に入れていたからかそこまではしない。全くしないと言うことは無いのだけど、このくらいなら問題なく食べられそうな範囲かな。


[(アイテム・料理)羊肉の香実焼 Ra:C Qu:E SAS:440]

 羊肉を薄くスライスしてから焼いた料理。焼く際にスパイスシードの香りを油に移してから焼いたため肉の臭みは殆どなく、食べやすくなっている。最低限の味付けであるため肉本来の味も楽しめる一品。

 製作者:秘匿


 出来上がった物はウルフ肉のものとそう変わらない。同じQuのウルフ肉のSASが420だから、若干ウルフよりも高い感じか。そして説明文を読む限り、ウルフ肉よりは匂いの処理が上手くいっているらしく、臭みは殆どなく、という文言が入っている。これなら味見をしても十分食べられる気がするね。


 それで食べてみたけど、味はまあ塩と胡椒だからそこはいいとして、臭みは大分薄くなっているのかな。何もしないで焼いた物を食べていないから比較できないけど、リアルの羊肉と同じ感じだ。癖はあるけど食べられない程ではないってところか。


 こうやって食べると本当に他の調味料が欲しくなるな。残念ながら塩以外の調味料は見つかっていないから無理なのだけど、魚はあるから出汁くらいなら作れるのか。

 あ、いや、その前にフライパンしかないから煮込みは出来ないんだった。リアルだったら多少フライパンで煮込み料理を作ったりは出来るけど、ゲームだからなぁ。フライパンでやったらファンブル判定食らいそうだし、変なことはしない方が良いよね。


 肉を薄く切る分時間は掛かるけど、これで問題は無いから熟練度とギルドポイントのために数を作っていこう。


 そうして私はログアウトする時間まで料理を作り続けた。

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