第44話 (^_^)フレ(兄)に呼ばれたのでダチョウを倒しておきますね
防具屋を後にしてから、西に向かう。防具屋からは完全に反対側になってしまうので時間の無駄になってしまうけど、セントリウスとウエストリアの間にはエリアBOSSが居るので今日中に倒しておきたい。
セントリウスの街中を駆け抜ける。当然周囲には気を使って全力では走っていないし、人とかにぶつからない様に【感知】も使っている。街中を端から端まで移動する形になるので2時間近くは掛かることになるけど、外周を回って行けばさらに時間が掛かるのだからこれでも早い方だと思う。
夜だから馬車や人の姿はほとんどない。おかげて減速することなく走り続けることが出来るから、思ったよりも早くセントリウスの西門に着きそうだ。
1時間半ほどで西門を通過した。門にいた軍人らしき人に1回止められたけど、今の時間から外に行くのは危ないぞと注意されただけでそれ以上はなかった。この時間に外に行って何かあったら自己責任と言うことだろう。
西門を出て、両側に草が生い茂る道に沿って進むこと2時間。途中プラインウルフの群れが襲ってきたけど所詮はLV一桁だったので【闇魔術】を使って一掃した。
道沿いの少し向こうに開けた場所が見えて来た。おそらくあそこがBOSSエリアになるのだろう。BOSSエリアに入る前に休憩を取るために一旦足を止める。掲示板で確認した限りここで出るのはダチョウ型のBOSS。
どうやら戦闘開始と同時に一気に近付いて来て蹴り殺されるらしい。しかもどう判断しているのかはわからないけど、後衛と言うか魔術師系を真っ先に狙ってくるとのこと。私はソロだから関係ないけど、戦闘開始直後は回避行動を取れるようにしないと無駄にダメージを受けてしまうから気を付けないと。
【闇魔術】や【感知】で使ったMPも完全に回復したし、そろそろBOSSエリアに入ろう。私は道を進んで草が生い茂っていない開けた場所に入って行った。
『アナウンス
エリアBOSSの戦闘フィールドに入りました。これからエリアBOSS:【蹴撃のオルグリッチ】との戦闘が始まります』
エリアが切り替わる。それと同時に少し離れたところにいた影が高速でこちらに迫ってくる。迫りくる影が何なのかを完全に捉える前にそれは数メートル先までに迫ってきていた。
「クギョアアアッ!!」
「っ! シャドウダイブ!」
いきなり来るのは知っていたけど、まさかこんな速攻だなんて思っていなかったから危なく攻撃を食らうところだった。これはエリアが切り替わってすぐにシャドウダイブをチャージしていなかったら躱せなかったかもしれない。準備しといて正解だった。
ダチョウと思われる影が通り過ぎたのを確認して直ぐに影から出て、その影の主と対峙する。影はやはりダチョウだった。見た目は普通のダチョウを縦横倍くらいにしたサイズで、色は白と黒ではなく緑と黒だった。保護色とかそんな感じ? 周りは草原だし見えづらくはなりそう。サイズが小さければだけどね。
[(モンスター・BOSS)蹴撃のオルグリッチ LV:18 Att:風・毒]
HP:2600
MP:250
スキル:■
【鑑定】したらこんな感じだった。LVはダチョウの方が高いから少し格上って感じかな。それに属性に毒が入っているから【毒魔術】はあまり効かないかも。とりあえず今回は毒無しで行こう。
ダチョウはまたこっちに向かって走ってくる。かなりの速度が出ているのでAGIが低いと完全に躱すのは難しいかもしれない。ただダチョウは直線にしか走れないのか、私が身を横にずらして回避するとそのまま足を蹴り上げた状態で横を通過していった。
隙だらけなので背中?にダークランスを当てておく。バックアタック扱いになったけどさすがに10%は超えないか。ゴリラを倒した時よりもINTは上がっているし、熟練度も上がっているからダメージ量は多くなっているみたいだけど、それでも5%いってないくらい?
またダチョウが走ってくる。さっきと同じように回避っ!? えっ羽広げて来た!? ダチョウだからそんなに羽は大きくないけど、あ、これ完全に躱せないや。
うわ、少しダメージ受けてる。回避途中だったこともあり、そこからさらに回避行動が取れることもなく予想外の攻撃でダチョウの短めの羽先に掠ってしまった。ダメージ量は一桁と大したことは無いけど、なるほどこのダチョウが面倒臭いと言われるのはこう言うことか。
もともと大き目に回避していたから当たったのは羽先だけど、カウンター狙いのギリギリで躱していたら思い切り羽にぶつかって弾き飛ばされていたかもしれない。そうなったらダチョウは直ぐに攻撃してくるだろうし、サッカーボールみたいに蹴られるとかあったから回避も難しいと思う。
これからはいっそシャドウダイブで回避するべきかもしれないけど、そうすると攻撃する機会が減るんだよね。
ダークランス1発で与えられるダメージがそれなりにあるからそこまで問題ないけど、時間が掛かるとそれだけログアウトの時間が遅くなるからやっぱり早く倒したいところだ。
ん? そう言えば、ダチョウって首長いからそこに攻撃すれば怯んだりするのでは? むしろ弱点判定になってダメージ増えるかも。
とりあえずまた走ってくるダチョウを今回は羽にも気をつけて回避する。そしてダークランスをダチョウの首目掛けて放つ。
「グギョ!?」
首にダークランスが当たったダチョウは大きく体をよろめかせた。倒れることは無かったけどダチョウの上に表示されているHPバーが大分減った。【鑑定】で確認したら10%近くのダメージを与えていたようだ。
本来よりも多いダメージは与えられたけど、思ったよりダメージが伸びなかったな。ブラッドで作った短剣でゴリラの首に攻撃した時よりもダメージが大きくないし、ダメージは割合で固定なのか、それとも魔術だから?
今度はブラッドで作った短剣で攻撃してみよう。
先にブラッドを発動させて水筒の中にある魔造血液を出して短剣の形にしておく。そしてさっきと同じようにダチョウの攻撃を回避してからブラッドの短剣をダチョウの首目掛けて振り抜く。
「グギョアアァッ!」
ブラッドの短剣を首に食らったダチョウはさっきよりも大きな悲鳴を上げて地面に倒れ込んだ。どうやら魔法そのものよりも物理攻撃、この場合は斬撃の方が大きなダメージを与えられるようだ。ブラッドで作った短剣による攻撃は物理攻撃に該当するかどうかはわからない。ただ、この分だと物理攻撃扱いだと思うけどね。
倒れたダチョウ目掛けてブラッドの短剣を振るう。胴体に攻撃した場合はあまりダメージが通っていない感じだ。直ぐに攻撃を【闇魔術】に切り替える。うん、しっかりダメージが通っている。
このダチョウは首が物理で、胴体は魔術で攻撃した方が効率は良いみたいだ。
そろそろダチョウのHPが60%を……すでに下回っている!? 確かダチョウの特殊行動のタイミングは60%と40%、後はおそらく20%って掲示板に書かれていたけど、まだ特殊行動していないよね?
もしかして怯んでいる間にHP下回ると特殊行動無くなるの? それともこの後する……ような感じじゃないよね。さっきと同じように走ってきているから、もう通常攻撃に移っている感じだし。
とりあえずまた突っ込んで来るダチョウを回避して、ダークランスを首に当てておく。ダチョウはさっきと同じように悲鳴を上げてよろめいた。次はさっきとは違ってスラッシュを使って攻撃してみよう。
そしてまたダチョウがこっちに向かって走って来るのが確認できたので、ブラッドで短剣を作って準備しておく。そしてダチョウの蹴り突進を回避して、ダチョウの首に狙いを定める。
「スラッシュ」
スキルを発動させてからブラッドの短剣を振り抜く。するとダチョウの首から大量のダメージエフェクトが溢れた。おそらくスラッシュによるエフェクトだけではなく、バックアタック、弱点攻撃と見た感じクリティカルヒットも入っていそうだ。
「グギョエアアアアァッ!!」
今までで一番大きな悲鳴を上げてダチョウは地面に倒れた。HPの方は……は? え、ちょっと待って残り10%切ってる? 噓でしょ?
あ、いやでも通常攻撃でも20%くらいダメージ与えていたから、スラッシュとクリティカルでダメージ量プラス50%と50%で2倍のダメージになったと。確かにダチョウのHPは半分切ってたからそんなに変じゃない…よね?
いやまずはダメージを与えて行こう。多分起き上がる前には倒せるはずだから。
そしてダチョウが倒れている間にダークランスとダークボールを当てたことで、ダチョウは倒れたままポリゴンになって消えていった。
『アナウンス
ウエストリア―第2エリア間のエリアBOSS【蹴撃のオルグリッチ】の討伐に成功しました。これによりウエストリアと第2エリアの行き来が可能となります。ギルドカードにウエストリア―セントリウス通行証が追加されました。
アナウンス
エリアBOSS【蹴撃のオルグリッチ】をプレイヤーの中で初めてソロ討伐しました。討伐時間00:4:24。
それにより討伐特典としてSTP6・SKP5、緑黒色の羽飾りを獲得しました』
≪ワールドアナウンス
エリアBOSS【蹴撃のオルグリッチ】がプレイヤーによって初めてソロ討伐されました≫
ワールドアナウンスが流れたけど、それより何かLV的には格上だったからこんな倒し方をすると釈然としないような、楽に倒せてよかったと思うような複雑な気持ちになった。もしかしてダメージ量がバグっていたりしないよね? いや、倒した以上先には進むけど。もう一度戦わないといけないとか……ないよね?
エリアBOSSを倒したことで元居た場所に戻された。さて時間的に微妙な感じだ。多分、この先にあるらしい農村には着けると思う。でもその先となると微妙。
しかも農村の方は泊まれるような場所が無いらしく、泊まるなら簡易宿泊用のテントを持っていないと駄目らしい。いや正確に言うと無くても可能らしいけど、最近悪質PKって言うかレッドネームプレイヤーが出るらしい。その所為でテントを張って一時的にセーフティーエリア化させないとPKされると兄談。
なので一旦セントリウスに戻ることにしよう。ちょこちょこ寄り道して戻れば……まあ若干ログアウトの時間が過ぎそう。出来れば何かしら拾っていきたいところだけど、寄り道はほどほどにして全力で走れば大丈夫……なはずだ。多少遅れるくらいなら問題はないしね。
そうしてセントリアスの近くまでは全力で走り、街の周りでアイテムやモンスターを倒してから街に戻ってログアウトした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます