第43話 防具を受け取る
夕飯を食べてからログイン。時間的にまだ日はあるのでギルド内で時間を潰したいところだけど、そろそろ本格的に【日光脆弱】の熟練度を下げて行った方がいい気がする。合間を見てたまに熟練度を下げるために外に出てはいるけど、初期地点を出てからはそんなに熟練度は下がっていない。
夕飯前に時間が余ったから外に出てようやく18%まで下がった。これで9秒に1%のダメージと言ったところだけど、これでHP満タン状態からリスポーンまで900秒だから15分しか外に居られない。フードを被れば1時間ちょっとには伸びるけどそれでも街の外に行っていろいろやるのは無理だ。
何で今更こんなことを考えているかと言うと、夕飯を食べ終わった後に兄が、チュートリアルが終わったのなら1回会わないかと誘われたから。私もそろそろ他のプレイヤーがどんな感じなのか直接見てみたいから、とりあえず行ってみるという話になった。さすがに一緒にプレイしたいとかだったら断ったかもしれないけど、会うくらいならまあ良いかって感じ。
と言うことで、これからと明日の朝にログインしてからの日差しがある時間はなるべく外に出て、【日光脆弱】の熟練度を下げて行こうと思う。
まあ、やることは初期地点でやっていたのと同じになるからこれと言って真新しいことは無いけどね。
夜になってから防具屋に向かった。頼んだ防具は出来ていると思うけど、どんなものが出来たのだろうか。コートに合わせて作っているから暗いグレーとかそんな感じの色になっているはずだけど。
「来たか。もう出来てるぞ」
そう言ってガルスは私をカウンターの前に促す。カウンターには作成物をしまって置くための箱が3つ置いてある。ガルスはその箱を開けると中身を見せるように私の前に差し出した。
「これが胴と腰の装備だ。で、こっちが脚な。そんでもってこれはキリアに頼んでいたイヤリングだな」
箱の中にある装備を取り出して確認する。胴と腰の装備はコートと同じようにグレーの色合いだけど、少し明るめの色合いだ。変に目立つような装飾もなく十分動きやすそうだ。脚装備も同じように装飾は少なめだけど、初心者の靴に比べられないくらいに丈夫そう。
イヤリングはまあ、牙をそのまま使ったような感じの見た目だけど、牙を固定している台の所にガラスなのか宝石なのか小さな緑色の石がさり気なく嵌め込まれていた。装備の説明と性能はこんな感じ。
[(防具)薄影色の皮鎧 Ra:Uc Qu:C Du:100/100 SAS:6000]
隠蔽能力の高いモンスターの皮から出来た皮製の鎧。鎧と名前が付いているが見た目は普通の服とそう変わらない。隠蔽能力の高いモンスター素材を使用しているため、着用者の気配を薄くし、隠蔽能力を強化する。
装備効果:VIT+12 MND+8 隠蔽系強化(小) 認識阻害(微) 影属性強化(小) 斬撃耐性(微)
[(防具)薄影色の長ズボン Ra:Uc Qu:C Du:100/100 SAS:5500]
隠蔽能力の高いモンスターの皮から出来た皮製の長ズボン。ズボンと名前が付いているが防具として扱われる。防具としての性能は十分備えている。隠蔽能力の高いモンスター素材を使用しているため、着用者の気配を薄くし、隠蔽能力を強化する。
装備効果:VIT+6 MND+4 AGI+2 隠蔽系強化(微) 認識阻害(微) 影属性強化(微)
[(防具)薄影色のブーツ Ra:Uc Qu:C Du:100/100 SAS:4000]
隠蔽能力の高いモンスターの皮から出来た皮製のブーツ。隠蔽能力の高いモンスター素材を使用しているため、着用者の気配を薄くし、隠蔽能力を強化する。
装備効果:VIT+4 AGI+8 静音(小) 影属性強化(微)
[(防具)森影狼の牙イヤリング Ra:Uc Qu:B Du:100/100 SAS:2000]
森影狼の牙を使ったイヤリング。少量ではあるが土台に緑水晶を使用したことで風属性の攻撃に対する耐性を得た。
装備効果:VIT+2 INT+2 MND+3 風属性耐性(微) 影属性強化(微)
想像以上の効果だ。まあ、委託取引にある装備を基準に想像していたからその所為でよく感じているのかもしれないけど、装備の能力は申し分ない。少し影属性に偏っている気もするけど、何かあったらすぐに隠れて逃げれると考えれば十分だと思う。
「一応説明しとくが、嬢ちゃんから受け取った森影狼とゴフテスの毛皮を使って、足りない分はウエストリアの森にいる影兎の毛皮を使った。使った量が少なかったからだと思うが、ゴフテスの毛皮で得られたのは皮鎧の斬撃耐性だけだった。そこはすまん」
「…大丈夫。気にしない」
ゴフテスはあくまで足りない分を補うつもりで渡したのだから、ゴフテスの素材から能力を得られなかったのは正直どうでもいい。欲しかった隠蔽系の能力で十分お釣りがくるくらいだ。
「イヤリングの方は、まあ見た通り牙をそのまま使っている。キリアが言うには牙だけではつまらないから緑水晶を使ったそうだ」
「そう」
イヤリングに関してはまあ、こんな物だろうなと言う印象。でもよく考えたらイヤリングなのに初心者の服と同じだけVITが上がるのはすごいのかもしれない。Quも他の防具より高いしね。
「で、値段の方は俺んところで13000。キリアが作ったイヤリングは1500だ」
言われた通りガルスに14500ASを渡す。ガルスはそれを受け取り、確認した後にレジらしき場所にASをしまった。
「ちょうどだな。今着替えるなら、あそこの個室を使え」
直ぐに装備するつもりだったので、ガルスの指した個室に入って防具を装備していく。プレイヤーはインベントリから選択すれば一瞬で装備できるから個室に入る必要はないんだけど、こうして着替え用の個室があると言うことは普段から住民がインベントリ使えないからだと思う。
こうしたところを見るとガルスだけじゃなくてUWWOの住民はインベントリとか異邦人についてどれだけ知識が有るのかが気になる。まあ気になるだけでどうこうするつもりはないけど。
装備出来たので、個室から出て行く。動いた感じどこも問題は無いようだ。
「装備できたか。見た感じは問題なさそうだな。どんな感じだ?」
「問題ない」
「ならいい。何か問題ありそうだったら直ぐ来いよ。何か起きてからじゃあ、遅いからな」
ガルスの言葉に頷いて防具屋を後にした。
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