第40話 修復してみる

 

 サービス開始から9日目。

 私はログインして直ぐスキルの熟練度上げに勤しんだ。8日目の夜に使ったスキルの熟練度が軒並み上がったのでウハウハな気分だけど、使わなかったスキルは一切上がっていないので今日はそれを上げて行こうと思っている。


 使っていないと言ってもそれは【毒魔術】【影魔術】【投擲】の3つなので日中だとフード付きのコートを作ってもらったけど長時間外に出られないのでどのみち使えないという状況。まあ、後数時間で夜になるからそれまでは生産系のスキルを上げて行こうと思う。それに昨日教えてもらったので先に幸運の腕輪(劣)の修復をしておこう。


 必要だと言われた金属については、鉄の方は問題なく委託取引で購入できた。でも金銀の方は委託にはなかったので指輪の修復はまた今度となってしまったけど。

 それとついでに、住民も使う総合委託の方も確認してみた。売っている物は専用委託取引とそれほど変わらなかったけど、この前レミレンさんに売った初級ポーション(粉)が少量だけど売っていた。


 価格は25~35ASでQuによって値段が変動している感じ。販売総数が確認できたので見たところそれなりに売れているようだ。これだったら100個くらい作ってこっちに流してもよさそうだと思ったので、早速初級ポーション(粉)を作って流してみたところだ。とりあえず材料費分はもう売れている感じなので、夜になるまでには全部売れていそうだ。


 さっそく委託で買った鉄を使って幸運の腕輪(劣)を修復していこう。あ、ついでに初ログインの時に拾ったろうそくランタンも空き瓶が余っているし修復してみよう。

 ギルドの作業場に移動して作業を開始する。


 最初は腕輪を修復していく。【錬金】で修復するに当り防具屋の店員の言葉だけでは不安になったのでレミレンに事前にアドバイスを貰っている。単純な修復なら防具屋の言う通りで良いらしいけど、修復用の材料以外にも特定のアイテムを混ぜることで副次的に効果が付いたりするそうだ。

 なので実験として総合委託取引にあった四つ葉のクローバーを使ってみようと思う。価格も50ASと高いのか安いのかわからない値段だったけど、なんとなく気になったので使ってみる。


 腕輪を外して錬金板に置き、インベントリから鉄と四つ葉のクローバーを窪みに置いて、元通りになる且つなんか効果が付くと思いながら魔力を流していく。

 そして錬金板が一瞬光って光が収まると、錬金板の真ん中にさっきより多少綺麗になった幸運の腕輪が載っていた。


 なんというか、あまり綺麗になった感じはしないけど、元からこんな感じだったの? それに四つ葉のクローバーの要素が一切ないけど失敗したのかな。


[(アクセサリー)幸運の腕輪 Ra:Uc Qu:C Du:105/105 SAS:800]

 装備することで幸運が訪れると言われる腕輪。使われている素材は珍しい物ではないが、誰かの幸せを願い丁寧に作り上げられた腕輪。何か別の力を僅かに感じる。

装備効果:LUK+6 VIT+4 幸運(微)


 うーんちょっと強くなったって感じか。何か耐久値が少し上がっているけどこれはどういうことだろう。幸運(微)は四つ葉のクローバーのやつだろうけど、耐久も?


 まあ、この辺は何回かやっていけばわかるだろうし次のランタンを修復していこう。ろうそくランタン(破損)の修復に使うのは、昨日の夜に拾ってきた緑朴の枝と同じく拾った屑鉄、そして瓶1本。


 枝は持ち手、屑鉄は使う必要ないかもしれないけどろうそくを置く台の部分。瓶は完全に割れてしまっているガラス部分の素材として使う。ガラスの部分は珪砂を使おうと思っていたけど、珪砂1個から瓶が5本出来るから明らかに多いし、瓶1本分で間に合う気がする。


 そう言うことで錬金板にランタンと素材を載せて魔力を流す。今回は特に追加で材料を入れていないから単純に元通りになれと思いながら作業を進めた。


 錬金板の光が収まって真ん中にランタンが載っているのが確認できた。ランタンを手に持って確認してみる。


[ろうそくランタン  Ra:C Qu:D Du:100/100 SAS:1200]

 中にろうそくを入れて使用するランタン。火の着いたろうそくを中に入れることで周囲をやんわり照らすことが出来る。状態はいいが年代物のため、このタイプのランタンは昨今あまり利用されてはいないが、一部コレクターには高く売れるかもしれない。


 修復は出来たようだ。しかし、実用品と言うよりはインテリアとして使うことを想定した説明文だよねこれ。まあ、プレイヤーがランタンを使うような状況はそうそうないからこんな説明になっているのかもしれないけど。


 後は委託取引で買った材料を使ってポーション作り、一部は依頼に流して他は委託に流すを繰り返して夜まで時間を潰した。




 夜が近づいてきたので前日と同じようにギルドで討伐依頼を受けて街の外に向かった。依頼を受けるときにゴフテスの討伐報酬が決まったらしくそれを受け取ったのだけど、その額が56000ASとかなり高額だった。そんな大金をそのまま持っているのは不安だったのですぐにギルドに預け、手持ちのASも溜まって来ていたから追加で4000ASも預けた。


 外に行く途中、今更だけどさすがに装備を新調した方がいいことを思い出して、外に行く前に昨日行った防具屋に向かった。時間は昨日よりも少しだけど早い時間に着いた。防具屋に入ると他に客は居ないようだけど、あの店員の人はカウンターの所に立っていた。


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