第5話 2つ目の称号(タイトル)……
さて、まだ確認していない所はドアがある部屋だけだ。さっきのネズミのこともあるからより慎重に行動する。ドアノブは錆び落ちてしまっているので、ドアを押して開ける。
右よーし、左よーし、ってことでドアオープ……開かない、固い。
どうやら長い年数放置されていたためドアの軸が固まってしまっているようだ。ということで、ふんっ!
ドアは力を入れて押したことで開くことが出来たが、開いた際に、ベギッ!! ギギッ!と大きな音を出した。
幸いドアが壊れることはなかったが、思いの外大きな音が出てしまったことで、すぐに私は周囲を確認した。
良かった、何もないようだ。それじゃあ、部屋の中を確認……。
部屋の中を見ると、そこはネズミの王国でした!
うわっ、めっちゃネズミいる。少なくとも100以上? さすがにこの量はムリだ。 1匹ですら苦戦したのに、これはどう考えても不可能である。ということで閉め…ってぐはぁっ!! うわぁ、ネズミの津波! ガトリングネズミィイイイ!!
ドアを開けた時の音でどうやらネズミたちは戦闘態勢に入ってしまっていたようで、ドアを閉めるよりも早く私に攻撃を仕掛けてきた。
あああー!! ちょっと待っ!? あ、HPが0に。
部屋の中を覗き込んでから数秒も掛からずに私はネズミたちによって死亡させられた。
数は力、知ってた。知っていたけどこれはあんまりだよ。
『HPが全損したため、当アバターは死亡しました。周囲に蘇生が可能なプレイヤーがいないため、蘇生待機時間を短縮します。最も新しいリスポーン地点に転送します』
短距離リスポーン転移で棺桶へ。これ、もしかして全プレイヤーの中で最短距離のリスポーン転移なのでは?
予想外の事態で死に戻ったけどとりあえずこの建物の確認は終わった。ネズミの王国は現状ムリなので無視する。
ということで、日差しへのゾンビアタック開始である。さらば私のAS。もうすでに最初と比べて半分以下になっているけど。
そうして30分ほどゾンビアタック(外に出るだけ)を続け、リスポーンの回数が10回を超えたところで突然アナウンスの通知音が鳴った。
『アナウンス
アバターが一定時間内に一定回数のリスポーンが確認されました。それにより称号(タイトル):【ゾンビアタック】を獲得しました。
【ゾンビアタック】
アバターが一定時間内に一定回数リスポーンすることによって得られる称号(タイトル)
何が貴方をここまで駆り立てるのか。この蛮行で得られるのは名声ではなく、醜聞だと理解せよ。本来、生は生物皆等しく1度のみ。生き返るからと軽はずみな行動は安易にすべきではない。
獲得方法:ゲーム時間30分以内に、10回リスポーンする
効果:10分以内に1回以上リスポーンすると10%の能力低下の効果が発生する。効果は30分持続する。さらに最後の能力低下の効果が発生してから30分以内にまたリスポーンした場合には、10%の能力低下の効果が追加され、効果時間も延長される。最大80%の能力低下 』
おおう。ゾンビアタックするプレイヤーに対する運営からのお達し、いや忠告か。ゾンビアタックは基本するなと言うことだろう。まあ、まだするけどね。
とりあえず、【日光脆弱】の熟練度は89%まで下がった。熟練度が89%になったところで1回のリスポーンで熟練度が下がらなかったのと、ダメージが2秒に1%ダメージに変化して3分以上かかるようになってしまったので、ついでに他のスキルの熟練度も上げようと思う。上げる候補としては【血魔術】【闇魔術】【血統魔法】の3つ。
【血魔術】
血液を操る魔術。血液を操ることで武器や防具などのように操る。スキル使用中は継続的にMPを消費する。血液は新鮮なものの方が操りやすい。また、血液は本物である必要はない。
0%[ブラッド] 血液を操る【血魔術】の基本技能。周囲に血液がない場合は、使用者のHPの総量に対して10%のダメージを負うことで目の前に血液を発生させる。MP消費量:1/1s
【闇魔術】
属性闇に該当する魔術。闇を操ることで何らかの現象を引き起こすことができる。スキルを使用する時間によって効果が変動し日中には減少、深夜には増大する。増減量は熟練度に依存する。
0%[ダーク]闇属性の霧を発生させ、相手の視界を奪う。効果時間はMPに依存し、使用中は継続的にMPを消費する。MP消費量:1/3s
【血統魔法】
ヴァンパイア専用の魔法。攻撃スキルは内包しないが、ヴァンパイアの活動を補助するスキルを使うことが出来る。ヴァンパイア必須の魔法。ただし、ヴァンパイアの血が薄い場合は取得できない。
0%[夜目(P)]夜闇や暗闇など暗い場所でも日中のように周囲を見渡せるようになる。見やすさは基となるスキルの熟練度による。
スキルの横にある(P)はパッシブ、常時発動しているスキルということだろう。そうなればまずパッシブスキルしかない【血統魔法】は除外。【血魔術】は今後の発展性はありそうだけど、継続で消費されるMPがリスポーンするまで若干足りないし、HPの10%を消費するはリスポーンの回数が増加するのと同じだ。リスポーンの回数はさっき貰った称号のこともあるし、問題はないと思うけど保険として減らした方がいい気がする。ということでMPの消費量も問題ないし、【闇魔術】の熟練度を上げることにしよう。
ということで外にゴー!
外に出てちょうどいい高さの瓦礫に腰掛けステータスを出してから【闇魔術】の[ダーク]を発動させる。
「ダーク」
言葉に出すと同時に2メートルくらい先にうっすら丸い形の黒い霧の塊が出現した。
え、薄い。すごく薄い。日中は効果が減少するって説明文にあったけど、減少というか激減って感じだ。とりあえず横に長い楕円に形を変えてみる。うーん、おお形が変わっていく。あれ、もしかしてイメージ次第で濃く出来たりする? あ、少し濃くなった。
これ、出したまま放置より、形変え続けていた方が熟練度上がりそう。
縦に伸ばして、スカイ〇リー…、いやこれただの長い棒だな。って視界が赤くなってきた。MPの消費は30くらい、あ【闇魔術】の熟練度が1%になってる…って、あ、死んだ。
『HPが全損したため、当アバターは死亡しました。周囲に蘇生が可能なプレイヤーがいないため、蘇生待機時間を短縮します。最も新しいリスポーン地点に転送します』
さて、棺桶からこんにちは、っと。
【闇魔術】の熟練度も上げられたし、このままログアウトの時間まで同じことの繰り返しだ。
そしてリアル18時のログアウトまで私は【日光脆弱】の熟練度下げと【闇魔術】の熟練度上げを続けた。
『ステータス
NAME:アユ
RACE:ヴァンパイア(純血)
LV:1/30
JOB:なし
HP:130/130(0)(0)
MP:150/150(0)(0)
STR:13(1)
VIT:12(2)
INT:12(0)
MND:10(0)
AGI:11(1)
DEX:13(0)
LUK:14(2)
STP/SKP:0/6
装備
メイン武器(装備):初心者のナイフ
サブ武器:なし
頭:なし
胴:初心者の服
腕:なし
腰:初心者の服
脚:初心者の靴
アクセサリー(3):幸運の腕輪(劣)
スキル
戦闘:短剣術0% 血魔術0% 闇魔術11%
補助:血統魔法1% 身体能力向上(微)0%
生産:錬金0% 調合0%
その他:日光脆弱64% 生活魔法0% 鑑定1%
称号(タイトル)
【世界の不思議を初めて発見した者】【ゾンビアタック】
所持金:0AS(アス)』
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