GOOD MORNING, BOYS.
夜をどう越そうか心配して家から出たが、結局はブライアンの頑張りによってバーガーショップで朝を迎えることができた。
日の出と同時にブライアンは戻ってきて、そして椅子に横になっていびきをかいて今も眠っている。
俺とカートは明日の夜のライブハウスで何を
「ギターが二人にベースが一人。ボーカルはカート。ここまでは良いが---。」
「よくはないな。ドラムが居ないのが痛すぎる。ブライアンのベースは演奏はそこそこだがリズム感が今ひとつ安定しない。リズム感の良いドラマーが必要だ。」
「でも昨日に泊まらせてくれって電話をしたのは大抵は音楽やってる奴だったからな・・・。ドラムを頼むって先に言えば何とかなったかもだが・・・。」
「まぁ、過ぎたことは仕方がない。急いでドラマーを見つけて俺たちと合わせないと明日は散々な演奏になっちまう。」
時計を見ると時刻は午前10時。普通のドラマーなら夢を見ている時刻だが目が覚めるまで待つには遅すぎる。
会ってすぐのメンバーと初めての曲を
なんて言っても、メンバーのことだけを考えていても仕方ねぇ。
テーブルの上にある紙ナプキンを1枚手に取り、ボールペンで曲目の候補を書いていく。
昔、父さんや母さんと
カートが作詞作曲を担当。たまに俺が作詞だけしてカートに投げると良い感じの曲になって帰ってくる。
まぁ、どっちが作るのも暗い曲ばっかりだったけどな。
そういったオリジナル曲とカバー曲を10曲ほどピックアップしてなんとなくの気分で3つの曲名に丸をつけた。
すると同時に、後ろから誰かが俺の肩越しに手元を覗き込むように見ている気配を感じた。
一瞬にして顔が強張る。カートの方を見ると驚いた顔をしていやがる。
俺の右肩にかかった誰かさんの長く黒い髪から微かにフローラルな匂いがする。冗談にならねえ方の人間じゃないようで少しだけ安堵した。
「これって今夜のお葬式で演奏する曲のリスト?死んだってのにこんな陰気で暗い曲ばっかり聴かせて可哀想ね。」
「まさか。明日に
そう言ってカートの方を見やると、両手を軽く挙げて「参った」みたい素振りをする。
昔からカートは彼女を目の前にするとキャラに合わずおちゃらけ始めていた。
黒縁眼鏡をかけた無駄に乳のデカい彼女はこちらに向き直ると右手を俺の顔の前に差し出して言い放つ。
「さっさと家賃を払いなさいよ、プーさん達。」
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