IT’LL BE FINE, BOYS.
三人で地下鉄を目指して急いでいるといつの間にか夜になっていた。
家を出て、繁華街を5分ほど歩いて抜けると片側4車線のメインストリートがある。
そのメインストリートを渡り、地下鉄への階段を前にしてブライアンはふと、「あれ?俺たちって何処へ行くんだっけ?」なんて漏らして俺たちの足をピタリと止めた。
入り口の横に設置されている喫煙所スペースへと入り、中心にある灰皿を囲って各々がタバコを取り出して三人で吸い始める。
「とりあえずどこに行くよ?」
斜め上に煙を吐きながら話を振っては見る。
「ダチの家に転がりこむか?」
「そりゃカート一人なら良いだろうが、俺たち三人は無理だろうさ。ブライアンには友達がいねぇし。」
「そういや確か、最近犬が死んじまった友達がいる。家は狭いが犬小屋が空いているはずだ。」
「どんな犬だったの?」
ブライアンはなぜか行く気満々で問いかける。
「あー、確かチワワだったかな。」
「「なら無理だ。」」
三人してため息と共に煙を空に吐く。
カートはタバコを踏み消し、目の前の灰皿に入れると思い出したかのようにポケットを探る。
右前のポケットから財布を取り出すと(財布をケツポケットに入れるやつは何がしたいんだ?座る時に邪魔になるし簡単に財布を抜かれるだろ。)現金を勘定し始めた。
「お前らも金がいくらあるか数えな。その結果次第でどうするか決めようや。」
ブライアンと顔を見合わせて財布をポケットから出す。
カートが片手を前にして有り金を晒す。札と小銭が少し。金額にして200ドルと少しくらいだろう。
俺の片手には少し寂しく小銭が多めで50ドルくらいが乗っている。
カートがため息をついて、ブライアンの手に視線を落とす。
小銭が10数枚と未使用のLサイズのコン◯ームが一つ乗っかっていた。
「財布にそんだけしか入ってないのに、んなもん持ってナニする気だよ!?」
「飯屋に行った時に店主に代金の代わりに使って貰うんだろ?『
「違うよ!これは・・・女性とそうなる時の備えだよ!マナーだって雑誌が言ってたし!」
「マナーのある男の財布にはそいつの代わりに金がちゃんと入っているもんだ。さっさと仕舞え。」
いつの間にか隣にいた数人の背広姿をした男女がこちらを気にしている様子だった。
ブライアンは小銭と風船を財布に仕舞うと、丁度カートが何本目かのタバコを吸い終わったところだ。
「250ドルと少しと風船。旅に出るには十分すぎる資金だな。」
「それよりお腹が空いたし、何か食べに行かない?」
俺とカートは特に返事もせずに三人で喫煙所から出て、来た方向にあった繁華街へと戻り始める。
「バーガーショップに行くけど、テメェの分はテメェで支払えよ?」
「良かったなブライアン。ようやく風船が役に立つぞ。」
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