第22話渇き
ーーーー次の日…
アニト「うーん…!よく寝た!」
宿をとり休んでいたアニトが起きる
タマ「起きたか街へ出るぞ」
アニト「何するの?」
タマ「買い物だ」
アニト「え!僕の剣?!」
タマ「そんな無駄遣いするか、さっさと用意しろ」
アニト「剣じゃないなら、いいや
昨日大変だったし今日はゆっくりするよ」
タマ「そうか…じゃあしょうがない……
モンスターを寄せるクサイ玉を
宿に転がすとどうなるか実験して
今日は過ごすとするか」
アニト「もぉ〜なんで、そんな事思いつくかな〜…」
タマ「いいんだいいんだ、
自分で出した麺で朝食をとり、
ゆっくり寝ててくれ少し臭いぐらいだ」
アニト「麺一本で朝食にならないよ
しょうがないから行くよ」
タマ「ついて来たいならさっさと支度しろ」
アニト「…行きたくないよ
…ホントもう…なんでそんな
…いつもいつも…自分勝手な……」
ぶつぶつ文句を言いながら支度するアニト
ーーー宿を出る
タマ「夜営する為の道具、
それからモンスターを解体し
調理する道具も必要だ」
アニト「えっ?!外で生活するの?!」
タマ「一時的に外で滞在する為の練習だ、店を探せ」
アニト「いらないよ、そんな練習ー…」
タマ「昨日の依頼の時もお前だけ
夜営の準備手間取ってただろ」
アニト「それは…まあ……」
タマ「出来る事を増やしておけ」
アニト「やだなー…」
夜営に必要な道具や装備などを購入し、峡谷へ向かう
ーーー峡谷
タマ「いないな…」
アニト「夜営の練習なら峡谷じゃなくて
草原でも良くない?」
タマ「あいつはどこだー?」
アニト「さっきから誰探してるの?」
タマ「あの時のデカブツだ」
アニト「えっ!あの大きい土の竜?!無謀だよ!」
タマ「あいつの魔石が一千万近い価値になるらしい」
アニト「お金に目が眩んでるよ!」
タマ「見つけて即戦う訳無いだろ
後を尾けて住処を特定し、寝込みを襲う」
アニト「えー…またそんな方法で…」
タマ「あのデカいのを探しながら
他のモンスターを狩る」
アニト「まさか…この夜営の道具って
都に帰らないで峡谷で過ごす為…?」
タマ「イチイチ毎回、
戻っては来てを繰り返すより
こっちの方が効率が良い」
アニト「そんな……峡谷で生活なんて……」
ワーム「キョオォーー!」
地中から巨大なロックワームが顔を出す
アニト「で、出たぁー!」
タマ「驚いている暇が、あったら石を投げろ」
アニト「わかってるよ!」投石し爆破する
ワーム「…ギョッ…キョォォ……」
倒れ消えて魔石になる
タマ「今後はモンスターをヤル前に
魔石を先に壊し食料として活用する」
アニト「僕のスキルじゃ難しくない?」
タマ「そうだな頑張れ
デカブツを探しながら
拠点として使えそうな場所を探す」
アニト「ホントに始まっちゃったよ、夜営生活…」
ーーー
しばらく歩き夜営出来そうな場所を探す
モンスターに出会し倒して進む
ロックワームの魔石3個、黒コボルトの魔石3個、ムササビトカゲの魔石1個
モンスターと戦闘し、
拠点を探しているウチにだんだん
暗くなってくる
アニト「そろそろ、
夜営を始めた方がいいんじゃない?」
タマ「そうだな、そうするか」
その場でとりあえず夜営を始める
アニト「明かりが必要だけど…」
タマ「火を起こす道具を買っただろう」
アニト「こんなの使った事ないよ」
長方形の黒い石と硬い木を取り出す
タマ「それを擦り合わせて
火をつけるそうだ、やってみろ」
アニト「草原とかで
もうちょっと練習してからが
良かったな…」
渋々黒い石と硬い木を擦り合わせると
煙が出てきて硬い木から火種が落ちる
アニト「こ、これどうすればいい?!」
タマ「その火種を燃えやすい物に、移すそうだ」
アニト「え?!じゃあ燃えやすい物いるじゃん!」
タマ「これを使え」鞄から糸の束の様な物を渡す
アニト「よし…!つ、ついた!」
火が大きくなり、積んだ枯れ木が燃える
タマ「飯は数日分しかない
それまでにモンスターを消さない様仕留めろ」
アニト「そんな急に難しい……」
タマ「出来なければ、お互い飢え死にだな」
アニト「うっ…それはヤダ……」
イワツミトカゲ「キシャーー!」
アニト「イ、イワツミトカゲ!」
分かりやすい、場所で夜営を始めた為、
3m程のトカゲが襲ってくる
アニト「この!」
爆破スキルだけの爆破石を投げ倒す
タマ「今の音でまた寄って来そうだな」
アニト「え…」
キャニオンウルフ「アォーーン」
タマ「次の客だな」
アニト「休ませて欲しいよー!」
キャニオンウルフ「ワフッワフッ!」
複数のキャニオンウルフが峡谷を駆けてくる
アニト「この!」爆破石を投げ吹き飛ばす
キャニオンウルフ「ガウ…ガウゥ…!」
一匹が鞄の中の荷物を漁る
アニト「あ!荷物が!この!」
ーーー
その夜、明かりもあり、寄って来たモノを
爆破で倒す為が余計にモンスターを
呼び集め、寝る事が出来なかったアニト
イワツミトカゲの魔石2個、キャニオンウルフの魔石5個、ウィルオーウィプスの魔石10個、ファングバットの魔石4個
ーーーー夜が明け…
アニト「……明るくなってきた…」
タマ「今日のうちにいい場所を探せるといいな」
アニト「そんな呑気な…」
寝られそうもない為、火を消し
天幕を片付け、荷物を背負う
ーーー良さげな場所を探し歩く
アウル「ボォーー!」
頭がフクロウ、首から下が熊の様な、
5mのモンスターが立ち塞がる
アニト「ゆっくり探させてよー!」
距離詰めて来ないうちに爆破石を投げる
アウル「ボォ!」軽やかに横へ飛び避ける
アニト「避けられるなんて!」
アウル「ボ!」アニトを太い腕で薙ぎ払う
アニト「ぐっ…」
ダメージにはならないが、吹き飛び転がる
アニト「これでどうだ!」
もう一度ただの小石を投げる
アウル「ボォ」また横へ避けられる
アニト「同じ避け方は通用しないよ!」
避けた先へ爆破石を投げ、爆破する
アニト「ふぅ…なかなかキツイな…」
今の戦闘と峡谷の暑さで喉が乾き水を飲む
タマ「あまり飲み過ぎるなよ
昨日の狼が鞄を漁ったせいで
水が流れ出た、水はあまりないぞ」
アニト「…わかってるよ…」
少し口に含む程度で我慢する
ーーー更に峡谷を歩く…
アニト「ハァ…ハァ…疲れた……
一回帰ってからでも良くない?」
タマ「残念ながら、そうもいかない……」
いつになく真面目に答える
アニト「なんで?」
タマ「……」
アニト「…どうしたの?」
タマ「お前…帰り道覚えてるか?」
アニト「…え?いや、え?
ウソウソウソ!そんな!冗談でしょ?!」
タマ「……」
アニト「ウソーー!…え?じゃあ僕ら遭難?」
タマ「ソウナンです!」
アニト「今そんな事、言ってる場合じゃないよ!」
タマ「ま、当初の予定と変わらないしな」
アニト「いやでもこのまま帰れない
可能性もあるでしょ?!」
タマ「心配するな、デカブツを吹き飛ばせば一千万の魔石が手に入る、それで何かしら帰る為の、スキルを買えばいいだろ」
アニト「…あ、そうか……いやダメでしょ!
帰らないと換金出来ないのに!」
タマ「フン…気付いたか」
アニト「冗談言ってる場合じゃないよー!」
タマ「今やる事は水と食料の確保!
そして寝られる場所を探す事だ!わかったか!」
アニト「は、はい…」
アニト(なんで僕が偉そうに
言われないといけないの…)
ーーー
こんな時に限って、
快晴の強い日差しが二人の水分を飛ばす
幾度も襲いくるモンスターを倒し水を探すが
行けども行けども峡谷の砂岩が広がる
アニト「…ハァ…ハァ…ゴクッ……」
残り少ない水を飲む
アニト「タマ、はいこれ最後…」
タマに水を渡しお互い最後を飲む
タマ「いよいよ水が無くなったか」
水が無くなり余計に喉が渇く
ーーー
ロックオンク「オォォー」
岩のような肌質の3mのオークが現れる
アニト「またなんか来ちゃった…」
ロックオンク「オ!オ!」
見つけたロックオンクが仲間を呼び、計5匹になる
アニト「増えちゃった…」
タマ「早く対処しておけ、また仲間を呼び集めるぞ」
アニト「わかった…!」
砂岩のカケラを広い投げ爆破する
ロックオンク「オッオォッ…!」
集まり一塊になっていた
ロックオンクが吹き飛び倒れる
アニト「…ゴクッ……」
魔石一つ拾うのも、喉の渇きを促進する
ーーー再び歩く…
アニト「…ハァ…ハァ……」
開けた口から暑い空気が入り、
口の中を乾かし、水を持って行く
アニト(水が…全然無い……
キンキンに冷えた水が飲みたい…
この先を曲がったら、街だったり
しないかな…)
願いも虚しく曲がった先には砂岩が広がる
アニト「……ハァ…ゲホッ…もうダメ…」
暑さと渇きに膝をつくアニト
タマ「もう限界か?」
アニト「……動けないよ…」
タマ「そこでのたれ死ねば、それまでだぞ」
アニト「……」力を振り絞り、
膝に力を入れて立ち上げる
ーーー再び歩く…
アニト「……」声が出なくなってくる
アニト(ずっとおんなじ景色…)
アニト「…?」何かの音が聞こえて
キョロキョロする
アニト「……み、水の…!」
途中まで言うが声が出なくて止まる
タマ「勘違いじゃないか?」
アニト「こ、こっち…!」
語彙少なく、先程の動かない体が嘘の様に走る
砂岩の崖壁面に1mほどの穴が空いており、その穴を潜ると一部屋程の空間がある、その部屋の奥に湧き水が流れ、透き通った水が溜まっている
アニト「…ハッハッ!水…!水!」
顔を水面につけて冷えた水をがぶ飲みする
アニト「プハッ!……ハァ…ハァ…生きてる…」
産まれて初めて生を実感する
タマ「のたれ死にしなくて良かったな」
アニト「ホントだよ…
ホントに死んだと思ったよ…
タマも水飲まないの?
かなり冷えてて美味しいよ」
タマ「俺はそんな土の上に溜まった水より…」
鞄をゴソゴソするタマ
タマ「こっちを飲む」水筒を取り出す
アニト「うぇ?!なにそれ!」
タマ「お前…これ知らないのか?水筒という物だ」
アニト「それは知ってるよ!どこから出したの?!」
タマ「念の為、秘密ポッケにな入れておいたんだよ
ゴクッゴクッ…!プハー!最高だぜ!冷却する魔石でキンキン」
アニト「僕が死ぬ様な思いで頑張ったのに…」
タマ「ついでに拠点になりそうな
場所を見つけられただろ」
アニト「はぁ…もういいや…」ため息を吐き諦める
タマ「後は食料だな」
アニト「食料は多少残ってるよ」
タマ「俺が食ったから、今日の分しか残って無いぞ」
アニト「え!」急いで鞄の中を確かめる
アニト「ちょ、ちょっとしか残ってない!」
タマ「俺が嘘をつくと思うか!」
アニト「思うよ!そんな事よりホントに無いの?!
どっかに隠してるんじゃないの!」
タマ「今回は真面目に無いぞ、
鞄を破ってでも探してみろ」
アニト「そ、そんなぁ…」
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