第18話旅立ち

ーーー


タマ「マミーおかわりー」


マリー「いっぱい食べるのよ〜」


ブラン「アニト聞いたぞ!

     お父さんは誇らしい!

      いつかやり遂げると思っていたぞ!」


アニト「お父さん…」


マリー「お母さんも誇らしいわ…」


アニト「お母さん…」


マリー「馬鹿スキルだなんて言ってもらえて…」


アニト「えっ!どこで聞いたの!」


マリー「ミャニーって新しく来た

      ギルドの子が町内新聞とかで、

               配ってたわよ」


アニト(最悪だ…)


タマ「写真を欲しいと言うから、

       子どもの頃の写真を渡してやった」


アニト「えっ?!アレを?!」


タマ「フルヌードだ」


アニト「何してくれてんの〜…」

        食卓に突っ伏すアニト


ブラン「アニトには

    もうこの町は狭いのかもしれないな」


タマ(パピーの言う通りだ、こんな弱小地域での

   レベル上げは限界だ何かいい方法が無いか…

   山頂の貯め水を決壊させるか?

   火山を爆破で暴発…いや毒をばら撒くか…?)


マリー「ミャニーってあの子、

   北の大陸から渡って来たんでしょ?大変ね〜」


アニト「道中、危険もあったみたいだしね」


ブラン「可愛い子には旅をさせろと

    言うものだが女の子には危険かもしれんな」


タマ(それだー!それで行こう!)


タマ「パピーとマミーに話がある」

          神妙な面持ちで切り出す


アニト「?」


マリー「タマタマちゃん急にどうしたの…?」

ブラン「な、悩みか…?」二人が戸惑う


タマ「俺は元に戻る為に

    こいつのレベルを上げる必要がある

     この辺りじゃ経験値は入らない

     他の地域へ行きたいが

      こんな小さい体じゃ難しい

      アニトを連れて行ってもいいか…?」


アニト「行くわけないでしょ」


マリー「そんな…」

ブラン「そうか…」


アニト「僕はここでゆっくり待ってるよ」


マリー「わかったわ!いいわよ!」


アニト「え?!」


ブラン「アニト!

     しっかりタマタマの面倒を見るんだぞ!」


アニト「ええ?!いや行かないよ!」


ブラン「そうと決まれば

     町の皆に知らせてこよう!」


家から急いで出て行くブラン


アニト「お父さんやめてー!」


マリー「お母さんはお弁当作ってあげるわ!」


アニト「行かないって!」


タマ「マミー!コロッケも欲しいな〜」


マリー「任せなさい!」


アニト「やめてー!」


二人の門出の準備が着々と進む



ーーー町の入り口…



マリー「気をつけて行ってくるのよ〜!」

ブラン「道は人に聞くんだぞーー!」

 大きな旗を掲げて見送る両親


アニト(とんとん拍子過ぎない?)


ナケイラ「お土産待ってますー!」

ワーダル「体に気をつけろーー!」

 町の入り口で多くの人に見送られる


アニト(行きたくないけど…この空気感が……)


タマ「いい天気!見送る声援いい門出だ!」


嫌々なアニトと意気揚々としたタマ


アニトとタマの二人が竜車に乗り込み

       竜車が走り出し遠ざかって行く


ーーー


マリー「行っちゃったわね…」

ブラン「大きくなったもんだ…」

マリー「大丈夫かしら…」

ブラン「アニトなら大丈夫!」

マリー「そうね!うちのアニトなら大丈夫!」



ーーー



竜車の走る振動で、俯いたアニトの頭が揺れる


アニト「ホントに行く事になるなんて…

    帰ってなんとか取り消す方法は

             無いのかな…」


タマ「あんなに盛大に見送られちゃーなー?」

  ニヤニヤするタマ


アニト「なんてタチの悪い鳥なんだ…」



ーーーーリンベルク王都……



タマの提案で情報の集まりやすそうな

            王都で竜車を降りる


アニト「こんなに人って居るもんなんだね…」


初めて見た大きな街に圧倒され

         少し怖くも感動するアニト


タマ「さて…どうするか」


アニト「何も考えないで、出てきたの…

     とりあえずギルドに行って

      依頼見てどんなモンスターが

       いるのか見るのはどお?」


タマ「やるな!麺!それで行こう!」


アニト「僕の名前は麺じゃないよ」



ーーー二人は王都のギルドを目指す



アニト「凄い…色んな冒険者が居たり

          武器もいっぱいある…」


タマ「石投げ専門に武器はいらない」


アニト「そのうちタマに内緒で買うもんね」


タマ「そんな事をしたら、街に火をつけるぞ」


アニト「くっ!」


アニト(悪魔め!)



ーーー



ギルドに到着した二人

  大理石造りの高級感溢れるギルドが

           偉そうに建っている


アニト「おっきー…」

  ギルドの目の前で見上げて固まるアニト


タマ「田舎出身丸出しだな」


ーーー


ギルドの中で、田舎者だと思われていないかと

キョロキョロするアニト


アニト「皆凄い強そう…装備も高そ〜…」


二人が依頼を見る


アニト「凄い依頼の数だね、

       脱獄した囚人達の捜索なんかもある」


タマ「…効率が良さそうな物は〜…」



アニト「あ、ゴブリン」

タマ「黙れ」


アニト「こっちに地形図なんかもあるよ」


タマ「…近隣の地形図か…

      峡谷!ここへ行くぞ!」


アニト「危なそうだし草原とかにしようよ」


タマ「さっさと歩け行くぞこい」


アニト「えー…」


罠の道具が売っている様な店に入った後に

               峡谷へ向かう


ーーー



峡谷の谷底に着いた二人


タマ「よしここに肉をばら撒け」


アニト「え?たべるんじゃないの?」


タマ「そんな訳ないだろ罠用の肉だぞ、

               ささっとまけ」


アニト「はいはい…ホント偉そうに」

 ぶつくさ言いながら買ってきた生肉を撒く


タマ「次はモンスターを寄せる匂いの玉が

               あっただろ」


アニト「え、うん」


タマ「買ったやつを全部ここにばら撒け」


アニト「え?!でも店の人、予想以上に来るから

           一つでも気をつけてって!」


タマ「さっさと撒け!ケツに突っ込まれたいのか!」


アニト「はいはい、わかったよ…

            なんて口の悪い…」


強烈な血の匂いや異臭を放ち

   モンスターを誘き寄せる為の

         匂いの玉に火をつけ、10個転がす


鳴き声「ヴォォォー!」

  何かの鳴き声が峡谷にこだまする


アニト「何!何!なんの鳴き声!」


タマ「よし!上に逃げるぞ!」

  峡谷の台地の上へ向かい飛んでいく


アニト「ま!待ってよ!」

      急いで峡谷を登り上を目指す


ーーー


ある程度、登ってきて

       出っぱった大きな岩で休憩する


アニト「ハァ…ハァ…しんどい…」

        へたりこむアニト


タマ「よしやれ」


アニト「何を?」


タマ「下を見てみろ」


アニト「?」落ちない様、細心の注意を払い

             恐る恐る下を覗いてみる


モンスター「ギャウッ!」

モンスター「ガァ!」

モンスター「グルル!」

モンスター「オォー!」


匂いのこもった峡谷の谷底に

    大量のモンスターが集まり

          肉を取り合い争っている


アニト「なんであんなに!」


タマ「匂いが谷底に留まるせいだろ

        アレをまとめて吹き飛ばせ」


アニト「なんてやり方…」


タマ「早く霧散しないうちにさっさとやれ!」


アニト「分かったよ!」

     鞄から石を取り出しビュッと投げる


谷底のモンスターが吹き飛び、舞い上がる


タマ「もっと!いけぇーー!」


アニト「やぁ!えぃ!」

   次々と石を投げ粉塵が舞い上がり、

      モンスターの鳴き声が辺りに響く


タマ「もういないか?」


アニト「そうだね…」


タマ「次は回収するぞ」下へ飛んでいくタマ


アニト Lv55

スキル:麺を一日一本飛ばす、筋力強化Lv4、防御Lv9、俊足Lv3、比較的早く水を水蒸気に変えるLv2、スキルを瞬間的なものし強化するLv4、爆破Lv3、スキル経験値を貯めてスキルLvを上げるスキル、スキル購入

経験値96529/98301

残りSP6


ーー


アニト「魔石いっぱい…」

   辺りに二、三十の魔石が転がっている


タマ「よぉし!一回戻って

         この方法でガンガン稼ぐぞー!」


アニト「集めて逃げて攻撃なんて卑怯な…」



ーーー



一旦都へ戻りギルドで大量の魔石を換金する


ハンモンペッカの魔石5個、ケントロコプスの魔石6個、リンベルクオオトカゲの魔石3個、フトトカゲの魔石3個、キャニオンウルフの魔石12個、プレックバイトの魔石4個、キョウコクオオヘビの魔石1個


受付嬢「ではこちらが代金ですね」


アニト「あの短時間で…こ、こんなに…!」

 内訳には160万1900Gと記載されている


タマ「何があるか分からないからな

           金は使わず保留だな」


アニト「じゃあ…け、剣を…」


タマ「今回の戦いに剣を使う部分があったか?」


アニト「いや、まあ…無いんだけど…」


タマ「もう一度行くぞ」


アニト「はい…」


再度匂いの玉を店の在庫が無くなるまで買い漁る

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る