第17話愛剣折れる

風圧の弾がブラッドオークに直撃する


ブラッドオーク「ブゴッ…!」

           風の塊の衝撃によろける


ラビノ「3人とも今だ引け!」


メキア「く…!」

 悔しいが自分の攻撃を思う存分浴びせても

        倒れなかった相手から距離をとる


ブラッドオーク「ブオォーー!」

          痛みにキレて咆哮をあげる


カダリ「ヤバい…!怒ったぞ!」


ブラッドオーク「ブォッ!」

 腕を振ると血の刃が飛んでいき

           冒険者に刺さり切り裂く


バナン「イデェ!」

新米冒険者「ぐぁ!」


ボドア「ふん!」

     大槌をブラッドオークに向かって振る


ブラッドオーク「…!」

 石の棍棒で受け止める


ラビノ「今のうちに!」

 槍をブラッドオークの脇腹に

  突き立てるが硬い血の結晶で防がれる


ラビノ「こんな!どうすれば…!」


ブラッドオーク「ブォー!」

 石の棍棒を振り回し周囲の冒険者を吹き飛ばす


ボドア「こいつはかなり厳しいな…!」


カラボ「大丈夫か!」

アレリア「強いね…!」

 町の中のオークを掃除し駆けつけてくる二人


ブラッドオーク「ブォオーー!」

 空に咆哮を上げた直後に体中から

       血の刃が飛んでいき冒険者を切り裂く


ブラッドオーク「ブォ!」

 棍棒を振り回し空気をブンブン鳴らしながら

        冒険者集団をたった1匹で蹴散らす


メキア「バケモンが…!」


カラボ「剣もまともに通らねえ…」


ブラッドオーク「…」

棍棒に大量の血を流し3mあるような大剣にする

              

ブラッドオークが血の大剣を振りかぶる


カラボ「ヤバい!一薙ぎに斬るつもりだ!」


ブラッドオーク「ブオォーー!」

 横薙ぎに血の大剣を振り、冒険者が吹き飛ぶ


ブラッドオーク「ブオォーー!」

 メキアに向かって振り下ろそうと振りかぶる


メキア「だ!誰か助けてくれー!」


ブラッドオーク「ブ…」

 振り下ろそうとした瞬間に頭に小石が当たる


ブラッドオーク「…」 

       後ろを振り返るブラッドオーク


アニト「おい!やめろ!僕の友達だよ!」


タマ「多分向こうは、そう思ってないけどな」


アニト「そ、そんな事!…あるかも…」


タマ「ギャッ!ギャッ!ギャッ!

      火山で稼げなかった分、

          赤い豚で埋め合わせだー!」


ブラッドオーク「…」アニトの方を向く


アニト「来るならこっちへ来い!」


カラボ「逃げろ!やられるぞ!」


アレリア「すぐに逃げて!」


アニト「僕の…!僕の町を襲うなー!」


ブラッドオーク「ブオォー!」

  アニトへ血の大剣を振りかぶり走っていく


ブラッド「ブオォ!」血の大剣を力一杯振る


アニト「ハッ!」アニトが愛剣を構える


ブラッドオークが振った血の大剣を

受け止めようと

アニトが剣を構えるが愛剣がへし折れ

そのまま血の大剣がアニトに当たった瞬間

血の大剣が砕け折れる


アニト「僕の愛剣がー!」


ブラッドオーク「ブォ…!」

   アニトの硬さに驚愕し距離をとる


カラボ「剣と剣の衝撃で折れたのか…?」

ミャルーナ「本人に当たって

        折れた様にも見えたけど…」


アニト「な、なんて事してくれたんだー!」


タマ(ギャッ!ギャッ!ギャッ!…ナイスだ豚)

             密かに笑うタマ


ブラッドオーク「ブオォー!」

 離れた場所から、

   5mある様な血の刃を生成し飛ばすが

       それもアニトに当たって砕け散る


レイデム「今当たった…よな?」

カダリ「そうだな…?」

ラビノ「はぁ?!あの馬鹿スキルが?!」


アニト「もう許さないよー!」

 そう言いながら手頃な小石を拾う


アレリア「あんな物で何するの…」

ボドア「ダメージ入らないだろ」


アニト「こんのー!」小石を投げるアニト


ブラッドオーク「ブ…!」

 とてつもなくヤバい気がした

     ブラッドオークが何層もの血の鎧を纏う


ブラッドオーク「ブオォーー?!」

 地面を揺らす程の衝撃と

 木々を揺らす爆風が吹き荒れ冒険者たちが転がる


ブラッドオークがいた場所には

     地面を抉ったクレーターと

        赤い魔石だけが転がっている


メキア「あいつが…」

バナン「小細工だろ…」

ロジール「馬鹿スキル…だぞ…?」

目の前の出来事が受け入れらない3人


アニト「僕の愛剣〜…」

 膝をつき折れた剣を握りしめ号泣する


タマ「おい!レベルはどうだ!」


アニト「う〜…折れちゃったよ〜…」


タマ「折れたつまようじ、

    なんてどうでもいい!レベル見ろ!」


アニト「僕の相棒が〜…」


タマ「レベルを見ろーー!」


アニト「うぅ…ここまで付き合ってくれたのに〜…」

 

アニト Lv54

スキル:麺を一日一本飛ばす、筋力強化Lv4、防御Lv9 、比較的早く水を水蒸気に変えるLv2、スキルを瞬間的なものし強化するLv4、爆破Lv3、スキル経験値を貯めてスキルLvを上げるスキル、スキル購入

経験値91789/92546

残りSP5


帰宅してから見たところ

     レベルが2上がり、

         筋力強化が上がっていた


ブラッドオークの魔石は150万Gに換金


今回の事は冒険者が目視で確認した情報のみで曖昧な為、アニトの冒険者の功績として評価されなかったとか……



ーーーー次の日…



タマにぶつぶつ文句言われながらギルドへ


ラビノ「おお!馬鹿スキル!」


アニト「ラビノ…」嫌そうな顔をするアニト


ラビノ「俺らのところに

          入る気になったか?!」


アニト「昨日何回も断ったでしょ…」


ラビノ「入れよ!」


カダリ「お前…手のひら返しが酷いぞ…」

レイダム「節操の無い奴…」

 ラビノに呆れるカダリとレイダム


タマ「入るか!そんな雑魚パーティに!

             足手まといだ!」


ラビノ「こいつが入れば大儲けなんだよ!」


カダリ「こいつクズだな…」

レイダム「さっさと依頼行くぞ」

 カダリとレイダムがラビノを引っ張って

  ギルドから出て行く


アニト「ハァ…」ため息を吐く


アニト「あ…メキア…」


メキア「…」

 メキア達三人が、気まずそうに

      アニトの横を通り過ぎて行く


アニト「…」無言で受付へ向かう


カラボ「よぉ!馬鹿スキル!」

アレリア「あ、馬鹿スキルのアニトじゃん」


アニト(最悪…定着しちゃった…)


ミャルーナ「やめなさい、嫌がってるでしょ」

ボアド「面白いあだ名だな」


アニト「全然面白くないよ…」

 色々な人に馬鹿スキルと呼び止められ

   やっと受付に着く


ナケイラ「あ、馬鹿スキルのアニトさん」


アニト「ナケイラまで…」絶望的な顔をする


ナケイラ「昨日はありがとうございました」 


アニト「いやいやそんな…」


ナケイラ「そんな実力が有るなら隠してないで

真面目に依頼に取り組んで欲しかったですけど

ね〜…仕事溜まってるのにな〜…」 

    目を細めてジトーッと見てくる


アニト「いや違うんだよ!

    依頼は真面目にやってたし!

     まともに戦える様になったのは

       ここ最近の話なんだよ!」


ナケイラ「また隠すんですか、

  依頼を一人で行ってたのもそれでですか、

    ずいぶんと秘密主義なんですね〜…

      よろしい事で…」


アニト「違うよ!誤解だよ!」


ミャニー「あ、馬鹿スキルのアニト

          にゃにしてんだゃ〜」

ギルド職員の制服を着たミャニーが軽口を叩く


アニト「あ、ミャニー」


ナケイラ「あれ?もうアニトさんミャニーとはお会いしたんですか?」


アニト「あ、うん、ちょっとね」


ミャニー「下心丸出しでニャンパしてきたゃ」


ナケイラ「えー!そういう方だったとは!」


アニト「違う違う違う!してないよ!」


ミャニー「アニトは変態だゃ」


アニト「違うよ!」


ナケイラ「やっぱり!」


アニト「違うってー!」


タマ「短時間大変変態になるスキルも有るぞ」


ナケイラ「えーー!」

ミャニー「本物ーー!」


アニト「違うよ!持ってないって!」


ワーダル「おー!来たか!

       馬鹿スキルのアニト!」


アニト「ワーダルさんまで…

          やめてよそのあだ名…」


ワーダル「面白いだろ!

 馬鹿みたいに強くて馬鹿スキルだなんて!」


アニト「凄くやだよ…

        普通に馬鹿にされてるし…」


アニト(冒険者証に評価反映してないし)


新米冒険者「あ、馬鹿スキルのアニトさん

       おはようございます」

 そう言い、通り過ぎて行く新米冒険者


アニト「ほら〜…」


ワーダル「尊敬だな」


アニト「だとしてもヤダよ!」


ワーダル「他に無いしなー…」


ミャニー「変態馬鹿スキルのアニトは

              どうにゃ?」


ワーダル「それがいい!」


アニト「良くないよ!」


ナケイラ「アニトさんまで付けると

           長くないですか?」


ミャニー「それもそうだゃ〜」


ワーダル「じゃあ…残すは変態馬鹿か…?」


アニト「それはもう悪口でしょ!」


ーーー


ギルドで用を済まし、家に帰ってくる


タマ「おいー!レベル上げは!」


アニト「せっかくだから、

        ご飯食べて行こうよ」


タマ「ぬぅーー!」

  レベル上げをやりたい気持ちと

       食欲の間で揺れ、食欲が勝つ

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