第10話輝かしい武具


武具屋街に来る二人、そんなに需要が、

あるのかという程、武具屋があり

冒険者の出入りも多く、珍しい武具も多く並んでいる


アニト「うわぁ!見て!炎剣だって!

               カッコいいー!」


100万という値札の後ろの炎の剣に見惚れる


タマ「いらんいらん、爆弾魔のどこに必要だ」


アニト「あんな離れて逃げて

    爆弾投げる様な戦いじゃなくて、

    先陣切って剣を振るう様な

    戦い方がしたいなぁ…

    やっぱりカッコいいもんなぁ〜…」

     見惚れて呟く


タマ「そんな原始的な戦い方は無駄だ無駄」


アニト「ハァ…いいな〜これに炎の鎧!

    みたいなのを装備したら…うーん!最高!

    ギルドで炎の戦士とか呼ばれたりして…!」


タマ「いいからささっと離れろ!

            向かいの防具屋行くぞ!」


タマがアニトを引っ張るが全く動かない


タマ「動けぇ!麺出しポンコツ男がー!」


アニト「カッコいいなー…!」


ーーそこから三十分経過し、やっと店に入る


タマ「お前のせいで、

      無駄な時間過ごしただろ!」


アニト「見て!重戦士の鎧だって!」

 防御力に優れた、分厚いレアメタルの鎧を眺める


アニト「カッコいいーー!

         どんな攻撃でも跳ね返せそう!」


タマ「いらねえ!いらねえ!

        そんな動けない鎧で何するんだ!」


アニト「僕もこういうの着て最前線で

     大丈夫ですか!僕がお守りしましょう!

         …とかやってみたいよ…」


タマ「そんなの着て麺出しながら、

     大丈夫ですか!…って言ってる奴の

       頭の方が大丈夫ですか、だろ」


アニト「いいなぁ〜…カッコいい…

 こういう鎧にはやっぱり武器も大きい物が…

 黒い大剣とか!想像するだけで一日過ごせる!」

   見惚れるアニト


タマ「お前にそんな剣振れるか!早く動け!

             時間無くなるだろ!」


アニト「…なんてカッコいい…」


タマ「ギャー!早く動けー!」


ーーそこから三十分経過しやっと動く


アニト「ホントにこれ…?」


翼竜の皮と

 金属に溝をつけて加工した、身軽そうな鎧を見る


タマ「これだ!買え!」


男性店員「お目が高いですね〜、よく動けて

  そして、多少の衝撃ならモノともしない!

    そんな一品でございます〜」


アニト「でも薄そうだよ…?」


男性店員「重厚な物程、強いイメージが有り

     人気ではございますが、

     こういった物も実用性が高いんですよ〜」


タマ「これにしろ!」


アニト「えー…でもあっちの方が…」

         先程の重厚な鎧を見る


タマ「うるさい!これだ!

     あんなもん着て満足に動けるか!」


タマに強く押されて48万Gの

         新しい鎧を着て店を出て来る


アニト「買っちゃったよ…」

   

タマ「それでいい」


アニト「着た感じ全然変わらないけど…」


タマ「それなら尚、完璧だ!

     違和感があると戦闘に支障をきたす」


アニト「買った物はしょうがないから

             今日は帰ろうか…」


タマ「明日は早起きだぞ」


アニト「うへ〜…」



ーーー買い物をしてから町へ帰る



家に帰ってきたアニトとタマの二人


アニト「ただいまー…」


アニト「あれ…?誰もいない…」


 夕方だと言うのに父は仕事から帰っておらず

  いつもなら食事の支度をしている、母の姿もない


タマ「マミーとパピーは?」


アニト「まだ帰ってないのかな…?」


暗い家の中に入る


タマ「おい、なんかあるぞ」

  タマがテーブルの上の置き手紙を見つける


アニト「…え?」とりあえず手に取って読んでみる


 ーーーーー

アニトへ

 

  お父さんが仕事先で倒れたので

 病院へ行ってきます、ご飯は冷蔵庫に入ってるので

         温めて食べて下さい。

                    母

                 ーーーーー


タマ「おぉ…」なんと言っていいのかわからないタマ


アニト「今から病院に行く!」

      玄関を飛び出しそのまま病院へ走る


タマ「おい!置いてくなー!」

           アニトを追いかけるタマ

 

ーーー病院へ駆け込む



アニト「あ!先生!お父さんは?!」

 病院の年配の医師を見つけたアニトが焦って聞く


医師クトル「あ、ああ、アニト

          お父さんなら201号室だよ」


アニト「ありがとう!」急いで病室へ


アニト「お父さん!」

 病室のドアが壊れる程の勢いでバッと開ける


マリー「もうお父さんたら、そんな〜」

ブラン「いや〜面目ない」

 父と母が笑って会話している


アニト「あれ?お父さん…?」


タマ「パピー!生きてるか?!」


ブラン「おお!アニト、タマタマ来たのか!」


マリー「あら!ご飯は食べてきたの?」


アニト「そんな事より倒れたって!」


ブラン「倒れた?」


マリー「あ、ごめんなさいね、

         あれ食べ過ぎだったみたいで」


アニト「は…?」


ブラン「いやー、年甲斐もなく、

     同期とどっちが食べられるかって

         やったら二人共、腹がな〜」


 笑いながら話すブラン


アニト「そんな事で

     あんな書き置きしないでよ!

             心配したでしょ!」


ブラン「心配してくれたのかー…

            お父さん感激だよ…」


マリー「大きくなったのね〜…」

   号泣する父と母


アニト「もう僕は帰るよ!」


ブラン「あれ?タマタマはどこ行った?」

        ついさっきまで居たタマがいない


アニト「あれ?ホントだ…」


アニト(どこいったんだろ…?)


アニト「とにかく僕は帰るよ!じゃあね!」


ブラン「気をつけて帰るんだぞ〜」


マリー「道分からなくったら人に聞くのよ〜」


アニト「…迷う訳ないでしょ…!

            …何言ってんの…!」

 ブツブツ文句を言いながら病室を出る


ーーー家の前に着いたアニト


アニト(あれ?明かりついてる…)

 明かりは消して出たはずなのに 

       明かりがついている事に首を傾げる


アニト「…」そーっと玄関を開ける


タマ「うんうんウマイウマイ…ズルズル!

   麺を茹でるなんて初めてだ…ズズッ

   我ながらいい茹で加減!ズルズル!」


 タマが自分で麺を茹でて台所に座り

             ラーメンを食べている


アニト「いつの間に帰ったの?!」


タマ「…ズルズル!」


アニト「いや食べてないで答えてよ!」


タマ「ズズッ!ゴク!ズルズル!」


アニト「もういいよ…僕も食べる」

      そう言いながらスープが入った鍋を見る


アニト「え?!ウソ!もう無いよ?!」


タマ「ングッ!ングッ!ップハー!

            魚介醤油豚骨だったぞ」


アニト「いやいやいや!僕の分は?!」


タマ「自分で出せるだろ?」


アニト「麺だけね!しかも一本だし!」


タマ「明日は早いぞ!」

    そう言って二階へ飛んで行く


アニト「僕の夜ゴハーン!」

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