第8話木竜


木竜が下り立つ


木竜「グルル…!」

 全長十五mの若い木竜がアニトを睨む


アニト「まだ無理だよ!」


タマ「確かに早いなレベル40になってからに

     しようと思ったけど……

       どうせ逃げられねえ!やっちまえ!」


アニト「そんな簡単に…!」


木竜「グォッ!」木竜が炎の玉を吐く


アニト「なっ!」横へ回避する


タマ「木竜のクセに火なんだな」

   離れた所で静観するタマが呑気に言う


アニト「距離を取らないと!」

         急いで木竜から走って離れる


木竜「グォッ!」

    またアニトに向かって炎の玉を吐き出す


炎の玉がアニト近くに着弾する


アニト「ぐぁっ!」爆風で吹き飛ぶ


アニト(隠れて体勢を立て直さないと…!)


木竜「グォー!」アニトへ走り近づき、

                尻尾を振り回す


アニト「あぶっ!」咄嗟に尻尾をしゃがんで避ける


アニト「このっ!」

   補充していた皮の水袋を

          ぶつけて水蒸気爆発させる


木竜「グォオ!」胴に当たり、硬い甲殻に守られ、

        大したダメージにはならないが怯む


アニト「今のうちに!」走って距離を空ける


アニト「…ハァ…ハァ」岩に隠れて、息を整える


アニト(水袋は後1個…

      もっと作っておけば良かった…)

           今更、後悔する


アニト(問題はあの炎の玉なんだよね…

    あれじゃ誘導しても炎の玉吐かれそうだし)


木竜「グオォォーー!」咆哮を上げ飛び上がる


アニト(逃げた…?)


木竜「グォッ!グォッ!グォォーー!」

     飛んだまま辺りに炎の玉を吐き散らす


アニト(そんなの反則!)

   隠れていた岩の辺りにも飛んでくる


アニト「ぐっ…!」急いで岩から離れて逃げる


木竜「グォオーー!」

   アニトを見つけた木竜が飛んできて、

            アニトの前に下りる


アニト「このままじゃ…!」


木竜「グォッ…ガフッ…」

   炎の玉を吐こうとしたが上手く出ない


アニト(しめた火力切れ!)

    地面を触って爆破を仕掛けて離れる


アニト「さあ来い!」


木竜「グルル…!」

  急に逃げるのをやめたアニトを警戒する


アニト「そんな!早くこっちに!」


木竜「グォォ!」横へ飛び大回りしてから、

                突進してくる


アニト「危な!」踏み付けられそうになり避ける


木竜「グオォ!」尻尾でアニトを叩き飛ばす


アニト「…がっ!」転がり岩にぶつかる


アニト「早くなんとかしないと…」

          最後の水袋を取り出す


アニト「…ハッ!そうか!投げればいいんだ!」

   水袋を見て何かをひらめき、石の礫を手に取る


木竜「グオォーー!」

   アニトに追撃しようと、距離を詰める


アニト「やぁ!」逃げると同時に水袋を投げる


 不発で水袋が破裂する事は無かったが

  木竜の顔に水がかかった為、木竜に隙が出来る


アニト「これで最後だぁ!」

         離れたアニトが石の礫を投げる


木竜「…グォォッ!」

  木竜に当たった瞬間に石の礫が大爆発する、

         木竜が吹き飛び、後方へ倒れる


アニト「勝った…?」


木竜「グォ…」力なく体を起こす木竜


アニト「ま、まだくるの?!」急いで石の礫を拾う


木竜「グォ…ォォ…」

 アニトを見た後に力なく崩れ、

      フッと消え緑の綺麗な魔石を転がす


アニト「か、勝った…」

   勝った喜びからか、

     生き残った安堵からか膝をつく


タマがアニトの隣へ飛んでくる


タマ「まあ及第点ってとこだろ」


アニト「急に戦わせといて偉そうに」顔を顰める


タマ「ただ爆破を手投げとして思いつくのが遅いな」


アニト「知ってたんなら教えてよ!」


タマ「お前は自分で考えて動かないから!

          万年麺男だったんだろ!」


アニト「うっ…」

     見事に言い当てられ言い返せない


タマ「おい何レベだ?」


アニト「教えない…」

  機嫌を損ねた様に顔を顰めてそっぽを向く


タマ「ホッホー…いいのか…?」

      不敵な笑みを浮かべる


アニト「ど、どうせタマなんかに

       大した事出来ないでしょ!」

      戸惑いながらも頑とした態度を取る


タマ「へ〜…じゃあ俺がここで騒ぎまくって

    モンスターを手当たり次第集めても

      大した事じゃ無いよなぁ〜」

         ニヤつきながら言う


アニト「そんなの怪我人、相手に卑怯だよ!」


タマ「レべルは?」ニヤニヤ勝ち誇った様に言う


アニト「……よ…41です…」

      本当に騒ぎそうで怖くて白状する


アニト Lv41

スキル:麺を一日一本飛ばす、筋力強化Lv2、防御Lv2、比較的早く水を水蒸気にするLv1、2分の1の確率でスキル効果を瞬間的なものに圧縮するLv1、爆破Lv1、スキル購入

経験値44722/46216

残りSP16


タマ「イッヨシャッー!」力一杯歓声を上げる


アニト「声が大きー…!」声を殺して指摘する


タマ「よし!

   じゃあSPを圧縮するスキルに全振りだ!」


アニト「え?今?」


タマ「今やってもっと狩るんだよ!」


アニト「ホントにもう死にそうだから頼むよ!

               一時帰宅させて!」


タマ「じゃあ夜も来るか」


アニト「無理無理!

       谷はホントに暗くなるから!」


ーーー木竜の魔石を回収し町へ戻る



ラビノ「よお!馬鹿スキル!

       なんだそんなボロボロで

         ゴブリンにでもやられたか?!」


町の入り口でラビノと鉢合う


アニト「…」無言で通り過ぎようとする


ラビノ「おい、待てよブラックバット狩り連れてってやろうってんだぞ?暗い洞窟で難易度高めな分、報酬もいんだぜ?」


タマ「そんな雑魚経験値いらないな」


ラビノ「なんだそいつ?」


アニト「鳥だよ」適当に返す


ラビノ「鳥は喋らねえだろ、

       馬鹿スキルは頭も馬鹿か?」


カダリ「おい、ほっといて依頼行こうぜ」

    パーティの中のリーダー格の男が言う


レイデム「早く行こうぜ、

        活発な夜じゃないと厳しくなるぞ」


ラビノ「ああ、オッケー

       じゃあな!馬鹿スキル!」


アニト「…」グッと堪える



ーーーー家に帰って来た二人



アニト「ただいまー」


マリー「おかえりなさい」


アニト「お腹空いたよ〜」


ブラン「今日も頑張ってきたんだな」


アニト「まあね」


ブラン「ほどほどにな」


マリー「あんまり無茶しないでね」


アニト「うんわかってるけど、

        タマが無茶を要求してくるんだ」


ブラン「弟の頼みか!」


マリー「お兄ちゃん頼るなんて

         可愛いとこ有るわね!」


アニト「え?!」


ブラン「弟に頼られるお兄ちゃんで

             良かったな!」


マリー「しっかり面倒見るのよ」


アニト「は?!」


タマ「頼んだぜー?お兄ちゃ〜ん」

        タマがニヤニヤしながら言う


アニト「いや待ってよ!

       そもそもこれ弟じゃないよ!」


ブラン「あ、妹だったな」


アニト「違う違う違う!」


マリー「そうよね、違うわよ

      タマタマちゃんは多分男の子よ」


アニト「そういう事じゃないよ!」


タマ「妹でもいいわよ〜、

        よろしくねお兄ちゃん」


アニト「ホントにやめてー!」



ーーーー次の日…



二人はまた谷に来ていた


アニト「一日くらい休んでも良くない?」


タマ「いいのか?!一番になる奴はな!

  一番努力するから一番になれるんだぞ! 

   人が休んでる時も努力し!

    人が努力してる時も努力してるから!

      一番になれ」


アニト「わかった!わかった!もーいいよ!」

         タマの話を無理矢理遮る


タマ「分かればいい」


アニト「ハァ…まだ体痛いのに…」


タマ「おい、SP振ったか?」


アニト「振ったよ」


2分の1の確率でスキルを瞬間的なものに圧縮するLv1にSPを5振り


4分の3の確率でスキルを瞬間的なものに圧縮するLv2になり、


さらに5振ると


スキルを瞬間的なものに圧縮するLv3になっていた


その上硬化に5割り振り、防御スキルもLv3に


アニト Lv41

スキル:麺を一日一本飛ばす 筋力強化Lv2、防御Lv3、比較的早く水を水蒸気に変えるLv1、スキルを瞬間的なものに圧縮するLv3、爆破Lv1、スキル購入

経験値44733/46215

残りSP1


タマ「よろしい」


アニト「筋力強化とかじゃなくて

            良かったの?」


タマ「馬鹿なのか?

    お前、石ころ有れば爆破させ放題で、

              筋力いらないだろ」


アニト「それはそうだけど…

     疲れるんだよね爆破…

     それに正々堂々じゃなくてカッコ悪いし」


タマ「選り好みして、戦える程強くないだろ」


アニト「今日は木竜狩り?」


タマ「いや、よく考えたら、

    硬化Lv3で木竜いる様な奥地行ったら、

     他のモンスター寄ってきて蜂の巣だな」


アニト「そうだね…それ僕言ったけどね」


タマ「そーこーでーだ」


アニト「なんか策が?」


タマ「この辺りのモンスターを狩りまくる」


アニト「策でもなんでもないね…」


タマ「壊して壊して壊しまくれば、

     木竜の一匹も飛んでくるだろ」


アニト「なんて物騒な…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る