第5話まだまだ弱い

ーーーー次の日



アニト「今日は依頼行くよ」


タマ「おいレベル上げは?!」


アニト「生活もあるし、

       そんなことばっかりしてられないよ」


タマ「うぬー…!」渋々聞き入れる


タマ「そうだ、一応スキル強化しとけ」


アニト「なんで?」


タマ「いつ何に出くわすか分からないだろ、

       お前死ぬとジ・エンドだからな」


アニト「怖いこと言わないでよ…」


タマ「とりあえず硬化を2にしとけ」


アニト「はいはい…人のSPを

       あーしろこーしろうるさいなぁ…」


SPを5消費して防御スキルへ割り振る


防御Lv1→防御Lv2


アニト Lv33

スキル:麺を一日一本飛ばす、筋力強化Lv2、防御Lv2、比較的早く水を水蒸気に変える、二分の1の確率でスキル効果を瞬間的なものに圧縮する、スキル購入

経験値19835/20675

残りSP18



ーーー


ギルドへ来たアニト


アニト「今日はなんの依頼が…あ、コボルト」


タマ「せっかくスキル強化したのにまたコボルトか!

      お前コバルトに何の恨みがあるんだ!」


アニト「安定こそ生きる上での鉄則だよ」


タマ「けーっ!それ終わったらレベル上げだぞ!」


アニト「はいはい」生返事で適当に返事する


ーーー依頼指定の町近くの森へ



アニト「やっ!はっ!」


コボルト「ガフッ!」アニトに斬られて倒れ消える


コボルト「ワウォンッ!」

    他のコボルトが木の棍棒を振るう


アニト「…グッ…!イタッ…」

  腕で棍棒を防ぐが、

       防御を強化した為、

           大したダメージにならない


アニト「…けど大したことないよっ!」棍棒を押し返し斬り伏せる


コボルト「ガォゥッ…!」コボルトが倒れる


アニト「ふぅ…」剣を腰に収める


アニト(硬化スキル強化したおかげで

           結構余裕あったかな…)


タマ「こんなところじゃ足しにならないだろ」


アニト「そうだね、

このあたりはそろそろ卒業かもね…」


ーーーギルドへ報告の為に戻る…


ナケイラ「もう終わったんですか!

            いつもより早いですね!」


アニト「うん、まあね」


ナケイラ「レベルアップして

          スキル強化したとかですか!」


アニト「よくわかったね」


ナケイラ「ふふん!

   こう見えて人を見る目はある方なんですよ!」

         ふんぞりかえるナケイラ


アニト「…それはそうと依頼報告したいんだけど…」


ナケイラ「あ!し!失礼しました!」

            焦り仕事を進める


タマ「鈍臭い女だな」


ナケイラ「しゃっ!喋った!

         その鳥ちゃん喋るんですか?!」


アニト「なんかちょっと前から家に住み着いて、

      毎日ギャーギャーうるさいんだよね…」


ナケイラ「そうなんですね…

          名前とかあるんですか?」


タマ「タマタマだ!」ギルド内がギョッとする


ナケイラ「えっ?!」


アニト「違うよ!タマだよ!タマ!」


ナケイラ「あ、そ、そうなんですね、

          猫みたいな名前ですね…」


ーーー



依頼報告が終わり、ギルドから出て家路につく


アニト「もぉ〜酷い目に遭ったよ…」


タマ「あの女のせいだな」


アニト「タマのせいだよ!」


メキア「おいお前、

       馬鹿スキルこんな所で何してんの?」


同級生で冒険者同期の三人が歩いてくる


アニト「メ、メキア…」

   会いたくなかった者に会ってしまい、

          しまったという様な顔をする


ロジール「お前がこんな所いたら

       麺で汚れるだろ?!

         家でラーメン作ってろ!」


赤い鞘の綺麗なショートソードを刺したロジールが、

            アニトの右肩を強く押す


アニト「ッ…!」言い返してやりたいが、

           言い返せないアニト


バナン「お前んちは一本ラーメンとかって、

         お前らは一家揃ってヤバいな!」

 両刃の斧を背中に掛けた、バナンが言う


アニト「お父さんとお母さんを悪く言うな!」

 怒鳴るアニト


メキア「馬鹿スキルのくせに逆らうのか?」

 イラついた目つきでアニトを睨む


バナン「こっちで話そうぜ」

 そう言って横道の路地へ押されて連れて行かれる


アニト「お父さんとお母さんの事を謝れ!」

            路地奥で怒るアニト


バナン「馬鹿スキルがうぜんだよ!」

 アニトを殴るバナン


アニト「がっ!」殴られた口の中が切れる


バナン「万年ゴブリンコバルトゴブリンコバルト行ってる様な奴がギルド来んじゃねえよ!家で麺飛ばしてろ!クズが!」

 罵倒しながらアニトを何度も殴る


メキア「おい、その辺でやめとけよ時間無いだろ」


ロジール「依頼報告行くぞ」


バナン「チッ…!

    次目の前に出てきたら殺すぞ馬鹿スキル!」


最後にバナンがアニトを蹴って転がし、

              三人が去っていく


アニト「ゲホッゲホッ!…ッイタ…」


タマ「…やられ放題だな」見ていたタマが声をかける


アニト「いつもの事だよ…

         今日はちょっと酷いけど…」


タマ「防御Lv2でも全然だな」


アニト「向こうは筋力強化3だからね…」


タマ「お前…悔しくねえのか…?」


アニト「…」


涙が出る程、悔しいが勝てる訳もないので、

   拳を握り我慢し自分を押し殺そうとする


タマ「悔しくねぇのか!!」声を上げて、強い口調で聞く


アニト「悔しいよ!悔しくて堪らないけど!最初っから筋力強化とか硬化とか雷スキル持ってる奴相手じゃ!僕にはどうしようもないんだよ!こんな馬鹿スキルの僕じゃ!」


タマ「そんな事、も言ってるから万年雑魚狩りなんだよ!やる事は一つだろ!」


アニト「こんなハズレスキルの僕が追いつける訳ないよ…」


タマ「少し前に戦える事は証明しただろ!

     次だ次!今から死ぬ気でレベル上げだ!」


アニト「今からなんてもうすぐ夜だよ!」


タマ「明日やろうは馬鹿野郎だ!二つに一つ!

  強くなるか!弱いままか今選べ!」


アニト「ああ!わかったよ!強くなってやるよ!」


タマ「よく言ったぁぁーー!よぉし!

帰ってマミーとパピーの飯食ってレベル上げだー!」


アニト「え?いや今からじゃないの…?」


タマ「腹が減っては戦が出来ぬ!

            弁当作ってもらおー」


アニト「なんなのホントに…」

   先行するタマを見て呆れる


アニト(真剣に言った僕が馬鹿みたいだ…)


ーーー家に帰り、

     自分の惨状じゃ入りにくいが、

               玄関を開ける


アニト「…ただいま…」


タマ「マミー!パピー!帰ったぜー!」


マミー「おかえり二人共…

      え?!どうしたの?!アニト!」


ブラン「大丈夫か?!」


アニトの顔が腫れ、切れた口を見て

        目を見開く父ブランと母マリー


アニト「喧嘩しただけ…」


マリー「……そうなの…ご飯できてるわよ…」

       深くは聞かずに食事の用意をする


アニト「…」

 無言で時々痛む口の痛みに耐えながら、食事を取る


アニト「お父さんお母さん…」


マリー「どうしたの…?」


アニト「今からちょっと出てくるから、

               お弁当欲しい…」


マリー「もう夜よ!明日にしなさい!」


アニト「明日になると、ダメなんだ…」


マリー「一日くらい、いいじゃない!」


アニト「…」


ブラン「よし!行ってこい!」


マリー「お父さん何言ってるの!危ないわよ!」


ブラン「今日やり残した事があるなら、今日やってきなさい!明日やっても今日の分は一生取り返す事が出来ない!」


マリー「そんなホントに…危ないわよ…」


アニト「今日、自分に負けたらダメなんだ…」


マリー「……わかったわ!

    ご飯食べてる間にお弁当作ってあげるわ!」


タマ「やったー!サンキューマミー!

              コロッケも欲しい!」


マリー「任せなさい!」


ブラン「何か必要な物が有れば

             なんでも言うんだぞ!」


アニト「ありがとう…お父さん…」


ーーー食事が終わり玄関先にて…


マリー「気をつけていくのよ…」


ブラン「いつでも家で待ってるぞ!」


アニト「頑張ってくるよ」


タマ「マミーパピー行ってくるぜー!」


マリー「いってらっしゃい」


ブラン「タマタマも怪我しないようにな!」


タマ「だいじょぶだー!」


アニトとタマが町の外へ向かって行く


マリー「止めるべきだったかしら…」


ブラン「もう自分で自分の道を歩いていく歳だ…」


マリー「大人になったのね…」


マリー「…ハッ!

もし大人の階段登る本を見つけた時どうしましょ!」


ブラン「た!確かにそれはそうだな!」


マリー「見て見ぬフリの方がいいかしら?!」


ブラン「よしお母さん!予行演習しておこう!」


マリー「そうね!お父さん!」

          二人がバタバタと家に入る

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る