第48話

「さっきの轟音ごうおんはなんだ??!!近くに雷でも落ちたか??!!」


 声の主は、ブライアンであった。


「・・・いえ、岩のようです!!空から岩が降ってきました・・!」


「・・・・投石器か‥!流石エリオス中佐だ・・・!味な真似を・・・!!」


「どういうことですか、ブライアン軍曹???!!」


「まず、マンソン隊で戦線を押し上げられるだけ押し上げ、ある程度の距離からはいしゆみを射かける。これは角度の浅い平射だ。そして、こちらの射兵からの反撃の射撃や、大手門からの進撃が来る、タイミングで、曲射で投石器からの攻撃で、頭上を留守にした状態で、真上から攻撃しやがった。さらに雨音が投石機の発射音も消したんだろう。」


「・・・なんと、複雑な策略を・・・!!」


「卒爾ながら・・・注進であります!!グレコ大佐率いる斬り込み隊は跳ね橋と、城壁の瓦礫がれきに呑まれ、濠に落下した模様!!死傷者は10数名に上りそうです!!」


「落ち着け!!落ち着け!!落ち着け!!態勢を立て直せ!!!」


 さらに一人の伝令が大広間に転がり込んできた!!


はばかりながら・・・ブライアン軍曹!!大変です!!搦め手門側、4時の方向から敵襲の模様です!!大量の征矢が射かけられ、衝車しょうしゃ(丸太を水平に台車に乗せた攻城兵器)により搦め手門に亀裂が入っている模様!!どういたしましょう!!??」


「・・・ぐう!!!、挟撃きょうげきか・・・・!!」


(やはり、地の利は向こうに有ったか!!この監獄を複雑に取り囲んでる、山道を全て把握してるな・・・!!マンソン隊が隊伍たいごを組むのにもたついている間に、別働隊べつどうたいをこの監獄を迂回うかいするように、手配していたな!)


「・・・もうよい、から門側には俺が行って、直接指揮を取る!!」


「な!?それでは・・・!?」


 部下の将兵に不安の色が走る。グレコを制御できているのは、ブライアンが健在だからである。かつての斬り込み隊で同じかまの飯を喰らい、死線しせんくぐった者同士のみが、連帯できる信頼である。なので車の両輪のような役割である。刎頸ふんけいの交わりといって良い。


 この様な両者が切り離されれば反乱軍は自壊じかいしかねない。


(・・・いや、そこまで考えてのエリオス中佐の離間りかんの計か・・!?)


 この伝令の部下は暗然とした。


 この喧嘩は最初から勝てる、喧嘩では無かったが、ここまで一気に押し潰されるとも思ってなかったからだ。


(しかし、我らにも魔薬異能力者のブライアン軍曹とグレコ大佐が居る!!この二人の戦力でもしかしたら、もしかする!!)


 とも思う。

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