第47話

 存外にマンソンの片腕の男は、あきらめが早かった。


 先程の異音と悪臭あくしゅうは、勿論、エピの脱糞だっぷんが原因であった。


 尾籠びろうな話だが、芋虫いもむしの様に雁字搦がんじがらめに麻縄で縛られ、山刀を首筋に突き付けられ、身動きが取れなかったが、拉致らちされたのが、排泄する前だったので、時機を見て敢えて失禁したのだ。


 命が掛かってるので、汚いも(文字通り?)クソも無かった。


 佩剣はいけんを抜いた、トム、ジェームス、ビルの3人がかりでは、ナッシュは敵わないとすぐに投降とうこうした。


 大立ち回りも何もなく、神妙にお縄についた。


 矢張やは所詮しょせん三下奴さんしたやっこなので自分の命が惜しいらしい。


 その一部始終を、アイバァとフェーデは,凝視ぎょうしして何が起こっていたかを、確認した。


「あんなところにエピが!!・・・なんか混乱が有ったらしいけど、どうやればあいつを奪回できるか・・・。」


「・・・・・・。」


「・・・?どうしたんだ?なんで黙ってるんだよ?」


 フェーデがアイバァの方へあぎとを向ける。


 なおも彼女は、口を閉ざしている。その表情はうつむいていて暗くて良く見えないが、彼女らしい明朗さが無いのだけは確かの様だ。


「・・・いや、十分よ。材料は十分にそろったわ・・・!これで彼を取り戻せるわ・・・!」


 この女剣士の脳裏のうりには、何らかの秘策がよぎったらしい。



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