第223話 タリスマン
「じゃあ、とりあえず呪いとかの不都合な効果はないんですね」
あたしは、魔法道具屋の店主に言われた鑑定内容を確認している。
クリフの魔法道具屋では鑑定できなかったため、10日前にグライナーに持ち込んだのだけど、正解だったらしい。
「ええ、ただ不思議なこともありまして……」
「不思議なこと、ですか?」
「ええ、鑑定では魔法増幅と魔力消費軽減の効果があるはずなんですが、実際に使ってみても何も効果が確認できなかったんです」
「使い方を間違えているとかは?」
「ふむ、それも無いと思います。普通こういったアイテムは身に着けているだけで効果がでるものなので。それでも一応念のために魔力をエンチャントして使ってみようともしたのですが……」
「が?」
「依頼した魔法使いの魔力を全てはじいてしまいまして、エンチャント自体出来なかったんですよ」
ああ、これは聖剣と同じパターンかしらね。となるとあたし専用?それとも聖属性魔法専用くらい?
「で、どうします?」
「どうって?」
「これ売ります?デザインはアンティーク調ですし、魔法使い用のタリスマンであること自体は間違いないので、それなりの金額にはなりますよ」
「いえ、とりあえず持って帰ります。鑑定料は1万スクルドでしたよね」
あたしは鑑定料金を支払うと、タリスマンをマジックバッグにしまった。
「クリフに帰りますか?それともグライナーで何かすることがありますか?」
護衛というより、この世界での常識担当として一緒に来てくれたマルティナさんが気楽に声を掛けてくれた。鑑定料金も魔法道具屋の主張も妥当だってことね。あとは帰るだけなんだけど、別に急ぐ必要はないから。
「そうね、ちょっとだけタリスマンのテストとお店を見て回りたいかしらね」
今はマルティナさんと2人だけだけど偶には良いわよね。グライナーなら少し良いものが手に入るし、美味しいものも食べられるものね。他のメンバーと合流するのはもう少し後だし。
それでも一応タリスマンの試用はしておいたほうが良いわよね。
あたしとマルティナさんはグライナー近くの草原に来た。このあたりの魔物ならあたしとマルティナさんの二人で十分。早速あたしは、探知魔法を展開した。
「あっちの方にオークが3匹居ます。あれで実験してみましょう」
あたしたちは、オークが視認できるところまで近づいて魔法を撃ってみることにした。
まずはファイヤーアローくらいかしらね。
「ファイヤーアロー」
オークが消し飛んだ。そんな魔力をつぎ込んだ感じは無いし、思ったより若干魔力消費が少ない感じするわね。その割に威力は大きいわね。そして次
「ホーリー」
こちらも同じように普段より若干魔力消費少ないわね。効果は・・・
こっちは思った効果の数倍ありそうだわ。ファイヤーアローで生き残った2匹のオークがあっという間に蒸発するように消えたわね。
あとは、タリスマンに魔力をエンチャントしてどうなるかかしらね。
「なるほど、魔法道具屋のテストでは効果が出なかったのが、朝未が使うとはっきりとした効果があったわけだね」
クリフに戻ったあたし達は、今、タリスマンを使ったテスト結果をみんなに報告しているのだけど、魔法道具屋での鑑定結果とあたしの実験結果を話すとみんな難しい顔になったのよね。
「ええ、あとで瑶さんとユキにも試してもらわないと効果があたしだからなのか、召喚者なら効果があるのかはまだ分からないですけど」
結果として、タリスマンはあたしの首に掛かるかとになったのでした。
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おひさしぶりです。病気のあと中々執筆できず。
期間が開いてしまいましたが、どうにか223話を書き上げることが出来ました。
これからも不定期な執筆となってしまうとは思いますが、引き続き連載を続けていきたいと思います。よろしくお願いします。
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