第5話
Aちゃんの家は母子家庭で、葬式にお父さんはいなかった
そのお父さんは何年も前に外国へ行ってしまったらしい
葬式には僕を含めたクラスメイトたちが集まった
葬式のあと、ひとりのクラスメイト(男)に話しかけられた
クラスメイト「おい、お前なんか知ってんじゃねーのかよ」
僕「なんだよいきなり」
クラスメイト「おれ知ってるぞ、昨日Aがお前んち行ってたの」
僕「だからなんだよ」
クラスメイト「お前がもっとしっかりしてたら、Aは助かったんじゃねーのかよ!」
僕は頭が熱くなるのを感じた
僕「うるせえ!」
僕は逃げた、家まで一直線に、息をするのも忘れて走った
僕「うわあああああああ」
家の扉を開け放つ
あちこちに体をぶつけながら僕は自分の部屋を目指した
そこにはいる、僕のAちゃんが
会いたい
僕「いた」
僕はAちゃんを大きな黒いかばんに折りたたんで詰め込んだ
僕「よし行こう」
Aちゃんと二人きりの深夜徘徊が始まった
このままどこまでも進んでいこう
どこまでだっていい
気が済むまで
脚ががたがたになるまで歩こう
Aちゃんと僕が過ごした思い出がたくさんつまったこの町からいなくなろう
新しい門出を夜空に光る星も僕らを祝福してくれているような気がした
人気のない通りで向かい側から誰かが歩いてきた
僕は身をこわばらせる
赤いフードを男はかぶっている
赤いフードの男「クククク」
僕「なんだよ・・・?」
脳裏に昨日ニュースでみた殺人事件がよぎった
Aちゃん(加害者はまだつかまっていないらしい)
Aちゃん(こわいねー)
Aちゃん(いかにもオタクってかんじでー)
赤いフードの男が懐から銀色に光るものをとりだした
僕「・・・よお」
僕の脚は登山のせいで筋肉痛にでもなったのか全くと言っていいほど動かなかった
完全に僕は凍りついている
赤いフードの男がこちらに向かって走ってきた
僕の心臓が高鳴る
バク・・・バク・・・バク・・・バク・・・
鼓動がヘビーメタル並みに早くなってきた
バクバクバクバクバクバクバクバク
僕(ヘビメタバンドも顔負けのビートだぜ・・・)
場にそぐわないジョークが浮かぶ
僕は泣いて目を閉じた
僕「Aちゃん・・・」
ガン!
次に目を開けると目前ではAちゃんのドールが赤いフードの男のナイフを受け止めていた
僕は尻もちをついて唖然に取られていた
赤いフードの男は逃げようとするが
Aちゃんのドールは捕まえて離さない
赤いフードの男「グギ・・・グゴォ・・・」
そのままAちゃんのドールは赤いフードの男の全身を握りつぶした
赤い花火が咲いた
僕はそのまま失神した
次に目が冷めた時すべて夢だったと願おう
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