第3話

それは突然の事だった。私は大事な話があるからリビングに来いと呼び出された。何ヶ月ぶりかに家族3人が揃った。

「あきら。父さんたちな離婚することにした」

父から淡々と告げられる言葉にわたしは何の感情も抱かなかった。

居ないもの同然に扱う両親にもう何の期待もない。だから正直どうでもよかった。気がかりといえば自分の暮らしだけだ。流石に私でも高校も出ていない、そもそも部屋から出ない人間が1人で生きていけないことくらい分かっている。


「それでね、あきらはお母さんの実家で一緒に暮らさない?」

この言葉には少し驚いた。まるで私は存在していないかのように接し始めたのはこの人が最初である。そんな母に私に着いてこいなんて言われても何か裏でもあるんでは無いかと思わず疑ってしまう。実の母にこんなことを思うのは如何なものなのか。いや、そもそも娘にこんな事を思わす母も母か。まぁ、そんなこと考えても私の答えは決まっている。

静かに首を縦に動かす。

どんな母でも父について行くよりは断然マシだ。酒に溺れる父について行けばどうなるか分からない。何より、母のお母さんつまり、私から見たら祖母のかずばぁは唯一私の事をきちん私としてと見てくれる存在だ。

「ほんと?あっ、でも高校変わっちゃうわよ?」

母は戸惑いのような、救いを求めるような声で言ってきた。きっとこの人は私に着いてきて欲しくないのだ。今通っている高校も母が強制的に受けさしたようなもの。この地域では有名な進学校。中高一貫校のため小学生の時、何も知らない私に受験させた。すべて母の見栄のためである。

もちろん家に引きこもっている私は学校になんて行ってないし。だから高校が変わるもクソもない。久しぶりに顔を合わせたがやはりこの人たちは嫌いだ。腹もたつが何もよりもう話したくない。

これ以上聞いていても意味がない。

「ちょっと、あきら?!」

母が何やら言ってはいるが、私は目も合わせずそのまま部屋に戻った。そういや、いつ引っ越すとか聞いてない。が、どうせ荷物と言ってもパソコンとスマホくらいだからなんとかなるだろう。

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