第3話 オルタナティブソード
ユウリは前日シリウスに言われた通り仕事が終わった後にこの前出会った草原に来てほしいとのことだった。
昨日はいろいろとありすぎた。
あの後のことといえばシリウスさんから細かいことは明日話すことにするから今日は帰った方がいいと言われ結局のところ稽古はせずに終わった。
アキラとの約束はベテルギウスさんが彼ともあっておきたいので話すついでに今日のことも伝えておきます。と言っていたので大丈夫なはずだと思う。
ユウリはその他にもいろいろなことを考えながらシリウスが待つ草原へと向かっていった。
昨日は自宅に帰ってからもずっとこのような感じで仕事の最中もあの黒い剣の事やシリウスさんが俺に稽古をつけるといった訳が分からな過ぎてずっと考え続けていた。
ようやく草原の前に来ると昨日会った時と同じようにフードを被っていて、草原の前で待っていた。
シリウスは近づいてきたユウリに気がつくとフードの下から覗くようにしてこちらを見てきた。
「よっ!時間通りに来てくれたな」
「すいません。少し待たせてしまったみたいで…」
ユウリが深々お辞儀をするとシリウスが頭を下げようとするユウリの頭を止めに入る。
「いや、昨日も言った通り普段の感じでいいから……あとそれにまだ全員(・・)じゃないから」
ん……全員(・・)じゃないって?
ユウリが疑問を浮かべるとユウリの背後からユウリと同い年ぐらいの人がこっちに向かってきた。
「あ~お待たせユウリ…あれその隣にいる人は知り合い?」
なんとそこに現れたのはこのことを知るはずがないアキラだった。
するとシリウスさんがフードを頭から外しアキラの前まで歩いていく。
「ベテルギウスからここに来るようにしか言われてないから自己紹介がまだだったね、あんまり驚かずにいきたいところだけど……俺はシリウス、シリウス領の領主だよろしくな」
シリウスが自己紹介をするとアキラは口を開けて固まった。しばらくするとアキラがユウリに迫ってきてこう言ってきた。
「ちょちょちょtyまて!なんでここにお前とシリウスの領主様が一緒にいるんだよ!?なんで!!俺何も悪いことしてないけど!?」
アキラのいいリアクションのおかげで隠れてるけど今の俺もちょっと混乱していて実際のところ何が何だかわからない
「ベテルギウスのやつ、さては俺がここに来ること教えてないな……まぁいいや、とりあえず彼を落ち着かせるためにきのうのことを話そうか」
「昨日そんなことがあったんですね……」
アキラはシリウスの説明をなんだかんだ落ち着いて聞いていた。
「まぁだいたい今話したことが昨日のことなんだけれども今日アキラをここに呼んだ理由としてはユウリの練習相手として来てもらったんだ。俺は実際二人の稽古しているところを見ていろいろ教えていく感じになるかな」
「そうなるとアキラがいる理由は俺の練習相手としてここに来てくれたってことですか?」
シリウスに問いかけるとアキラが先に話した。
「そういうこと!だけどまさかシリウスさんが来ることはベテルギウスさんからは聞いてなかったから驚いたよ!」
「そのことに関しては本当にすまなかったね……ベテルギウスが説明してなかったのが原因だけど……その代わりと言っては何だけれども、ベテルギウスの見る目を評価して君たちの潜在的な能力を引き出していけるよう訓練していくから」
少し思ったのだけれどもシリウスさんとベテルギウスさんっていったいどういう関係なのか気になるかも。
「なんか悪いな……勝手に俺の練習相手に巻き込んじゃって」
ユウリがアキラに謝るとアキラは
「いいって、それより俺もベテルギウスさんにシリウスさんから学んでおけって言われてさ、だから互いにこれから頑張っていこうぜ!」
そういうとアキラはこぶしを突き出してきた
「俺からもよろしく頼むよアキラ!」
ユウリも拳を突き出してアキラの拳に合わせる。
「よしっ!それじゃあ早速訓練に移る前に二人ににはこいつの説明をしておかなくちゃな」
シリウスが周りからは見えないフードの中から昨日見たあの黒い剣を取り出してきた。
「その黒い剣が昨日ユウリが持ったら急に重量が増したっていう剣ですか?」
アキラもその黒い剣を見てその黒さに驚いていた。
「そう。この剣は昔から《オルタナティブソード》と呼ばれていて《古の大戦時前》から存在していたとされている剣なんだ」
「オルタナティブソード……」
ユウリが手にした瞬間なぜか温もりを感じたあの不思議な剣………
「この剣はいろいろと謎でこの剣を作成した製作者が不明で使っている素材もそうやって作られているのか見当もつかなくまさに未知の剣とされているが、明確になっていることがあってこの剣の切れ味についてなんだが世界一強固な鉱石である金剛石をも綺麗に真っ二つに割ることができた剣なんだ」
それを二人が聞いて驚いた。
金剛石とはこの世界の鉱石のどの鉱石よりも固い鉱石でありすごく希少価値な物である。
実はこの金剛石を100%使って作成されている剣がこの世に一本存在しているがその剣が………
ユウリはアキラと同時にシリウスが腰にかけている剣に目がいく。
「あぁさすがに俺のこの《エクスカリバー》を実験台には使えなかったから友人に頼んで金剛石の原石でやった結果だから」
シリウスがそういうと二人はほっと息をつく。
「それで今回ユウリには実際にこの剣を使ってトーナメントまでの間、訓練を行ってほしいんだ、そこでトーナメントで結果を出してほしい」
そういってシリウスはオルタナティブソードをユウリの前に差し出す。
「えっ!俺がこの剣を……」
ユウリはそういいながらもおずおずと渡されたその剣を手にする。
ユウリが剣を握るとやはり昨日と同じくユウリの手に温もりを感じるまるで誰かの手を握っているかのように……
「やはり君はその剣から温もりみたいなのを感じているようだね」
「えっ……この感じ分かるんですか?」
「実は僕も昔その剣を手にしたとき同じような体験をしたことがあってね、今ではその剣からは何も感じなくなったけどその時も昨日と同じように重量が急に増す現象が起きて酷い目にあったけどねw」
「この剣はどうやら人を選ぶみたいらしい、だから君もいつかは俺みたいに、もしかしたら俺をも超える存在になっていくだろう、いやアキラと共に必ず超えてくるさ」
ベテルギウスさんにも昨日同じことを言われたけど二人は絶対に冗談を言っているわけではないことは分かってはいるのだけれどセンス0の俺がそんな大きい存在になるなんて現実味がなくて素直に受け取れなかった。
それでも俺のために協力してくれる人がいるのはとてもうれしく思いその期待に応えたかった。
「自分がシリウスさんみたいな存在になれるかわかりませんけれど何とかトーナメントの日まで訓練をしていい結果を出せればと思います」
「よし!それじゃあこれからトーナメントの日まで訓練頑張っていこう!」
シリウスがみんなに気合を入れると草原の少し開けた場所に移るその途中でシリウスが立ち止まりユウリとアキラに向けて
「あと一つ課題でこれから俺の事は(シリウス)で呼ぶように」
「さすがにそれはいろいろまずくないですか?」
アキラが苦笑いを浮かべながらシリウスにいうが、
「いまのうちにそうしておかないと俺を超える存在になった時どうするんだよ、剣術ではイメージも重要だからな将来の自分を常にイメージすること。分かったらほら!」
ユウリとアキラは互いに見合い、互いに少し笑った。
「わかったよシリウス」
2人がそう言ってからは3人はまるで友達のように呼び捨てをするような仲になっていた。
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