第3話 課題のあくる朝

まだ太陽の日が上がらない薄暗い中、何故だか目が覚めた。

不思議だった。

いつもは目覚ましのアラームが鳴っても眠りの中から起きようと出来ず、嫌々しょうがなく目を覚まし、慌てて身支度を済ませるのだ。

まだアラームはなっていない。

いつも目を覚ます時間までには、まだ1時間も目覚めは早かった。

そして、、、気分はスッキリしている。

不思議だった。

疲れが取れず、疲労感のまった重い身体は何だったのだろうか?

早い時間に目覚め、身体が軽い分、軽やかな行動のスタートが始まった。

カーテンを開け、窓を開け、部屋の床を箒で掃き、雑巾がけをした。

朝食の用意をし、朝ごはんを食した後、まだ時間に余裕を感じて私は、魔法の記述書を開いた。


「やぁ!おはよ!」

「早いじゃないか!」


彼は爽やかだった。

そして、心なしか文字が浮き上がる姿も軽やかだった。


「何かいい事でも?」


「君が僕を必要とした!」

「そして、僕のアドバイスを実行してくれた。」


「何故、分かるの?」


「こんなに朝早く、そして昨日の今日だろ!?」

「そして君の顔!スッキリしている!」

「なにか違わないかい?昨日の君と今日の君!」


「何故だか分からないんだけど。。。寝起きが良い。」

「そして、何故だか分からないんだけど。。。身体が疲れていない。」

「そして、何故だか分からないんだけど。。。身体が軽い。」

「分からないけど。。。なんだか若返ったようだ。そんな気がしてしまう。。。」


「そう。。。良かった。」

魔法の記述書は、なぜだかほっとしていた。


「君は僕の出した課題をした?」

「たぶん、本をペラペラめくったり、インターネットを立ち上げて、すぐに落としたり。。。」

「約束を破りながらも、約束を守ろうとしてくれたんだろうね。。。」

「そして君は、情報をシャットアウトした後、どんな風に時間を過ごしたの?」

「何にどれくらいどんな風に使った?」


「昨日はあの後、友達たちと話していた時に

話題になったチョコレートのお菓子をお店に探しに行ったり。本も、インターネットもテレビも情報は駄目って言っていたから、、。」


「君の使った時間は、未来の君の為に使われていたかな?」

「君の為の有効な時間だった?」


私はハタと固まった。

何の意味も成していない。まるで無駄遣いの様な、暇つぶしの様な時間の使いかた。

してもしなくても差し支えなく、余った時間を埋めるように立ち寄ったお買い物。

そして、購入したチョコレートも、未来の私の為には成していなかった。

(時間もお金もエネルギーも、無駄遣いの様だ。。。)


「面白いだろ?情報を断捨離した途端、君の時間にスッと入ってきたのは、君の未来に成していない事だった。」

「どうしてそんな事が起きたと思う?」


(・・・。)私は答えられなかった。何も思い浮かべられなかった。

ただ、とてつもなく勿体ない時間を過ごしてしまった様な気がしていた。


「意図していないからだよ。」

「未来の君はどうなっていたい?」

「君は未来を想像していないだろ?思い浮かべられないんじゃないかな?」

「未来が無ければ、君は、、。君の今の時間は、、ただ、、。」

「漂うだけになるんだ。」

「どう?君は、今何を感じている?」

「僕はこれから君に課題を出すよ。」

「何も考えず、何も制限せず。君が思う通りに!」

「1日過ごしてみてくれ。」

「大丈夫かい?もう出かける時間だろ?」

「さぁ!いってらっしゃい!」

先程浮き上がっていた文字は、フッと一瞬で消え。

面白いことに本はパタンと、自ら閉じてしまった。


魔法の記述書は、私の時間を解放してくれた。

そして私は朝から放心状態だった。

私は毎日、時間の無駄遣いをし続けていた事を彼の課題で初めて気が付いた。


魔法の記述書を本棚に戻した。

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