MY HERO④

晃side


星の思いを静かに聞いた。

「星…僕は星を助ける方法があるんだ。」

「俺を…助ける方法?」

僕はポケットから小瓶を出した。

「何んだコレ…?欠片?みたいな…。」

「これは星の欠片だよ…本当の星のね。」

「え、!?」

「この小瓶の中身を貯めれば願いを叶えて貰えるんだ。」

「誰に…?」

星は驚いていた。

自分が助かるなんて考えていなかったのだろう。

「この世界を管理している死神に。星の右胸にある欠片で最後なんだ。」

「この欠片で…か。もう1人の俺を殺せば良いのか?」

「本当は…星を殺したくないよ…。」

「晃…。」

覚悟はとっくに出来てたはずなのに…。

「星…。」

僕と星はしばらく見つめ合った。

すると星は氷を出し氷の短剣を作り出した。

「お前にこんな事させらんないよ。」

そう言って星は右胸に短剣を突き刺した。

何度も何度も刺した。

「星!?もうやめろ!!!」

星の持っていた短剣を払い除けたり

地面が赤く染った。

星の体が揺れ僕にもたれ掛かった。

僕達を取り囲んでいた氷が溶けて行った。

「夜空!!星!!!」

白玉が僕に駆け寄った。

「星!!星!!」

白玉が星の体に触れようとした。

だけど星の体は灰になりかけていた。

白玉の存在を星に伝えないと。

星を助けたいと思っている人が此処に居るから。

「僕は白玉に呼ばれてこの世界に来たんだよ。星が拾って来た猫の白玉だよ!!!」

「し、白玉…?う、そだろ…、?」

白玉が星の型に触れた。

「星…。晃の言っている事は本当だ。妾の大事な人を助ける為に晃を呼んだ。星を助けられるのは晃だけだったから。」

「白玉…お前は俺の事を恨んで無いのか?白玉の事を殺した俺を…。」

星はそう言って白玉の頬を撫でた。

白玉はその手を掴んだ。

「恨むわけない。妾は星を愛しているから。」

星の瞳から涙が溢れ落ちた。

「ごめん…ごめんな白玉。ありがとう。」

「星…僕にとっても星は大事な人だよ?だから待っててよ。」

「晃…。」

「もう1人の星を作らせちゃってごめんな…。僕の為にしてくれた事なのに…。全部を背負わしちゃってごめんね。」

「晃!?分かってたのか?」

「欠片を集めている時に欠けていた記憶と星の思いがら流れ込んで来たんだ。だけど僕は星の事を怖いなんて思わなかった。もう1人の星もありがとうな僕の為に沢山傷ついて。」

僕は星を抱き締めた。

「全部僕が忘れないから。星の思いも。」

「晃…。ありがとう…ごめんな。」

白玉も星を抱き締めた。

星の体温が感じれなくなった。

体の感覚も無くなった。

残されたのは1つの欠片。

「晃…。それが最後の欠片だ。」

「うん。」

僕はその欠片を手に取った。

小瓶の中身の欠片が飛び出し僕の手の平にある欠片に集まった。

そしてガラスの薔薇の形になった。

「晃…やっと全部溜まったんだな…。」

白玉はガラスの薔薇を見て泣いていた。

僕の瞳からも涙が流れた。

言葉では表せない感情だった。

悲しいとか嬉しいとかそんなモノじゃない。

「白玉…。行こう全ての決着の為に。」

「あぁ。」

僕はガラスの薔薇を握り締めながら廃ビルに向かった。


星side


晃には嫌な事をさせられない。

俺を殺せるのは俺だけだ。

俺の作ってしまった殺意を殺す為に。

永遠に俺だけのMYHERO。


ー 愛する人の為なら傷付いても構わない

 愛する人が傷付くより自分が傷だらけになる ー

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