MY HERO②
6年になり晃と同じクラスになった。
だけど晃の事を嫌っているサッカー部の奴等とも一緒のクラスになった事であの事件が起きた。
修学旅行の当日、晃が階段から落ちて大怪我を負ってしまった。
俺は晃が心配で修学旅行には行かなかった。
晃は階段から落ちたんじゃなくて、後ろのアイツ等が晃を突き落としたんだ。
俺はアイツ等を許せなかった。
修学旅行から帰って来たアイツ等を呼び出し我を忘れて殴り続けナイフで傷付けた。
ただ許せない気持ちが強かった。
本当は殺したいと思っていた。
晃の顔が浮かんだ。
晃は俺がこんな事をしてるとは思わないだろ?
俺はこう言うやり方でしかお前を助けられ無いんだよ。
晃に大怪我をさせ記憶まで無くさせたアイツ等が許せなかった。
あの日あの男に出会ってから俺の体に異変が起きた。
あの男が俺の頭を触ってから常に強い頭痛がしていた。
夜中に目が覚めれば俺は外に居て周りには血だらけで倒れている不良達。
「え…?何だよこれ…。」
ヌメ…
手にヌメヌメとした感触がした。
自分の手を見ると血で赤く染まっていた。
「うわぁぁぁ!!」
俺は地面に座り込んでしまった。
「どうしてこんな事に?何で?」
俺は怖くなりその場を離れた。
家に帰り洗面台で手を洗い続けた。
俺はどうしてあんな事をしていたんだ?
眠ったはずなのに何で?
疑問ばかりが浮かぶ。
「星?どうしたの?」
「!?」
洗面台の鏡に母親が映っていた。
「な、何でもないよ!?トイレで起きただけだから…。」
ドキドキしながら母親に言い訳をした。
「そうなの…。早く寝なさいね。」
そう言って母親は寝室に戻って行った。
「フゥ…。」
何とか誤魔化せたな…。
だけどこんな奇妙な事が頻繁に起きた。
学校からの帰り道に子猫が道端で倒れていた。
雨が降っている中で倒れていたから体が冷え切っていた。
俺はその子猫を抱き締め、家に連れて帰った。
母親に許可を取って暫くは俺の家に置いとく事になった。
子猫の名前を白玉と名付けた。
名前の由来は真っ白い猫だったから。
我ながら単純だと思う。
白玉は俺に本当に懐いていた。
俺の後を何処までも付いて来て、俺が寝る時は布団に入って来る。
本当に可愛い…。
白玉を拾って2日後に晃は目を覚ましたと母親から聞いて俺は急いで病院に向かった。
ガラガラ!!
病室のドアを乱暴に開いた。
「晃!!!」
「え…っと…?お母さんこの子誰?」
「え…?」
おばさんは俺に近寄って来た。
「星君…あのね。晃は記憶が無くなっているのよ。」
「えっ?」
「一時的なモノらしいけど…。星君に関する記憶が喪失したみたいなの…。ごめんなさい星君。」
記憶喪失って事?
俺の事を晃が忘れたって事…?
「で、でも!!記憶は戻るんでしょ?」
俺がそう言うとおばさんは黙った。
「おばさん?」
「いつ…戻るか分からないの。もしかしたら何年後かもしれないし、戻らない場合があるかも…って。」
「そ、そんな…。」
「お母さん。もしかしてその子…この写真の子?」
晃がおばさんの後ろに立っていた。
持っていたスマホの画面を見せていた。
覗いてみると、俺の家族と晃の家族で川に行った時の写真だった。
「そうよ、貴方の親友の星君。お見舞いに来てくれたのよ?」
おばさんが晃を俺の前に立たせた。
「ごめんね。」
「え?」
「僕、記憶が無いみたいなんだけど星君?の事を大切に思ってたみたいなんだ。スマホの写真フォルダーを見たらね?星君と映ってる写真が沢山あったんだ!だから…。」
晃はそう言って右手を出してきた。
「僕が思い出すまで待ってて欲しい!!絶対思い出すから。星君さえ良ければだけど…。」
俺の事なんて思い出さなくても良いんだよ。
晃があの事を思い出してしまうかもしれない。
辛い思いなんてしなくていい。
俺だけが傷付けば良いんだ。
「ったくしょうがないなぁ…。待ってるから早くしろよな!!」
そう言って晃の手を握った。
その日から毎日お参りをした。
晃を守ってくれますようにと。
毎日お参りをしていたら神社の神主さんと仲良くなった。
白玉の話をしたら神主さんは喜んで白玉を預かってくれると言ってくれた。
白玉を神社に連れて行き神主さんに渡した。
それからはお参りをして白玉と遊ぶのが日課になった。
すると神主さんに話し掛けられた。
「星君。」
「何ですか?神主さん。」
俺は白玉を撫でながら神主さんを見つめた。
「星君の幸せってなんだい?」
「俺の幸せ?」
「いつも君は晃君の事を思ってお参りしているだろう?だけど君自身に欲を感じ無いんだ。」
「欲?」
「もっと自分自身にも目を向けなさい。君にも幸せになる権利はあるんだからね?」
神主さんの言葉は凄く心に響いた。
俺の幸せ…?
ズキンッズキンッズキンッズキンッ!!
頭に強烈な痛みが走った。
目を開けると白い空間に居た。
「俺の幸せは俺に逆らう奴を痛め付ける事だろ?」
目の前には俺の顔とソックリな奴が目の前に居た。
「な、んだよお前は!?」
「もう1人のお前さ。あの日に生まれた俺だよ。」
「あの日って…まさか!?」
「そうそう!あったりー♪お前にも狂気的な部分があったなんてな。」
あの3人を傷付けた日から?
「晃が知ったらどう思われるんだろうなぁ?」
「!?」
もう1人の俺が俺に近寄って来た。
「晃は俺があんな事しないって思ってるだろうなぁ。お前はあの時、自分がアイツ等より優位に立てた事が快感だったろ?」
「お、俺は…アイツ等を懲らしめたかっただけだ!!」
そう言うともう1人の俺に胸ぐらを掴まれた。
「良い子ぶるなよ?本当にそう思ってるなら俺が作られるはずが無いんだよ。分かってんだろ?お前は俺なんだよ。俺にお前の体を渡せよ。」
「これは俺の体だ!!お前に渡せる訳ないだろ!!」
「ふぅん。じゃあ晃を殺すわ。」
「晃を殺す…?」
「お前が俺の言う事聞かないなら晃を殺すしか無いんだよ。」
晃を殺す?
もう1人の俺が晃を…?
「命令だ。俺が出たい時に体を渡せば良いんだよ。晃を守りたいだろ?」
「……ッ。」
俺は黙って頷いた。
「分かったなら良いんだよ。とりあえず今日は出ないでおいてやるよ、じゃあな。」
そう言ってもう1人の俺が消えた。
目を開けるとさっきまでいた神社に居た。
晃を守る。
その為なら俺は…壊されても良い。
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