託された思い

一方その頃。


百合side


俺は急いで裕二の元に向かった。

鏡に打った裕二の後に赤色の十字架の槍が飛んで来ていた。

裕二が危ない!!

ガイにバレたんだ!!

裕二が裏切った事をガイが知ってしまった!!

手鏡を開きながら俺は走っていた。

「おーい!和希!!」

前を見ると裕二が手を振っていた。

「裕二!!早くこっちに来い!」

俺は鎌を取り出し黒い霧を出した。

「え!?何で!?」

「いいから早く来い!」

俺は急いで裕二元に行き、手を引いた。

「何だよ…急に。」

「俺の後ろに下がってろ。」

裕二が何かを察して俺の後ろに下がった。

俺は鎌を振り赤い十字架の槍を黒い霧で槍を纏い動きを止めた。

「コレが裕二に向かって飛んで来てたんだよ。急いで来て正解だったな…。」

「マジかよ!?この武器は…ガイの!?」

「ガイにお前が裏切ってる事がバレたんだ。」

俺がそう言うと裕二は考え込んだ。

「邪魔者を排除したい訳だな?だけど他の3人にGPSは付けれたんだ。作戦はせい…」

グサッ!!

何かが刺さる鈍い音がした。

「ゴホッ!!」

後ろを見ると裕二の体に赤い十字架の槍が刺さっていて血を吐き出していた。

「裕二!?」

「ッ!!離れろ!!」

ドンッ!!

裕二に突き飛ばされ俺は地面に倒れ込んだ。

グサッ!!グサッグサッグサッグサッ!!

あらゆる方向から槍がら裕二に向かって降り注いでいた。

全て裕二の体に刺さり槍の先から沢山の血が流れ落ち血の海が出来ていた。

「何で…俺を庇ったんだよ!?」

俺は裕二に近付き槍を抜こうとした。

「クソッ!!何で抜けないんだよ!!?」

槍が裕二の体に食い込んで居て抜こうとしてもさらに硬くなり抜けなかった。

ポンッと軽く肩を叩かれた。

「おま…えが死んだら…駄目だろ?かず…き…。」

裕二の手が俺の頭に触れた。

俺は泣きそうになりなが裕二を見つめた。

「かず…き…。」

「うん。」

「かず…ゴホッゴホッ。」

沢山の血を吐き出した。

目からも血が流れていた。

「俺…らで…止めような…。お前に後は…任せちまうけど…頼みむな?」

裕二はそう言って満面の笑みを浮かべた。

「あぁ…任せとけ。だから待ってろ。」

そう言うと裕二の右胸から欠片が飛び出して来た。

俺は欠片に手を伸ばした。

「待ってるからな。」

裕二の体が灰になり消えて行った。

小瓶の中に最後の欠片を入れた。

パリーンッ!!

小瓶が割れ、中にあった欠片が1つに集まりガラスの薔薇になった。

俺の手の平でガラの薔薇が光り輝く。

俺の瞳から沢山の涙が溢れ出た。

「クソックソ!!!」

膝に力が入らなくなりその場に崩れ落ちた。

心臓が締め付けられて痛い。

「絶対…にガイを止めてやる。」

俺は立ち上がり廃ビル向かった。

託された思いを胸に抱きながら俺は歩き進めた。


裕二side


赤い十字架の槍が数本俺に向かって飛んで来て居た。

「ッ!離れろ!!」

俺は力強く和希の体を押した。

グサッ。

グサグサグサグサグサグサッ!

俺の体に槍が何本か刺さって居た。

ドクンドクン。

槍の先から自分の血が流れて下に落ちるのが見えた。

背後からも槍が飛んで来て居たらしい。

痛みを通り越して何も感じなかった。

和希は泣きそうな顔で俺に近付き体に刺さってる槍を抜こうとして居た。

槍は肉に食い込み体から離れようとしなかった。

「何で…俺を庇ったんだよ!?」

理由なんて1つしか無かった。

和希を死なせたくなかった。

それだけで十分だった。

「おま…えが死んだら…駄目だろ?かず…き…。」

意識が朦朧(もうろう)とする中で俺は体の力を全て喉に集中させた。

目に沢山の涙を溜めている和希の頭を優しく撫でた。

口に溢れる血を吐き出しながら何度も何度も和希の名前を呼んだ。

そして俺の思いを和希に伝えた。

「俺…らで…止めような…。お前に後は…任せちまうけど…頼みむな?」

俺は精一杯の笑顔を和希に向けた。

眼球から血が流れる。

自分の死が近付いて居るのが分かる。

だけど俺は死ぬ事が怖く無かった。

だってお前が俺を助けてくれるだろ?

右胸の欠片が和希の元に飛んで行った。

俺の体が灰になり、消えて行くのが分かる。

和希の事を信じてるだからこそ俺の願いも一緒に持って行って来れ。

俺の意識は無くなった。


   ー自分を犠牲にしても親友を守りたいー

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