密会③
目を開けるとそこは知らない場所だった。
灰色の空にスラム街の街並み。
「ど、何処だ?ここ…は。」
「ヤァ。ようこそ死後の世界へ。」
そこには男が立っていた。
「死後の世界…っ!?」
「キミはMADAに選ばれなかったねー。良かった良かった。」
チャリンッ…。
首に冷たい感触がした。
触ってみると首輪の様な物が首に付いていた。
「なっ!?な、何だよこれ!?」
「今のキミはボクが種を植えて作られた人格のキミだよ♪そして今日からボクの従者だよ♪」
「従者?」
「ボクの奴隷って事だね♪ボクの命令は絶対なんだよ?」
「…。」
つまり…コイツは本来の俺を殺して、もう1人の俺をこの世界に連れてくる必要があったって事…か?
「キミの心臓はね。本来のキミの欠片でキミは生きている。」
そう言われて俺は自分の胸を見る。
すると右胸が透けており、ガラスのハートが見えた。
「本来の俺がこの中に居るって事かよ…。」
「ボクの名前はガイだよ。よろしくね♪キミの名前は何だったっけ?」
「…、櫻葉裕二。」
「そっかそっか♪裕二ねぇ。」
こうして俺はガイの従者になった。
だけど、俺はガイに対して不快感しか無かった。
従者とかって、主人に対して忠誠心とかある物だろ?
俺自身がその感情が無かった。
そして、俺の様にこの世界に来てしまった人が3人来た。
俺と歳が近い恭弥さん、有名なボーカルの麦ちゃんに高校生くらいの男の子がやって来た。
ガイが拠点としている古いビルに俺達は暮らしていた。
ある日、
「星ー。ってなんだぁ寝てるのか。」
男の子が古びたソファーで横になっていた。
ガイの呼び掛けにも反応が無い限り寝ている様だ。
ガイは部屋から出て行った。
星…??!
ま、まさかMADAのサイトを作った子か!?
この子が…あのサイトを作ったのか…。
星君の体が小刻みに震えていた。
俺は何か掛けようと思い近くにあった薄い布のシーツを持ち星君に掛けようとした。
「あ…晃…。」
「!?」
星君は涙を流しながら呼んでいた。
あきら…?
きっとこの子にとって大切な人なんだろう…。
この子はガイの手によって落ちてしまったのか?
俺と同じ様に種を植えて作られた人格がやった事なんじゃ無いか?
だとしら…俺はガイを許さない。
ガイだけは…。
そして俺達はガイに連れられある住宅地に奇襲を掛けた。
そこに居たのは5人組の男女。
中には和希の姿があった。
和希!?
ま、まさかお前がこんな所に居るなんて信じられなかった。
自殺をしてこの世界に来たのか…?
「晃!!!」
星君は男の子に攻撃をしていた。
きっとあの子が晃君で星君にとって大切な人だ。
他の2人の大切な人がここに居た。
ガイはその光景を見て楽しんでいた。
ゾクッ!!!
コイツはイカれてる。
大切な人同士を戦わせて楽しんでる。
俺は和希に近寄り耳打ちをした。
そして和希は待ち合わせ場所に来てくれた。
和希はMADAのサイトを作ったのは星君だと知っていた。
夜空って子が晃君なんだろう。
ガイのせいで星君達がこの世界に来たんだと確信した。
このままガイを野放しにしてはいけない。
俺は口を開いた。
「和希、ガイを一緒に潰すぞ。」
「!?」
満月の夜に交差する。
full moonの計画案、それは従者の裏切り。
そして、新たな戦いの幕開けだった。
柳瀬晃 残り 45日
斉藤真維 残り 37日
西条流花 残り 36日
八代和希 残り 27日
第四章 完
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