密会②
目を開けると夜が明けていた。
あの男は何だったんだ?
ズキンッ!
「ッ!!いっ…た…。」
頭に強烈な痛みが走しる。
昨日の夜と同じ痛みだった。
「昨日のは夢じゃ…なさそうだな…。」
俺の頭に何かを植え付けて行ったのか…。
あの男はMADAのサイトを作った人物を特定されると困るのか…?
一つ考えられるのは…。
あの男とサイトを作った人物が繋がっている。
「クックク。」
急に笑いが込み上げてきた。
「喧嘩売られたんだ、買ってやるよその喧嘩。意地でも捕まえてやるよ。」
俺と奴の戦いが始まった。
いつも通りに警察署に向かった。
喫煙所の前を通ると和希が顔を出した。
「お前、昨日何で電話に出なかったんだよ。」
俺の事を心配そうに和希は見つめていた。
「あ、悪い…。寝落ちしちゃってさ。遅くまでサイトを作った人物を調べてたんだよ。」
「何かあったかと思ったから心配してたんだよ。」
「悪いな和希。」
和希には余計な心配を掛けたくない。
MADAの件と他の事件にも加担しているし、俺の心配なんてしなくていいんだ。
「また詳しい事分かったら連絡するわ。」
「了解。」
俺はそそくさに喫煙所を後にした。
その足で俺は情報通信局に向かった。
情報通信局とは、犯罪の取り締りの為の情報技術の分析をする所で、サイトの分析を任せるのに適している。
俺は基本的に、情報収集や分析の担当をしている。
自分の席に座り、パソコンを開いた。
自宅のパソコンと情報通信局に設置されているパソコンは性能が全然違う。
サイトの分析をしていると、猛烈な吐き気に襲われた。
「ゔっ!」
「お、おい!?櫻葉どうした?!」
俺は同僚の声を無視して早足でトイレに向かった。
トイレに着き個室に入った。
「オェェッ、ゲホッゲホッ。」
しばらくトイレから出れなかった。
何か当たる物を食べたか?
いや、俺は朝から何も食べていない。
だとしたら…。
「ッチ。あの野郎の仕業か…。」
昨日の夜、アイツは俺の体に何か細工をしたな。
俺の神経が壊れるのが先か、サイトを作った人物を見つけるのが先か。
「陰湿な野郎だ。」
俺は重たい体を起こし、両頬を思いっきり叩いた。
パン!!!
「うしっ。気合い入った!!」
そこからは地獄の日々だった。
尻尾を掴みそうになると、吐き気や頭痛、目眩などの症状が現れ、俺はまともに睡眠や食事が取れなかった。
どんどん俺の心が音を立てて壊れて来た。
いつまで続くんだ?
俺が何をしたって言うんだ?
MADAに首を突っ込んでしまったから?
ふとした瞬間に心が折れてしまった。
「辞めちまえよ。」
頭の中に声が響いた。
もう1人の俺が頭の中で囁いていた。
うるせぇよ。
「うるさくねぇよ。」
黙れよ。
「黙らねぇよ。」
黙れ、黙れ、黙れよ。
「お前の覚悟はそんなのか?」
俺はその言葉で目が覚めた。
俺は何を考えていたんだ!!
もうちょっとで掴めるのに。
諦めんなよ俺。
俺は再びパソコンに向かった。
2時間が経過ー
「アドレスが出てきた!!」
サイトを作ったであろう人物のメールアドレスが出た。
Syou.sena_Akira0715…
「しょう…せな?コイツか…!!」
俺は和希に連絡を入れようとスマホに手を伸ばす。
すると俺の手を黒い影が纏わり付いた。
「はーい。お終いだよ♪」
振り返るとあの男が俺の影から顔を出し、影を操っていた。
「ッ!?」
「種も成長したみたいだし、ボクの目を見て。」
体の自由を奪われ、顔を掴まれた。
目が離せなかった。
すると頭の中がとてつも無い絶望感が湧き、死にたいと言う感情で溢れた。
「死にたい、死にたい死にたい死にたい…。」
口から勝手に言葉が出る。
そして体は何か自殺を出来る道具が無いか探している。
「アハハハ!!面白い!!!操り人形みたい!!」
男はお腹を抱えて笑っている。
やばいやばい!!
このままだと俺は…。
俺は和希に伝言を残そうと思いテーブルの引き出しから紙を出し、ペンを手に取り震える手で何とか書き引き出しにしまった。
男に見えないように上手く隠した。
「中々しぶといなぁ…。じゃあこれならどうかな♪」
男が指を鳴らした。
頭の強烈な頭痛に口から血が吐き出た。
「ゲホッゲホッ。」
俺の頭の中には死に対する絶望感に駆られた。
体が言う事が効かない。
俺の意識はプツンッと切れた。
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