ごめんなさいの食卓①

青藍の屋敷に滞在して3日が経った。

3人の姿と青藍の姿を見かけなかった。

「皆んなに全く会ってないね白玉。」

僕と白玉は大きいリビングで朝食を食べていた。

バタートーストとカリカリに焼かれたベーコンと半熟の目玉焼きに甘めのカフェオレが用意されていた。

「皆んな欠片を集めに行った。青藍はしばらく帰ってこない。」

「そっか。僕達も欠片を集めに行こっか。」

「そうだな。」

僕と白玉は朝食を食べ終え屋敷を出た。

「「行ってらっしゃいませ」」

猫のメイドが頭を下げて僕達を見送っていた。

欠片はだいぶ溜まっていた。

小瓶の半分ほどの欠片を集めていた。

だが、あの強烈な頭痛はしなくなった。

ガラスの地球儀を持ち化け物を探す。

「だいぶ慣れてきたな。」

「まぁ…こんだけ欠片集めてて、慣れない方が可笑しいよね。」

「確かにな。」

そう言って白玉は軽く笑った。

あの日から白玉との距離が縮まった気がした。

お互いに星を大切に思っているのに変わりは無い。

だからこそ、僕と白玉は同じ目的を持つ同志だ。

化け物がニ体僕達の前に現れた。

「白玉、下がってて。」

そう言って僕は鎌を出した。

僕は鎌に巻き付いていた棘を操り、化け物二体の動きを拘束した。

そして僕は化け物に駆け寄り一体の化け物の頭を落とした。

そして体の動きに乗って残りの化け物の頭を落とした。

「キュイイイイイイン!!!」

化け物の呻き声ともに霧になり姿を消した。

欠片が僕の元に集まった。

僕は欠片を小瓶に入れた。

ズキンッズキンッ!!

久々に強烈な痛みが頭を走る。

「夜空?頭痛いか?」

「ッ…。久々に来た…。ちょっそこの路地裏に行こう。」

白玉に支えられながら僕達は路地裏に向かう。

そして路地裏に着き、少し奥の所まで進み僕は座り込んだ。

「妾の肩にもたれていいぞ。」

「あ、ありがとう…。ちょっと間たの…む。」

そう言って僕は白玉の肩に頭を乗せた。

目を開けると僕の薄くなった手が見えた。

そこには僕の家で小学6年の星と僕の母親が話していた。

僕が星と母親の前に立ってみた。

やはり2人には見えていないのか…。

「おばさん、晃の記憶が戻ったら無い頃の話はしないで欲しい。」

「どうして星君?」

「どうして記憶を無くしたって聞いてくると思うんだよね。晃には怪我をした理由は知られたく無いんだ…。」

星…。

星はどれだけ僕の事を考えて行動しているんだ。

ガタンッ!!!

何かが倒れる音が廊下からした。

音が聞こえた方に向かうと、頭を押さえながら倒れ込んでいる小学6年の僕の姿があった。

「星!!?どうしたんだ!!!?」

星は僕に駆け寄り抱き起していた。

「痛い…痛いっ。」

「頭が痛いのか!?おばさん!!救急車呼んで!!!」

「だい…じょうぶだ…。もう少しで思い出せそうなんだ…。」

「!?」

頭を抱えながらも思い出そうとしついる僕。

「思い出さなくていいよ晃!!あんな事思い出さなくても!!俺の事も思い出さなくていい!!」

「うわぁぁっ!!!」

そう言って僕は叫んだ。

すると僕はムクリと起き上がった。

「あ、晃…?」

星は心配そうに僕を見つめていた。

「星?お前なんで家に居んだ?」

「晃!!?」

「え、何驚いてんだよ…。」

「思い出したのか…?」

「思い出したも何も…。僕何かあったの?」

そう言うと星は僕を抱き締めた。

「え!?いきなり何だよ!?って…星泣いてるのか?」

「泣いてねぇよ!!安心しただけだ…。」

「変な星…。」

僕は2人の光景を見ていた。

ここからの記憶しか僕は無い。

これが僕の欠けていた部分の記憶。

記憶喪失って確か、本来の記憶が戻ると無い時の記憶が無くなるらしい。

僕はこの頃から記憶が戻っていたから無いのは当然だな。

すると僕を包む風が吹いた。

目を開けると、星の部屋にいた。

中学2年生の星がパソコンをいじっていた。

何してるんだろ…。

パソコンの中を覗いてみた。

「!?」

そこには''MADA''と書かれたサイトを作っていた。

「いい感じだね♪」

星の影からガイが現れた。

「売る覚えだけど中々いいだろ?」

星は満面の笑顔でガイと話していた。

ゾクゾクッ!!!

背筋が凍る感覚がした。

笑っている星が怖く見えた。

あの時の星だ…。

「今日はお遊びしてないの?」

「あ?してきた帰りだよ。」

「ルーティンになってるね♪」

「お前の頼みでサイト作ってるからあんまり遊んでらんねぇけどな。」

「ふぅん。」

パソコンのキーボードを器用に扱っていた。

学校の技術の授業で習った事を体が覚えていたらしい。

確かに星は何でも器用にこなしていた。

勉強もスポーツも人より優れていた。

星は周りら見ても羨ましがられていた。

「今回もドリンク壊されたんだって?」

「そぉーなんだよね。本当にムカつくよねー白玉。」

白玉の名前が突然出て来てびっくりした。

「白玉?あぁ…あの猫か。そんなに強いの?」

「強くは無いんだけどね。隙を突いて種やドリンクを壊してくんだよね…。まぁ良いけどさ。」

そう言ってガイは杖を取り出し愛おしそうに杖を撫でた。

何でそんな好きな子を撫でるみたいに撫でてるんだ?

「なぁ。大事そうに杖を撫でてるけどそんなに大切なの?」

ガイはうっとりとした顔で星を見つめた。

「大事だよ♪ボクの愛しい人のモノだからね。誰にも渡したく無いんだぁ。」

「ふぅん。好きなんだな、その人の事。」

「大事だよ。」

ガイの大切な人?

その杖の持ち主は元々ガイじゃなかったって事か。

一体誰の物だったんだ?

すると僕の体を風が包んだ。

パッと目を開くと、元の世界に戻っていた。

「夜空、起きたか。」

「しら…たま?どれぐらい寝てた?僕。」

「3時間くらいかな。そんなに時間は経ってないぞ。」

「そっか…。なぁ、白玉は種だけじゃなくて、ドリンクも壊してたんだな…。」

「妾にはそれしか出来なかっただけだ…。ガイを止めれていなかったしな…。」

落ち込んでいる白玉の頭を撫でた。

「白玉はすごいよ。1人で星や皆んなの大切な人の事を止めていたんだから…。」

「夜空…。」

「さてっとそろそろ休憩も終わりにして行こっか。」

「そうだな。」

僕は立ち上がり、白玉に手を差し伸べた。

白玉は僕の手をジッと見つめたていた。

「何だ?」

「立つのに居るかなって…。いらなかった?」

「いや…ありがとう。」

そう言って白玉は僕の手を掴み立ち上がった。

「似てるな…やっぱり。」

「ん?何か言った?」

「いや、何でもない。」

白玉は首を振り歩き出した。


雨の日の事ー

白玉side

現世でガイとの戦いを終え、傷を負った妾は雨の降る中、道に座り込んでいた。

人が傘を差して沢山歩いている。

妾の事は当然見えていなく、通り過ぎて行く。

体が痛く、流れる血の感覚がする。

動けなくなるほどに体力が消耗していた。

動けない…。

すると当たっていた雨が止んだ。

見上げると妾に傘を差してくれていた。

ようく見ると黒いパーカーを着た中学2年生の星だった。

「風邪ひくぞ。怪我してるけど大丈夫か?」

今の星は本当の星だった。

「妾の事見えるのか…?」

「普通の女の子でしょ?立てそう?」

そう言って星は手を差し伸べてくれた。

妾は差し出された手を掴み立ち上がった。

星を見つめていると泣きそうになる。

この人を失いたくないと強く思った。

「ありがとう…。」

「家どこなの?送って行くよ。」

「大丈夫だ。」

「そう?じゃあこの傘使って!!ちゃんと家に帰れよ。」

そう言って星は妾に傘を渡し雨の中を走って行った。

晃にも手を差し伸べてくれた。

2人は似ているなと心底から思った。

懐かしい記憶を思い出し胸が温かくなるのを感じた。

妾は隣に歩く晃をそっと見つめ路地裏を後にした。

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