鎖に繋がれた首輪

そこで目が覚めた。

「はぁはぁ。」

あれが僕の欠けていた記憶の部分…。

眠っている間に起きていた事。

そしてあの男…。

あれは一体誰だったんだ?

「起きたか、夜空。」

白玉が僕の顔を覗き込んでいた。

「白玉!?」

「思い出したか。」

「……。全てかどうか分からないけど…。星が僕の為に階段から突き落とした子達に暴力を振るっていた。そして…知らない男が星と話していた。」

「知らない男?」

僕は男の特徴を白玉に話した。

白玉が驚いた顔をした。

「ま、まさか。そんな…。アイツがこんなに早く星とコンタクトを取っていたって言うのか!?」

「ど、どういう事だよ!?説明してくれよ。」

白玉は重たい口を開こうとした。

ガシャーンッ!!!!

建物が壊される音がした。

音のした方向を見ると、自分達が住んでいる建物が壊されていた。

「え!!?えー!!?どうなってんの!?」

「分からない。様子を見に行くぞ!!何か嫌な予感がする。」

そう言って白玉は足速に建物に向かった。

「ちょ!!白玉、待てよ!!」

僕も続けて白玉の後を追った。

そこには建物がボロボロになって、倒壊する寸前だった。

「どうなってるんだ!?」

「2人とも怪我は無いか?」

闇と百合が後から合流し、空蛾も合流した。

皆んなあの大きな音を聞き、戻って来たらしい。

「一体…。誰の仕業なのかしら。」

「分からないが…。もしかしたら俺達を狙って来たのかもしれないな。」

百合の発した言葉で皆んな黙った。

「狙うって一体なんの目的だ?」

「それは分からないが。そう考えた方がこの現状の説明はつくだろ?」

「「「確かに…。」」」

僕と闇、空蛾が揃って同じ事を言ってしまった。

「ッ!?この気配は…まさか!?」

白玉はそう言って鎌を取り出し、僕達を庇う様に立った。

「白玉?どうしたんだよ。」

「夜空…妾の後ろから絶対離れるな。3人もだ。」

「何かまずい事起きてんのか。」

そう言った百合は鎌を取り出し、僕達の周りに黒い霧を張った。

「何だ?この霧?」

「気休めだけど目眩しだ。俺の霧は幻覚を作れる。一応この建物と俺等の場所はわからないはずだ。」

百合の能力は幻覚なのか…。

魔法っぽいな。

「夜空。お前も鎌出しとけ。一応な。闇も空蛾も。」

「そうだな。何かあるかもしんねぇしな。」

そう言って闇は鎌を出した。

僕と空蛾も鎌を出し、周りに注意を配る。

すると、百合が張っていた霧が払い除けられた。

僕達は暴風が吹く中で目を開ける事が出来なかった。

「何だこれ!!?」

「まずいな…。俺の幻覚が破られた。」

その瞬間、暴風の中から僕に向かって刃が振りかざされた。

「ッ!?」

まずい!!

完全に油断していた!!!

これじゃあ鎌を振りかざしても間に合わず攻撃を喰らってしまう!!

キィィィンッ!!!

刃物が打つかる音がした。

目を開けると白玉が攻撃を止めていた。

「白玉!!?」

「やはりか。」

霧が晴れ、風も吹き止み白玉の前に居たのは深くフードを被った人が大きな鎌を振りかざしていた。

「やぁやぁやぁ。青藍の飼い猫は優秀だな。」

そこに居たのはあの記憶に出てきた男が宙に浮いていた。

「ガイ!!やはりお前だったか。」

ガイって確か…名を食べる死神だったか?

「怖い顔すんなよぉ?ボクは晃に用事があるんだ。なぁなぁ。」

そう言ってガイは地面に降りて白玉の前に立ち、フードを被っている人の首を触り、見えていなかった首輪と鎖が見えた。

その鎖を引っ張った。

「お前。僕の記憶に出てきた奴だよな。星にコンタクトを取ろうとしてた。」

「お。そこまで思い出したのか。」

「お前は手出しできないはずだろガイ!!何しに来たんだ!!」

白玉が声を荒げた。

「顔を見せに来たんだぜ?そこの3人になぁ?」

そう言ってガイが指を鳴らすと、フードを被った人達が新たに3人現れ3人とも首輪をして鎖に繋がれていた。

「何だよ…。これ…!!」

「どうなってんのよ。」

「久しぶりだなぁ。って言ってもそんな久々でも無いなぁ?晃。」

「!?」

この声は聞き覚えがある。

いや…この声はまさか…。

そんなはずはない…。

フードを被っていた人がフードを取った。

そこに居たのは…。

「し、星…!?」

「あははは!!その顔傑作だなぁ?」

星だけど、雰囲気が違う…。

髪も左サイドに流されていて、喋り方も違う。

「どうなってるんだよ!!?」

「お前等も見せてやれ。」

星の一声で3人ともフードを取った。

「麦!?」

「恭弥…ッ!?」

「裕二!!?」

3人はかなり動揺していた。

それは僕も同じだ。

謎が深まるばかりだ。

疑惑が渦巻くlabyrinth。

それは僕らに謎と恐怖をもたらした。

残り46日ー。


   第三章   完

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