第三章 疑惑のlabyrinth
白百合の花
百合side
俺は住宅を出て、ガラスの地球儀をポケットから出し、地球儀から出される一筋の光を辿った。
街灯が少しだけ溜まっている道を通りながら、考えている事があった。
俺の残りの日数は後30日だ。
そして集められた欠片は7個。
自殺をしてまでここに来たのは、自殺をした友人を取り戻す為だった。
櫻葉裕二(サクラバ ユウジ)。
能天気な性格に、犬みたいな顔で焦茶色の短髪に両サイドは刈り上げている。
仕事に真面目で、よく飲みに行くとこの世の中を良くしたいと言っていた。
そんな仕事真面目の奴がある日突然、自宅の部屋で首を吊って死んでいた。
連絡を受けた俺は信じられなかった。
裕二が自殺をするなんて有り得なかった。
何で?
何でなんだよ、裕二。
どうして、自殺なんかしたんだよ!!
俺の頭には疑問しか無かった。
俺は上に無理を言って、裕二の自殺の件を独自で捜査させて貰った。
裕二の部屋を調べていると、机の中から手紙が出て来た。
手紙を開くと「MADA」と書かれていた。
ここ最近、若者の自殺者が格段と増えていた。
その自殺者はMADAのサイトを開いた状態で自殺した
者と、MADAと書かれた手紙を残し自殺した者が多かった。
謎の2つのパターンの証拠を残していた。
俺と裕二は警視直々にMADAについての捜査を任された。
だが、中々MADAについての有力な情報は得られなかった。
もしかして、裕二は何か掴んでいたのか?
そう思い、俺は手紙の続きを読んだ。
「○月○日
MADAのサイトを作った人物に辿り着いた。
ようやく、ようやくMADAの尻尾を掴んだ。
お前が、この手紙を見つけた頃には俺はきっとこの世に居ないだろう。もう時間がないみたいだ。俺はアイツに支配されてしまっ…」
手紙は途中で終わっていた。
手紙を書いていている途中に何かあったんだ。
その手紙を慌てて机の引き出しにしまったのか。
俺に相談も無しで…1人で勝手に居なくなるなんて。
支配されるってなんだ?
誰に?
謎が深まるばかりだ。
1つだけ言える事は、裕二は誰かに操られて自殺するように仕組まれたんだ。
まるでファンタジーの考え方だが。
段々と怒りが湧いて来た。
「馬鹿野郎…!この事件はお前と俺が2人で解決しないと意味ないだろうが」
俺は手紙を握り締め、裕二の部屋を出た。
裕二を操った奴はMADAと関係している。
そう思っていると、暴風が俺を包んだ。
思わず強く目を瞑った。
目を開くとそこはさっき居た場所ではなく、スラム街の様な街並みに灰色の空。
異空間と言った方が良いだろう。
「ここは一体どこだよ…!?さっきまで…」
ガス臭い匂いが鼻を通り、現地味を沸かせて来る。
「ここは死後の世界」
俺の目の前に、フードを被った少女が居た。
「死後の世界って…。!?。まさか、ここはMADAに関係してるのか!?」
「あぁ。お前の言う通りだ。お前の力が必要だ」
「俺の力?」
そう言うと少女は俺に手を伸ばし、頬を包みこむように両手で触れた。
温かみのある小さな手だ。
この少女が生身の人間だと確かめる事が出来た。
「欠片を集めて。そして、あの人を止めてー」
「欠片?それにあの人って誰だよ!」
俺は少女に向かって尋ねると、少女はスゥッと後ろに下がり消えた。
そしてまた、暴風が俺を包んだ。
ブォォォォォォォ!!
目を開けると現実世界に戻っていた。
あの人を止めて欲しい?
もしかして、裕二を操った奴と関係があるのか。
俺は一瞬だけど死後の世界に触れた。
夢見たいな事が実際に、現実で起きている。
若者の自殺者の増加の原因は、MADAのサイトを見て行動してしまった事だ。
裕二は自殺したんじゃない。
自殺に見せ掛けて、"殺され"たんだ。
きっと俺は、死後の世界に行かないといけない気がした。
そう思い、サイトに書いてあった死後の世界の行き方を実行した。
満月の夜、俺はとあるビルの最上階に居た。
咥えていた煙草を捨て、俺はフェンスを乗り越えた。
ガシャンッ、ガシャンッ。
ここに来た理由は単純だ。
ビルの最上階から飛び降りたら、一瞬で死ねる確証があった。
死ぬのは普通、怖いと思う筈なのに怖くなかった。
何故だろうな、裕二。
お前とまた、すぐに会えそうな気がしてるからかな。
死後の世界に行けば、お前が俺を待っている気がした。
俺の事を待っているだろ、裕二。
「待ってろ、裕二」
そう言って、俺は飛び降りた。
ヒュュュュウ…!!!
ドンッ!!
鈍い音が聞こえ、目を開けると死後の世界に来た。
本当にあのやり方で、この世界に来てしまったようだ。
扉の前にいたのは、あの少女で、白玉と名乗った。
白玉から聞かされたのは、ここの世界でやるべき事だった。
裕二を取り戻す為には、欠片を集めなければならないらしい。
裕二の欠片を集める為、案内人の猫に名付け屋に案内された。
名付け屋の少年、青藍から30年の寿命を代償に名前を買う事に。
「お前の希望が叶うといいな。俺はお前みたいに誰かの為に死ねる奴、好きだぜ」
青藍はそう言って、煙草を吸いなら微笑んだ。
白玉からこの世界での生き方や、戦い方を、教えてもらった。
この小瓶いっぱいに欠片を集めればいいらしい。
武器はこの刻まれた刻印から出せると。
本当に出せるのか?こんな所から。
言われたと通りに、俺は武器の出し方を教えてもらいがむしゃらに欠片を集めた。
19日間で小瓶の半分が埋まるぐらいの欠片が集まった。
暫く経ってから、俺は改めてある事を白玉に尋ねたいと思っていた。
住宅105のリビングのソファーに2人で腰を降ろし、暖炉の前でくつろぎなから口を開く。
「なぁ、あの時。あの人を止めてって言ったよな。誰の事なんだ?」
俺の言葉を聞いた白玉は、ホットミルクを飲む手を止める。
「それは…。いや、まだ話す時では無い。あと3人こちらに来る。揃ったら話そう」
「3人?」
「あぁ、選ばれし者がここに来る。お前の様にMADAに選ばれた者がな」
そう言って、白玉はそれ以上答えなかった。
俺は白玉の曖昧な言葉を信じた。
いや、信じるしか無かった。
操った奴と関係しているのだろうと悟ったからだ。
裕二を生き還らしす。
そして、奴の正体を必ず暴く。
俺は漆黒色の大鎌を出し同時に黒い霧を纏い、化
け物の大群に向かって走り出した。
胸に秘めた葛藤と怒りを吐き出すように、鎌を振り翳したのだ。
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