衝突 ニ
ーー一日後。
ガーナとゴードンは昨日まで集まっていた部屋であぐらをかいていた。
王国軍の敗北は濃厚だが、いかんせん数が多い。
完全に無力化するには時間がかかっていた。
「残っている王国軍の残党は、出来る限り殺すな。ここへ連れてこい。可能なら仲間にする」
「甘ぇ、あめぇぜガーナさん。んな奴ら信用できるか? そりゃ死ぬか仲間になるかだったら誰だって仲間になる方を選ぶぜ」
「別に殺しはしないさ。王の家畜でいたいならいれば良い。だが、真実を知れば彼らだって仲間になるかもしれない」
ガーナはゴードンを宥める。
「それに、皆殺しでは誰もついてこないだろう」
それを聞いてゴードンは鼻をならした。
「まぁ、そうだけどよ、偉くなる前に死んじまったらおしまいじゃねぇか。こっちーー革命軍と呼ばせていただくがーーには王国側に斥候がいる。ってことは王国側の斥候がこっちにいてもおかしくはねぇぜ? ーーつまり、用心するにこしたことはねぇ。その不安定な状態で、さらに元王国兵士を連れ込もうってか?」
「元王国軍と言うなら、皆同じだろう。ーーなぁ、大佐殿?」
「ぐっ……」
ゴードンが詰まったところで、一人の青年ーーライハルドが部屋に入ってきた。一礼して発言する。
「残党はほぼ捕らえました。現状、王国軍は我々に抵抗する力を持ちません」
「よし、よくやった。捕虜をここに連れてこい。見張りだけを残して仲間たちにここに集まるように伝えろ」
「はっ!」
再び一礼して部屋を出て行くライハルドの後ろ姿を見送ったガーナはゴードンの肩をポンと叩いて立ち上がる。
「お前の助言には感謝している。決してそれを疎かにしたりはしないさ。ーーありがとう、ゴードン」
「……」
ガーナはゴードンを振り返らずに部屋を出て行った。
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