第30話 ただ一人






 アリス


  ああ、アリス


 君の可愛らしい、濡れたさくらんぼのような唇は歪に嗤ふ


  アリス


 君の為に世界を創らう


  おお、アリス


 金髪の美しい髪を風になびかせ、君は無邪気にねだるのだ


 だから私は語ろう


 君のために物語を


 君だけの世界を




 アリス




 ただ一人私の愛した少女よ




 君は一体何を望む







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