第6話 冒険者登録
「ふぁあああ〜〜。」
昨日はぐっすり寝れたな。窓を開け、外の空気を吸う。日本にはなかった空気な気がする。ちょっと変な感じだけど、おいしいと言う表現でも、あながち間違いではないだろう。
顔を洗い、身支度をする。チェックアウトをし、ギルドを探す。途中、市場に寄って昨日の串を買って食べた。しばらく彷徨っているとそれらしき建物を見つけた。とてもひっそりとしているが、やってるよな?静かに扉を開け、中を覗く。受付の人がこちらに気づいたようで、手招きをしている。それに従い、室内に入った。入ったのは良いのだが、とても酒臭い。左右にテーブルがあり、そのほとんどの席に人がいて、いびきをかきながら寝ている。
「お、おはようございます」
「はい、おはようございます。今日は冒険者登録ですか?」
「はい、そうです。」
「字はかけますか?書けないようでしたら代筆いたしますが。」
「では、代筆をお願いします。」
「名前と年齢、所持スキルについて教えて下さい。」
昨日、市場で、色んな人の名前を聞いていたため、偽名を考えておいた。
「ギルエヴ13歳です。スキルは質量交換を持っています。」
スキルを晒すのは危険だと思ったが、この世界の人はほとんどみんな持ってるらしい。
「はい。わかりました。これで登録は終わりましたが、簡単な講義と模擬戦をして頂きます。もし、模擬戦で合格点を貰えなければ、討伐依頼には参加できませんのでご了承ください。それではこちらへ。」
そして奥の部屋に案内された。講義はあまり良い情報はなかった。まぁ、気をつけて慎重にって事だな。そして模擬戦。地下に訓練場があり、そこに移動した。俺ケンカすらしたことないけど、大丈夫かな?と心配していたが、薬草採取目的で登録する人も多く、全然戦えなくてもおかしくはないらしいので一安心。案の定、全く戦えなかった。木刀を振り回しただけでもう腕が悲鳴を上げている。一応ここはいつでも使えるらしいので日々鍛えていこう。模擬戦が終わると、冒険者カードをくれた。このカードは冒険者ランクによって色が違うそうだ。この冒険者カードは神によって作られた物で、自動で自分の倒した魔物などを記録していくそうだ。とても便利な機能だと思う。
そしてなんとも嬉しい事にこのギルドには珍しく図書室がかね備わっているらしい。2階にあるとのことなので、しばらくはそこにこもって情報集めに勤しもうと思う。
以外にも冒険者だからといってやたらめったらに突っかかってくる人はいないらしい。基本的には関与しないのが暗黙のルールだそうだ。よかった。
模擬戦での疲労が少し取れたところで俺は図書室に向かった。だいぶ広かった。
「あ、、、俺文字読めないんだった…。」
つい声に出てしまった。そしてそれを図書室の受付の人に聞かれてしまった!
「あら、そこの坊や。文字が読めないんだったら、この本を読むと良いわよ。」
そう言ってある一冊の本を棚から取り出して来てくれた。
『文字を読めるようになろう!』
頭の中で響いた。なるほど、そう言うことか。
「ありがとうございます。」
「いえいえ、あ、私の名前はメルよ。覚えておいてね。」
「はい。覚えておきます。俺の名前はギルエヴです。」
「うん、覚えておくわ。本は大事に扱ってね。」
「はい。」
そう言って誰もいないテーブルに座り本を開く。1時間ぐらいで読み終わった。大体理解できたな。複雑そうに見えたが、意外と簡単だった。その後は色んな本を手に取り読んだ。作家としてある程度読む事には長けているため、夕刻の頃にはすでに100冊近く読んでいた。
ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン
18時の鐘か。この世界には時計がなかった。この鐘で時間を判断するらしい。他にも沢山のこの世界の常識が知れた。ひとまずその話は置いといて、まずは飯だ!お腹がめっちゃ空いた。昼飯食べてないからね。ちなみに冒険者になるとギルドの宿を銅貨1枚で使えるらしいので、今日はそこに泊まる。ギルドの酒場でパンとスープを銅貨2枚で買って食べた。お世辞にもうまいとはいえなかった。食事を終えると、再び図書室に行き、本を読み漁った。
明日は薬草採取でもするか。そしてそのまま図書室のテーブルの上で眠りについた。
6時の鐘が鳴る前に目が覚めた。受付で薬草採取の依頼を受ける。昨日とは違う人だった。そりゃ24時間空いてるギルドだから、役員の人は変わらないと体がもたないからね。
今日は魔力草と言う魔力回復ポーションの材料になる草と、キズを癒す飲み薬の材料の治癒草を10枚ずつ取ってこればいい。これで銅貨2枚か。少ないな。
街を出る際、門番が居たが、特に何もなかった。近くの林に入り、昨日図書室で見た草を探す。小1時間ほどで見つかり、街へ戻りギルドに報告をした。その後は訓練場で腕立て、腹筋、ランニング、剣の素振りをした。
朝は情報収集という名の読書、昼は薬草採取、夜は訓練。そんな日々を過ごし、2週間が経った。
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