第5話 〈拓馬side〉今後の方針
俺は県外の高校にスポーツ推薦で行った。今日は、中学の時のクラスメイトたちとご飯を食べるため、地元に戻ってきた。俺が店について間もなく、逆らえないほどの眠気が襲ってきて、気がついたら宇宙空間のような、数えきらないほどのきれない星の中にいた。そこで神様に会い、スキルを貰ってシュンパーニャという世界のある国の城にに召喚された。
そのあと、魔王を倒してくれと頼まれ、明日から、アルフレッドさん率いる騎士団の人たちが面倒を見てくれるそうだ。そして今日はしっかり休めとの事で1人1部屋に案内された。それにしてもこの部屋豪華だな。
この世界に時計はなく、ここ王都の中心にある鐘を日本で言う朝6時から夜9時までに3時間ずつ鳴らすそうだ。ここに来たのが12時の鐘が鳴ってしばらくしてからだったそうだ。15時の鐘が鳴ったら1度食堂に集まり、今後のことを話すそうなので、それまでに魔王を倒すかどうかを決めて、今後のプランをある程度練っておきたい。
しかし、一つ気がかりなのが、ゆーたがいないこと。あいつは昔から運が悪かったため、今回もあいつだけ地球に取り残されてたりしてたらいいのだが…。でも、ゆーたならここに来てても1人の道を選びそうだな。だが、親友としてゆーたを見捨てるわけにはいかないため、この世界にきてるなら1度顔を見たい。
15時の鐘が街に響き渡る。食堂へ足を運ぶと、すでにほとんどの人が席について雑談をしていた。5分もしないうちに全員集まったところで、大智が前に出て、話し始めた。
「俺たちは今、前代未聞の状況に置かれている。急に異世界に呼び出され、魔王を倒せと言われて混乱してる人も多いと思うが、俺たちはここで力を合わせて行かないと今後もっと大変なことになると思う。今集まってもらったのは、ここでみんなの意見を聞いて、今後の方向性を決めておきたいからだ。まず俺から話させてもらおう。
この世界では、俺たちは特別だ。この手で救える命があるのなら俺は鬼にでもなろう。俺は魔王討伐に賛成の意を示す。」
流石のカリスマ力だ。大智の言葉にここにいるほとんどの人が賛成している。俺は、嫌だな。魔王と言っても人であることに変わり無さそうだし、剣で生き物を斬ると、手応えとか気持ち悪そうだな。
「悪い、俺は降りる。どうも生き物を殺すのは俺には無理そうだ。まだ覚悟すら決まってねぇ。手伝えなくて悪いな。」
「大丈夫だ。拓馬がいないのはだいぶ痛いが、無理強いはしない。覚悟が決まったらいつでも来てくれよ。」
「あぁ。」
そして、それぞれが意見を言っていき、最終的に俺と山田、岡野、西山の3人以外は大智と共に魔王を倒すそうだ。
俺たちは俺たちで話そうと思い、食堂を後にして俺の部屋に集まった。
「疲れてるはずなのに、集まってもらって悪いな。」
「それは拓馬も一緒だろ?それに、別にそんなに疲れちゃいねぇよ。」
山田が笑いながら言う。
「そう言ってくれるとありがたい。早速本題に入るが、まず、俺らが魔王討伐に不参戦なのをあの王様が認めるかどうかによって今後の動き方がだいぶ変わってくる。だが、下手に聞いて目をつけられるわけには行かない。」
「そうだよな。あの王様の雰囲気やばかったもんな。俺なんか目があった時、ちびりそうだった。」
西山が冗談混じりに言う。
この2人は多分岡野を思っての発言だろう。岡野はさっきから全く口を開かず、下を向いている。この世界に来てからずっとこの調子だ。頭が起こる事についていかないのだろう。
「岡野、お前はこの後どうしたい?」
「か、かぇりたぃ」
「そーだよな。俺も帰りたい。魔物と戦うのも嫌だもんな。危険だし。そうだ!俺らみんなで商業でもやらね?この国の経済とか分からんけど、地球の方が化学は進んでるっぽいし、あっちの知識を使えば、案外売れるかもしれないぞ。」
「お、それいいな。確かに商業目的なら、勇者たちへの物資の調達として仲間の俺たちがやった方がいいと言えばあの王様も何も言えないだろ。」
山田が賛成してくれた。西山も頷いた。
「岡野はどう思う?」
「いい、と思う。私の家、店やってたから、少しだけど商業に関してわかるよ。」
少し岡野の顔が和らいだ気がした。
「よし、じゃぁ決まりだな。明日にでも王様かアルフレッドさんに伝えよう。今日は目一杯休めよ。」
そして俺たちは解散した。18時の鐘で晩御飯を食べに行き、その後大浴場に入って布団に潜った。
「飯はイマイチだったな。風呂は気持ちよかったけど。ゆーた、何してるかな?」
無意識に声に出していた。
そして深い眠りへと落ちていった。
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