第2話 ゲームのような世界!?

体内時間で1日は経ったぞ……意識あるのに何もできないって、暇!暇すぎ!退屈すぎー!そして地味にこの嫌な感覚うざい…。チリも積もれば山となるって言うし、多分もうだいぶストレス負ってる。

はぁー、疲れた。寝よ。

…………

寝れない。この不快感の所為で寝れない。精神的には相当疲れてるのに寝れないことで余計ストレスが溜まる!あぁぁぁーーーーーーーーーーーーーぁぁぁぁああ?


突然懐かしい感じがした。

見える。手がある。足がある。そして思うように動かせる。おぉ!体が戻った!やった!動けるっていいな。しかし、ここはどこなんだろう。宇宙にいるみたいだ。とても幻想的で、この景色は目を惹きつけるものを持っていた。もしかするとここは異世界かもしれないな。思ってたのとは違うけど、そうであって欲しいと言う念も込めながらここが異世界だと言う仮説み立てた。


「おい。」

不意に声のした方を向くと、金髪の美少女がゴミを見る目で俺に一瞥した。大層な冠をつけ、翼を生やしていて、明らかに拗らせてる感満載だが、彼女の纏うオーラにより口には出せなかった。


「一回しか言わないからよく聞け。

えーっと、あなたは勇者の1人に選ばれました。私の世界、シュンパーニャをあなたの仲間と共に魔王から救ってください。そのために、あなたの望む能力を授けます。しかし、あなた自身との相性もあるので、こちらが勧める能力を選んで下さい。」

手元の本をめんどくさそうに指で追いながら読み上げていた。

ちなみに俺は転移系統のラノベをたくさん読んで、数え切れないほど色々な世界を頭の中で作ってきたので、そこまで動揺しないが、テンションはとても上がっている!お約束展開来たーー!


すると、視界の右の方に何やら選択肢が出てきた。


⚪︎なし

⚪︎質量交換


え?1つだけ?てか、俺が望んだのは全属性魔法使用可能とか、ステータスみたいなものの底上げするのとか、なんなら謙虚に剣術、とか…。え?何これ明らかに弱そうじゃん。いや、決めつけるのは良くないな。もしかするとめっちゃ有能かもしれないし。

「おい、ユリ先輩から伝言。よく聞いて、頭にこの言葉焼きつけとけよ。」

「ユリ先輩?誰ですか?」

「てめぇの質問なんかに答える義理はねぇよ。」

「はぁ?あるでしょ。勝手にこんなとこに連れてきて世界救ってくれーなんて言ってんだから。」

「ちっ。お前らの魂をここまで運んできた人だよ。ちなみに肉体は私が運んであげたのよ。感謝しな。」

あ、うるさかった人のことかな?多分そうだろう。てか、魂と肉体を分けて運んだから、手とか足とか無いように感じたのか。

「じゃあ、伝えるぞ。『あなたは私の意にそぐわない事をしました。よって能力を奪います。しかし、私はそこまで無慈悲ではありません。誰しも過ちは犯す事でしょう。そのため、救済処置として一つ能力を残しておきました。頑張ってくださいね。』

だそうだ。お前、ユリ先輩に嫌われるって相当イカれてるな。今までユリ先輩が怒ってるところ見た事なかったぞ。」

「あはは。そのユリ先輩とやらはとても心が狭いのですね。地球の人たちで有ればこんな事で怒る人なんてほとんどいないでしょうね〜。」

「あぁ?おめぇ死にてぇか?あ?望み通り今すぐ殺してやんよっ!」

そう言うと、拳を握り、大きく振りかぶった。

「ひっ!」

ガンッ!

咄嗟に頭を抱えてしゃがみ込むが、彼女の拳が俺に届くことは無かった。見えない壁に阻まれているようだ。はぁ〜。助かった。俺はまだ父親にもぶたれたことがないんだ!

「ちっ。カルゴの野郎か。まぁ、いい。ほらっ。それ持っていけ。2度とその面見せんな。」

そう言いながらリックサックほどの大きさの茶色の袋を雑に投げつけてきた。こりゃ相当嫌われたな…。まぁ、いっか。

すると突然俺の足元が光出した。眩しすぎて反射的に目を瞑る。


そして、気づくと俺は、水の中にいた。

「ぶべっ!ばばぁばびぶびびぃ!ばぁばばばぁぶ。………………ぷはっ!」

あんのやろぉ。絶対わざとだろ。しかも臭い。よく見るとここは小さい庭の池で、池の水は濁っている。

「おぅえっ!最悪だぁ〜。」

俺は池から上がる。見上げるほどの大きい城と思わしきものに呆気を取られるが、すぐに近くにあった岩の影に隠れた。幸いここは城壁の近くで、ここなら見つかりそうにない。ここの人たちがいい人とは限らないからな。国王が悪い人でしたなんて話はラノベでは良くあるからなぁ。

ちなみに俺は異世界に来てからの信条を一つ持っている。

『人を信用することなかれ。自分をも疑え。』

決め台詞っぽくまとめてあるが、事実である。異世界だと、今までの理屈が通らないことは多々あると思う。決めつけるのは良くない。

おっと、そうだ。まずは持ち物確認をしよう。

あれ?何も持ってないぞ?確かあの痛い女の人が麻袋みたいなものをくれた気が…。

あ、池の中かもしれないな…。またあそこに入るのはやだな。とりあえず持ち物確認は保留にしよう!次は、能力確認!頭の中で『ステータス』と呟く。すると目の前にボードが現れた。予想通りだ。


名前 黒沢雄太

年齢 16

レベル 1


体力 10

魔力 1000

攻撃力 10

防御力 10

素早さ 10


スキル

質量交換


称号

不運を呼ぶ者


うぇ〜。いかにも弱そうじゃん。いや、でも魔力だけは飛び抜けている。魔力を頼りにこの世界で生きていけるようになろう!…てか、不運を呼ぶ者ってなんだよ。やめてくれ。


こうして、俺の波乱に満ちた異世界ライフが始まるのだった。

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