エレベーター

 1階へ向かうボタンを押したはずなのに、エレベーターはもうずっと降りつづけている。階数を表示するモニターはいつの間にかゆるやかに点滅していてよく見えない。右側の壁にあった階数ボタンはなくなっている。入り口の近くの緊急ボタンを押した。最初はなにも聞こえなかったが、しばらく後にスピーカーから低い笑い声が聞こえてきた。「出して! ここから出して!」私を嘲笑うみたいに、スピーカーからは笑い声が聞こえている。もう1時間は経っただろうか? エレベーターはまだ降りつづけている。


Toshiya Kameiさんによる本作品の翻訳がアンソロジー「Beneath: An anthology of dark microfiction」に掲載されました。

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