ずっと仕事に追われ過ぎて辛かったのだが、近頃やけにふかく眠れているらしく目覚めが良い。不思議に思ったある日、いつもより遅くまで起きてみると枕元に獏が現れた。見つかってしまった獏は恥ずかしそうにしてから、「君の夢が欲しいんだけど寝てくれないかな」と小さな声で言う。どうしてと訊くと獏はためらいがちにこう言った。「獏は夢を食べるだけじゃなくて夢を使って街を動かしていてね。君の悪夢は一生懸命に働いているから、獏の世界でも働き者なんだよ」やれやれ、僕は夢すらも休ませてもらえないらしい。



Toshiya Kameiさんによる本作品の翻訳が4月刊行予定の100Words小説選集「Mythical Creatures of Asia」に掲載されます。

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