第8話べリアラ婆さんの家

お婆さんが俺の所に近づいてきてまじまじと俺の顔を見つめてきた。


「助けてくれたことは礼を言うよ、でもお前さん何者だい?盗賊の頭らしき者相手に一撃で勝ったと思えば 燃やされた民家の火を消して。

 挙句は手の施しようのない重傷者を治しちまうなんてただ者じゃないよ、あんたなんでこんな所に来たんだい?」


お婆さんは俺を睨みつけ、疑わしそうに聞いて来る。

 まあそうだよな、俺だったら盗賊に襲われていた所をいきなり不審者が助けたら、喜びもするだろうけど警戒もするよな。

 

「俺は清水泉しみず せん森の中で迷ってたんだけど、夜になって光が見えたから来て見たら村が襲われてたから助けに入ったんだ。

 最初は俺も怖かったけど俺の能力が効くって最初の盗賊で分かったから、勇気出して助けに来た。

 まあ全員助けれたわけじゃ無いけど、助けることができる人がいて良かったよ」


俺は疲れた顔で正直に言うとお婆さんは少し目を開いて俺を見て小さく頷き。


「嘘はないみたいだねぇ、儂はべリアラだよ、分かったありがとう本当に助かったよ」


べリアラ婆さんはそう言うと村人たちに盗賊の見張りの順番を決めて、それ以外の村人に今日は休むように声を掛けていた。

 それから死者を一時的に集め布をかけて置く様に指示を出す、その間俺はこれからのことを考えていた。

 取り敢えずこの村で食料を少し分けて貰ってから一番近い都市の場所を聞こう。


俺がこれからどうしようか考えていると、べリアラ婆さんが村人に指示をし終わったのか話しかけてきた。


「あんたはもう夜遅いんだ寝床は儂の家を貸してやるから付いて来な」


べリアラ婆さんに言われて俺はお婆さんに付いて行く、べリアラ婆さんが向かった場所は中央広場に面した広めの家だった。

 べリアラ婆さんの家に入ると直ぐ入り口にかまどと流しが有り、部屋の真ん中にはテーブルと椅子が4脚置いてあった。

 床は踏み固められた地面で、床板などは張られていなかった。

 奥には部屋が3つあるようでべリアラ婆さんはそのうちの一番右の部屋を指さし。


「そっちの部屋が客間だよベットは有るから好きに使いな」


べリアラ婆さんはそれだけ言うと部屋に入ろうとした。

 

「部屋貸していただいてありがとうございます」


俺がべリアラ婆さんの背中に声を掛けるとお婆さんは手をヒラヒラと振ってから自分の部屋に入って行った。

 俺はべリアラ婆さんの指定した部屋に入るとベットが2つ置いてあるだけの部屋だった。

 

今日は疲れたな、まさか盗賊退治することになるとは思わなかったぜ、人殺したんだよな・・・。

 くそ!怒ってたとはいえもっとうまく動いていれば、せめて人質を捕られる前に無力化できれば良かったのに、自分のあほさ加減に嫌気がさしてくる。

 でもここは日本じゃないんだ、油断してたら何時か殺されることになるかもしれない、そうならない様に気を引き締めて行動しないといけないな。


俺は油断しない様に一度気合を入れる様に自分の頬を叩く、気合を入れ直した所で俺は自分の力について考え始めた。

 最初の時は手の平から水を出せるようになっただけだったけど、今は指先からでも出せる様になった。

 これってスキルが成長したのかな?そう言えばステータスって最初の時の一回しか確認してなかったけど今どうなってるんだろ。

 俺は確認のためにステータスを確認してみる。


名前 清水泉 

年齢 31

レベル 5

戦力 20

スキル 液体生成、液体操作


おお!新しいスキルが手に入ってる、液体操作か意識して水の勢いを変えていたりしたからかな?

 操作ってぐらいだから、魔法みたいに浮かせたり自分の前に壁作ったりできるのかな?

 やってみたい気もするけど、今は出来ないよな、ここ人の家だから水浸しにするわけに行かないよな。

 よし取り合えず明日にしよう、腹減ったけど今更ご飯下さいって言う雰囲気でもないし仕方ない、ハチミツミルク飲んで今日はさっさと寝ようそうしよう。


俺は寝るためにベットに潜り込む、ベットは少しチクチクして草の香りがした。

 このベットマットレスじゃなくて藁が入ってる、藁のベットとかハ○ジ以外で見た事ねーな使うのなんて初めてだけどチクチクする以外嫌な感じはしないな、これはこれで良い。

 

俺は藁の匂いに包まれて疲れた体と心を休ませた。

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