第7話ドクターエリクサー
「さて火を消さないとね井戸から水汲んで運ぶんだよ!もたもたしてたら他の家に飛び火するかもしれないからねぇ」
お婆さんが村人たちに声を掛ける、村人たちはそれを聞いて回りの家に入ると桶や甕を持って中央広場に有る井戸に集まって来た。
おっとボケっとしてる暇ないな、火を消すなら俺の出番じゃないか水ならいくらでも作れるよ消防車並みに水噴射して見せましょうか?
「お婆さん火の消火なら俺に任せてください、直ぐ消火活動始めますね」
俺はお婆さんにそう言うと燃え上がっている家に向かい走り出した。
俺が燃え盛る家に走り寄るとこの家の持ち主だろう村人が家の前で茫然と立ち尽くしていた。
俺はその人の横に立ち両手を家に向け突き出し、家全体に掛かるように水を手の平から噴き出し始める。
俺が水をかけ始めたことを横に居た村人は今度は俺の行動に吃驚したのか目を見開いて俺の顔を見つめてきた。
俺は構わず水を放出し続けて1軒目の火事は消し終わた。
俺が火を消し終わる間に村人が集まって来ていたらしく、俺が火を消して後ろを向くと歓声に包まれた。
「あ、ありがとうございます火を消して貰えて助かりました。このご恩は必ずお返しします」
家の主人は火を消して貰えたことに感謝してくれたみたいだ、でもこのぐらいのことでそんなに恩に着ること無いのに。
そんな安請け合いしちゃうとおっちゃんホイホイ頼んじゃうよ?まあ無理を言うつもりはないんだけどね。
俺ここがどこだかも知らないし、こっちの常識知らないから出来ればそこら辺のこと知りたいな~。
火消し終わった後にでも聞いてみようかな、でも眠いんだよな~盗賊と戦って疲れてるから早く休みたいことも有る。
俺はそんなことを考えながら火事の起きている家を周り火を消していく。
俺が家の火を消すたびにその家の主人がお礼を言ってくれる、感謝されて俺も嬉しかったからいいけど。
火事を消し終わった俺が中央広場に戻る、するとお婆さんと怪我をした人たちが集まって何やら話し込んでいた。
「怪我人が多いねぇ、家にストックしてある数じゃあ足りやしないよ、軽傷の奴は我慢してもらうしかないかねぇ・・・」
お婆さんはそう怪我人たちに言う、怪我人たちは俯いて唇を噛み締めるしか出来ないみたいだった。
そんな村人たちの様子を見ながら俺が近づくと皆こちらを見て来る。
村人たちは何かを期待したような眼差しに俺は少したじろいでしまうが意を決して聞いてみることにした。
「どうなされたんですか?」
俺が近付きながら聞くとお婆さんが俺を見つめながら話してくれた。
「いやね、怪我人が多くてポーションが足りないのさ、軽傷のものには我慢してもらうしかないんじゃが、問題は重傷者でな早く血止めでもしてやらんと助からなくなってしまう。
じゃがポーションが足りないせいで重傷者の分にも足りてないのじゃ」
お婆さんの話を聞きながら怪我人の方を見ると4人ほど倒れて痛みに顔を歪ませている。
ポーションか~ポーションって俺の知ってる物なら水薬だよな、俺ってポーション作れるのかな?
俺の力は液体生成だから出来るのかな?出来ると信じて作って見るか?
俺は考えながらポーションに付いて考える。
俺の一番親しみがあるポーションはやっぱりゲームに出て来るポーションだ、その中でも一番性能が良いポーションを思い描く。
「出てこいエリクサー!」
俺はあの有名な薬を思い出すと手の平から液体が溢れてきた。
マジか本当にできるとは思わなかった。俺は余りの驚きで思考が停止してしまった。
いやいやえ?ホントに?マジかー、でもこれはかなりありがたい、今死にそうな人が助けれるならなんだって使ってやる。
俺は手から溢れて来るエリクサーを手から零れない様にしながら重傷者に近づく、村人たちはその様子を固唾を飲んで見守っていた。
重傷者に俺はエリクサーを零さない様に持っていき口元に手を当てて飲ませる。
「ちょっと頑張って飲んでくれ、そうすればきっと良くなるから」
俺は重傷者に話しかけながらエリクサーを流し込む、重傷者の村人はそれをゆっくりと飲み込むと骨まで見えていた怪我が見る見るうちに塞がっていった。
村人たちはその様子を見て驚きと喜びで歓声と息を飲む音が聞こえてきた。
「う、うん、俺はどうなったんだ?」
俺がエリクサーを飲ませた村人は意識を取り戻し自分の身体を確認し始めた。
エリクサーが効いたことを確認した俺は他の重症患者にもエリクサーを飲ませていった。
エリクサーを飲ませた重症患者がどんどん良くなって起き上がっていく、意識を取り戻した患者は皆喜んで感謝された。
エリクサー本当に効くな~今度っからはドクターエリクサーと呼ぼう、ハチミツ医師は即効性は無いからいいだろ。
俺がそんなことを考えながら軽傷者にも飲んでもらう、ドクターエリクサーを飲んだ村人はびっくりした顔をして怪我をしていたヶ所を摩ったりして確認していた。
怪我人を全員回復させた俺の所にお婆さんが近付いて来た。
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