第3話家族を助ける
「それじゃあ森に向かう途中にこの村の親子と倒した盗賊がいると思うから、その人たちと合流してくれ。
俺は何とか盗賊をつり出して少しずつ減らしてみるよ、喧嘩はからっきしだけど俺にはスキルが有るから、何とかしてみる」
俺は村人が不安がらない様に自信満々に断言する。
本当はムッチャ逃げたいけど、俺が逃げだしたら村の人が殺されるかも、それだけは何としても止めないと・・・。
俺の断言に村人はまだ少し不安そうな顔をしていたけど信じてくれたみたいだ。
村人は頷き馬を連れてきて気絶した盗賊を乗せると手綱を引いて森の方へ歩いて行った。
さーてと頑張りますかね、俺が失敗したら多くの人が不幸になる。
絶対負けられない、俺なんかが人を救えるのか疑問ではあるけど、やるだけやってやる!
俺は決意して燃える平屋建ての家屋間を駆け抜ける。
先ずは数減らしだ、後家の中に隠れてやり過ごしてる人の確保をしないと。
俺は辺りを見回しながら走っている時、遠くで何かが倒れる音が聞こえてきた。
急ぎそちらに向かうと、丁度戸板を蹴破って盗賊が2人家屋の中に入ろうとしている所だった。
盗賊が家屋に入って行くと中から複数の叫び声と悲鳴が聞こえてきた。
俺は急いで扉が開いた家屋に近づくと中から話し声が聞こえてきた。
「おら!大人しくしろ!大人しくしてりゃ殺しはしねーからよ」
盗賊らしい男の声が聞こえてくる。
俺は中を覗くと盗賊2人が両親と娘を剣で脅している所だった。
両親は娘を守ろうと両隣から抱きしめ恐怖で震えている。
俺は静かに扉が有った入り口に立ち、両手を二人の盗賊に向け深呼吸をしてから声を掛けた。
「おい、クズ野郎ども武器で人脅してそんなに楽しいかよ!」
怒りで叫びそうな声を押し殺して盗賊に話しかける。
盗賊たちは一瞬ビクリと肩を竦ませてから二人ともこちらに向き直った。
「なんだ?テメーは変な格好しやがって、村の人間じゃねーみてーだが盾突くつもりならぶっ殺すぞ!」
盗賊が俺に向かって怒鳴りつけて来る。
あっそう、殺すつもりで来るんだな?なら俺も心置きなく倒せるってもんだ!
「灼熱の大河を食らいやがれ!」
俺は今考えついた厨二チックなセリフを叫びながらハバネロ先生を盗賊にぶっ掛ける。
「うぎゃーーーーーーー!目がーーーーー!」
2人の盗賊は顔を押さえながら家の中をゴロゴロと転がる。
1人は直ぐに意識を手放したみたいだけど、もう一人はまだ叫びながら転がってる。
まだ気絶しないんだ、仕方ない追加してやれ。
俺はまだ気絶してない盗賊に容赦なくダバダバとハバネロ先生を掛けまくる。
叫べない様に口に入るように掛かる赤い液体、叫べなくなった盗賊は直ぐに大人しくなった。
その様子を顔色を青くしながら家族は見つめていた。
「こんばんは大丈夫ですか?怪我は有りませんか?」
俺は倒れた盗賊をまたぎながら家族に近づく、いきなり現れた俺に不信感をあらわにした顔で頷く父親。
それを見て俺は怖がらせない様に笑顔で話しかける。
「何か縛るものありますか?気絶してるうちに縛らないとまた暴れられても困るからね」
俺が言うと母親が娘の手を引き家の奥へ行く。
それを見送りながら俺は盗賊が持ってた剣を拾い上げ父親に渡した。
「すまないけど自分の家族を守るために剣を持っててくれ、俺が助けた人が森の近くで待機してると思うから、その人たちと合流して貰いたいんだが・・・行けそうか?」
俺が質問すると父親が剣を持ちながら深く頷いた。
「ああ、絶対そこまで行くよ」
父親が決意を込めた眼差しで俺を見て来る。
俺は頷いていると母親と娘がロープを持って帰って来たので、俺は父親と協力して盗賊を縛り上げ奥へ引きずっていった。
それから俺は助けた家族を連れて近所を周り、残っていた家族を連れだした。
その際に2人ほど盗賊と出会ったけど、最初の家から持ってきたロープや途中の家でもロープを補充して、何とか縛り上げて空いている家に抛り込んである。
「此処までくれば大丈夫かな?あそこにいるからそこで待っててくれ」
俺達は村の端まで来て暗闇の森の前に3人の人が立っているのが微かに見える。
御馬さんも2頭いるな、その下に縛られた盗賊が転がってる。
俺は3人を指さし待っててくれるように頼む、すると助けた村人でまだ若い旦那さんが声を掛けてきた。
「本当に一緒にいかなくてもいいのか?今なら盗賊から奪った武器も有る。
戦力にはならないかも知れんが、少しでも引き付けることができるかもしれない」
若い旦那さんは少し震えながらそう言ってくれる。
俺も嬉しい正直武器持った人が襲ってくるとかむっちゃ怖いけど、だからって下手に抵抗して殺されたら、寝覚めが悪いじゃねーか。
だから俺は首を横に振り若い旦那さんの肩を叩きながら。
「あんたの一番に守らなきゃいけないのは奥さんだろ?もしこっちにまだ逃げて来る人がいたら助けてやってくれ。
それまでは全力で奥さんを守る、これが男の常識だ!必ず守れよ」
俺はもう一度強く肩を叩いて村へ向かう、その背中に決意のこもった声で「絶対守るよ」と声が掛けられる。
俺はその言葉に振り向かず右腕を高く上げて返事をした。
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