第2話お馬さんごめんな

俺が男に向けた手の平からは大量の液体が噴き出し、後5メートルも近づけば男の剣がこちらに振り下ろされるぐらい近づいていた。

 すまんなお馬さん、君は悪くないんだと思う、でも背中に乗っけてるのがクズだったと諦めてくれ。


「後で洗ってやるからなーーーー!」


考えていたことの終わり当たりの考えを声に出しながら、俺はハバネロ先生をまず馬の顔目掛けて掛ける。

 

「ヒヒーーーーーーン!!」


ハバネロ先生が掛かった馬は棹立ちになりそのまま背中から倒れた。

 乗ってた男は投げ出されて、落ちた痛みで転げまわってる。

 俺は直ぐに御馬さんに近づき興奮してるから蹴られない様に慎重に顔に水を掛けて洗ってあげる。

 

ごめんな、仕方ないとはいえ痛かったよな、しっかり洗ってやるからな。

 俺は心の中で謝りながら馬の顔に水を掛け続け、しっかり洗い流してやる。

 

「ぐあ!くそなんだ?何が起きやがった」


その間にも男は身体を起こし辺りを確認してる。

 男も幸いなのか怪我は打ち身ぐらいらしい、ケツを摩りながら起き上がる。


「ん?なんだテメー!?どっから湧いて来やがった!」


男は俺に気付き、怒鳴りながら近づいて来る。

 追いかけられていた親子は少し離れた所で事の成り行きを抱き合いながら見守っている。

 

近づいて来る男に、俺は問答無用で手の平を向け叫ぶ。


「ハバネロ先生出番です!」


俺の気合を込めた声で叫び男に向けてハバネロ先生を掛ける。


「ひぎゃーーーーー!いてー、ごほ、がは。ひあーーーー!」


俺の手から噴き出したハバネロ先生が男の頭の先からつま先までびしょ濡れにする。

 男は体中の穴と言う穴からハバネロ先生がしみ込み、顔を押さえのた打ち回る。

 よっしハバネロ先生いい仕事するね、これで動けないだろう、でも痛みに慣れて動けるようになられちゃ困るから縛っとこ。

 

俺は男が落とした剣を拾い、やっと落ち着いて横倒しになってる御馬さんに近づく。


「ちょっとごめんよ、お前の手綱くれな」


俺は御馬さんに声を掛けながら手綱を取り外す、取り外した手綱を縛りやすい長さに剣で切りながら男の所に戻る。

 男は妙に静かになってるから不思議に思って顔を確認したら顔中真っ赤にして瞼と唇をタラコみたいに腫らして気絶していた。


「わぁ、さすがハバネロ先生ハンパねーな、でも人殺そうとするような奴だし少しそのままでいて貰おう」

 

さてと革ひもで手足を縛ってっと。

 俺はさっさと顔パンパンの男を縛り上げ、こちらの様子を窺っていた親子に振り向き。


「あのすいません、この人見張っててくれませんか?縛ってあるから大丈夫だと思いますけど、ちょっとでも変な動きしたら逃げて結構ですんで」


俺が話しかけると母親の方が顔をこわばらせながら頷いてくれたので、立ち上がり村へ向かって走り出した。

 夜闇を赤々と灯す火事のお陰で、村の中は明るく照らされていた。

 中ではまだ悲鳴と馬の嘶きいななきそして下卑た嗤い声が聞こえてくる。

 

俺は家の影から逃げる村人とそれを追う男達を見つける。

 怒りに心臓が早鐘を撃つ、でも冷静になるように自分に言い聞かせながらタイミングを待つ。

 落ち着けよ、さっきも上手く行ったんだ、今度も上手くいく大丈夫慎重に。


俺は待っている間に俺の目の前を村人が逃げる、俺はその村人と馬を走らす男の間に躍り出ると手を男に向ける。

 今度は御馬さんには掛けない、いくら必要だって言ってもかわいそうだからね。

 最初に掛けた御馬さんの苦しみ方が余りにもかわいそうだったので、掛けないことにした。


「ハバネロ先生を食らえ、そして後悔するがいい!」


いきなり出てきた俺に驚いた男が目を見開く、俺は目を見開かれた男の顔に真っ赤な液体を浴びせかける。


「ひぎゃーーーー!」


ハバネロ先生を顔に掛けられた男は手綱から手を離し顔を覆う。

 男はバランスを崩すと御馬さんの背中から転げ落ちる。

 ゴキリ!鈍い音を響かせ落ちた男の足が曲がっちゃいけない方向に曲がっていた。


男は痛みで転げまわり叫び声を上げる。

 俺は直ぐに男に近寄りさらに赤い液体を掛けまくった。

 少しすると、痛みで気を失ったので手早く残ってた手綱で縛りあげる。


今回は直ぐ気絶したな~、やっぱ傷口にハバネロ先生が入ったのが原因だよな、痛そうだ・・・でも自業自得だ同情なんてしてやらん。

 男を縛り上げていると逃げていた村人がこちらに近づいて来た。


「助けていただき、ありがとうございます、なんとお礼を言えばいいか・・・」


村人の男性が深々と頭を下げてお辞儀してきたので、俺はその人に聞いてみることにした。

 

「こんばんは、今村を襲ってる奴らは何ですか?それとそいつらって何人ぐらいいます?」


俺が村人に聞いてみた、村人の男は少し悩むように顎に手を置き直ぐに応えてくれた。


「今襲ってきている奴らは、この頃世間を騒がせているヤンロン盗賊団だと思います。

 後は人数なんですが少なくても10人以上は居るかと、どうも奴ら村人を村の中央の広場に集めてるみたいです」


村人の話を聞いて俺は悩んでしまった。

 もしその集められてる場所に突っ込んだら村人が人質にされるかも、そうなると厄介だな取り敢えずこの気を失った盗賊をこいつらの仲間に見つからない様にしないと。

 俺は取り敢えず村人に盗賊と馬を連れてさっき倒した盗賊と親子の所までいってもらうことにした。

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