アネモネ

 私はアネモネという花が好きだ。

 赤のアネモネも、白のアネモネも、紫のアネモネも、私は好きである。

 アネモネの花言葉は「儚い恋」。


 そして、紫のアネモネは「あなたを信じて待つ」。とてもロマンティックな花だが、それと同時に寂しい花でもあると思う。



 待つことは辛いことだ。



 例えば、遠距離恋愛。


 遠距離恋愛と言っても、距離は人それぞれ違う。同じ県だがお互い端と端という距離だったり、県が違ったり、はたまた国が違ったり。


 きっとそれぞれ、距離は違っても相手に対する気持ち、そして会いたいという気持ちは同じだろう。勿論、同じと言っても相手への想いは人それぞれだが。

 そして今、私は……。



 遠距離恋愛をしている。



 とは言え東京と神奈川。域だけで三時間かかるが、それでも会えない距離ではない。

 毎月彼が会いに来てくれるし、私も会いに行っている。


 きっとあと何年この関係が続いても、私は彼のことが好きだろう。

 いつか、彼と一緒に暮らす日が来るといいな。私はいつも考えている。

 早くてあと一年。


 それまでは離れた所から、彼のことを想っていようと思う。



 今日は彼と付き合って一年。

 私は彼への想いと今までの感謝を綴った手紙とともに、紫のアネモネの栞を便箋へと入れた。



 私はあなたを信じて待っているよ。



 伝わってほしいなと思いながら、便箋の封を閉じた。

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