第5話 不思議なものを発見!
依頼書などがズラリと
「話は終わったのか?」
「ええ」
「あいつらのポカーンとした顔、
ガイさんが注目したその内容を、ハルカさんはざっと読み、
「……いいんじゃない? 次はこれ行きましょう」
「そろそろ出発するわね。久しぶりにあなたたちに会えて嬉しかったわ。私たちは、更なる高みを目指すために、これからもどんどん突っ走っていくつもり。これから先、どんなことが待ち受けていようとも、とにかく前を向いて頑張る。私だけじゃないわ、あなたたちもね。2人の健闘を祈ってる。それではそれでは……またいつか」
「は、はいッ! あ、せめてお見送りを!」
立ち上がるハナ。なんだか、ハルカさんの
私は自分のペースで席を立つ。
ぞろぞろと5人で、ギルド出入口のドアをくぐる。
「行ってらっしゃいませー!」
「また、お話聞かせてくださいねー!」
私とハナが言葉をかけると、ハルカさんは小さく手を振り、
……あ、うっかりトレイを持ってきてしまっていた。ずっと持っいなくてもいいものなのに。
私は使用していたテーブルの上を片付けるべく、そのトレイの上に空のカップを
「はぁ〜。やっぱカッコいいな〜、ハルカさん」
すぐに、もうここにはいない人のことを思い出していた。
「うんうん。元々美人だけどさ、前よりも
「ズボラな私がしないような努力を、人知れずコツコツとやってたりして。1度手に入れたものをキープするのには、そういうのって大事じゃない?
ハナと談笑していると、受付カウンターの方から男性の声が飛んできた。ギルドマスターだ。
「ソラ、何してるんだ? 早くそれ持ってきてくれないか?」
呼ばれて私はハッとして、
「おっと、いけないいけない」
お
私の名はソラ。本名は
手をパッと離せばひとりでに閉じた状態に戻るタイプの木製の小さな扉を押し開けて、関係者以外は入れないスペースに入る。
程なくして、両手が自由になる。さて、これから何をしようかと思った時。私は、低い棚の中に見慣れないものを発見した。
「何コレ、凄い綺麗……。ねえねえ、コレってお父さんの?」
「ん? あぁ、それな」
私がギルドマスターをそう呼ぶのは、彼が私の実の父親だから。このギルドは私の家でもあるのだ。
お父さんは40代に足を踏み入れたばかり。中肉中背でそこそこ男前である。その彼が、書き物をしていた手を止めて、娘である私へと振り向いた。
「ついさっき、預かったんだ。持ってきた人によると、なんかその辺に落ちてたとか。こんなものが、その辺の石ころみたいに自然に転がってるとは考えにくい、絶対誰かが
彼が見せてくれた紙は『落とし物のお知らせ』と称していて、イラストと文章が書かれていた。だいたいできあがっていて、仕上がり次第、掲示板に貼るのだという。
「ふーん……」
それから私は、誰かさんの落とし物──透明な
「なになにー?」
そこへ、ハナがひょっこりと現れた。ちょうどよかったとばかりに、私は彼女に石を見せた。
「ふむふむ……」
上からも下からも
「コレは、ただの石ではありませんなぁ。
ハナは石を指でつついてみたり、おにぎりを作る時みたいにギュッと
「こういう珍しいものを見るとね、もっと深い所にまで入り込めたらって思うんだけど、無理だわ。まだまだ勉強が足りないねー私。なんかゴメンねー」
謝らなくてもよかったのだけれど謝り、ハナは石を私に返した。私は生温かいそれを、お父さんに渡した。
「いやはや……このテのものって本でしか見たことなくてね。その時はまぁ、今の自分には縁はないかなーって思って
「それはダメでしょ」
私は苦笑いを浮かべながら、お知らせの書かれた紙を掲示板の空いているスペースに貼る。それが済んだら、また適当に座って一息つく。
ハナによると、魔力を秘めた物体の効力を発揮させるためには、呪文を唱えるか、何か関連のある別のアイテムを用意するか、そのどちらかのパターンが多いらしい。あの石の場合はどうなのかなど、私たちが知っているわけないし、知ったところで、元々他人のものなのだから、どんなシロモノなのか確かめてみる(それも勝手に)というのも悪いだろう。何かあっても責任とれるかどうか……。
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