第2話 初戦闘
マンションを出る準備が整った。
玄関に出てドアノブに手を伸ばす。
「おっと。忘れてた。やっぱりこれがないとな――」
椅子の首の位置、そこにかかっているヘッドホン。
それもピンクの猫耳のかわいいやつだ。
それを手に取り、首にかける。
「それじゃあ行きますか」
今度こそ忘れ物はない。
それを確認して外に出る。
出て、すぐに敵がいないことに少し安堵する。
だが油断が命取りになる世界だ。
気持ちを入れ直すために深呼吸をする。
「いつでも戦えるように気持ちを切り替えなきゃな」
そんなことを思っていると隣の部屋から音がする。
まだ人が残っているのか。悠長な人もいるもんだな。
すると、隣の部屋の扉が開く。
ーーゴブリンだ。
ゲームで何度も見た生物が目の前にいる。
『ステータス』
ステータスを開くが相手からは見えてないようだ。
『鑑定』
『ステータス』
『魔物』
ゴブリン
『スキル』
ノーマル
攻撃上昇
嗅覚
ゴブリンはこっちを見て、よだれを垂らしながらにやりと笑う。
笑っている理由はすぐに分かった。俺が丸腰だからだ。
油断してくれているなら、まだ楽だな。
相手はこん棒のみ。スキルを確認しても明らかに雑魚だ。
ゆっくり近づいてくる。
目の前までやってきてこん棒を振り上げた。
だが、その攻撃は当たらない。
そりゃそうだ。こんなゆっくりした攻撃、かわすのは容易い。
その後、背後に出現させていた。アイテムボックスから包丁を取り出し、わき腹を刺す。
うろたえて倒れるゴブリン。そこに組み敷くように乗る。
そのまま、わき腹に刺した包丁を引き抜き、持ち直す。
「お前は俺の事、馬鹿にしてたのかもだが俺からすればお前が初めでラッキーだった」
その包丁で心臓を突き刺す。
「ありがとう。最初の相手が、お前みたいな、雑魚で助かった」
包丁を引き抜くと返り血を浴びたのでそれを袖で拭う。
「うわ。汚いな。洗って落ちるかな」
脳内で声が聞こえる。
レベルが上がりました。
短剣術Lv2
鑑定Lv2
「こんな簡単に上がるんだな」
『ステータス』
説明
戦闘経験や使った回数などで多少はLvの上がりやすさは上下します。
徐々に上がりにくくなります。後は戦闘に関係ないスキルは使う数も重要です。
「なるほど。だからか」
マッピング、もう一回使ってみるか。
でもいちいち声に出すの、めんどくさいな。
さっきの戦闘の時も、ステータス画面を開いたが、あれが無くなるなら相当楽だ。
「そうだ。マッピングの時に、脳内に地図が浮かんできたがあれがステータスとかでも出来れば――」
想像しろ。脳内にステータス画面があるイメージ。
脳内でステータスを唱えるイメージ。
『無詠唱』
を習得しました。
あっ。まったくやりたかった事と違うけど、唱えなくても使えるようになったかも。
試しに――
『マッピング』
出来た。まぁ結果的にラッキーだった。
マップを見ると、窓から見てた魔物たちはみんな複数体で行動していた。
「今のゴブリンは、本当にラッキーだったんだな」
とりあえずマンションを出よう。
そう思い、階段を駆け下りエントランスを出る。
そこで驚愕する。
昨日までは無かったコケや地面の割れ、たくさんの血の跡。
「この世界の変わりようはなんだ。さっきまでこんな荒廃した世界では無かったはず」
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