第1話 大災害

 東京にあるマンションの一室


 俺は白いパーカーをだらっと着てベッドで寝ていた。

 眠いのはいつもの事だが、今日は朝早く大学に非常勤講師で呼ばれていた。


 俺の名は大神おおがみ 紅郎くろう。黒髪で歳は20歳だが海外の大学を飛び級で卒業。

 その後、暇をしているところを頼まれて大学の非常勤講師をしている。


 非常勤講師も本当はそんなに朝早く行かなくていいのだが、授業の準備を忘れていたのだからしょうがない。


 そんなわけで寝ていると電話が鳴る。


「もしもし、誰ですかー? 今、忙しいです」


「私です、紅郎先輩。お久しぶりです。もしかして寝てましたか?」


 その声に飛び起きる。


「もしかしてアンか。どうした?」


 相手の女はアンジェラ・ターキッシュ。

 アメリカ人とトルコ人のハーフで俺が海外に行ってた時に出会った友人だ。


 頭は悪いし運動神経も普通で海外に居た時に勉強を教えてた。

 アン曰く、ある分野の英才教育を受けていて子供の時にそれしかやってこなかったから他がそんなに良くないと前に言っていた。

 まぁ、そんなわけで勉強を教えていたがその反動で今は真面目体質になった。


 俺が卒業した後は大学でよく分からん研究室に所属している。


「落ち着いて聞いてください。私達の学校で研究していた情報によると世界各地で同時に謎のエネルギーを突如感知しました」


 勢いよく言ったからかすごいせき込んでいる。

 だがそんなことよりも。


「はっ? お前、何言ってんの?」


「本当なんです。予測ではそろそろ世界に災害が・・・・・・」


「おい!」


 電話が切れている。

 充電はまだある。だが電波が届かない。


 その時、外が大きく揺れた。

 揺れの大きさに思わず息を呑む。


「……ッ。地震か。いや、あの話を信じるとするなら――」


 急いで窓際に走り、窓の外を見る。

 そこには逃げ惑う人々を化物たちが襲っている。


 化物に襲われている人の首が中華包丁めいた刃物で斬られ、地面に転がる。


 その光景を見て、思った。いや思ってしまった。


 最高だと。


 今までのつまらない日常からの脱却。


 人が死ぬのを最高だと言っているのではない。これが正しい人間の在り方――弱肉強食。


 俺は生きているのを実感した。


 そんなことを考えていると目の前に四角い画面が出てくる。

 ゲームをよくやる俺にはすぐに分かった。


 ――ステータス画面だ。


 画面にタッチしてくださいと表示される。


 それにタッチする。



『ステータス』

 スキルを選んでください

 ユニーク


 ノーマル(5)


 ノーマルの後に表記されている数字は初期に選べるスキルの数です。

 ユニークはその人のこの世界での適正に合わせて後々、自動的に1つ貰えます。

 ノーマルは適正に合わせて選べます。

 これはチュートリアルで初めにボーナスで選べますが普通は成長に合わせて貰えるものです。



「ノーマルだけ、初めに決められるのか。そして選べるのは最初だけと。なら最初に選ぶスキルは重要だな」


 ノーマルをタッチすると取得できるスキルが出てくる。


 体術

 鑑定

 隠蔽

 料理

 記憶力向上

 エンチャント

 アイテムボックス

 など


「なるほど。確かに。俺の経験がスキルになってるな。覚えのあるものが多い」


 体術は子供の時に道場に通っていた。


 料理は一人暮らしだから普通にする。


 必要なのは生存率を上げること。そしてある程度の攻撃力。外の魔物を見る感じ、生半可な攻撃は通らない。


「よし決めた。これにしよう」


『ステータス』

 スキル

 ユニーク


 ノーマル

 鑑定Lv1

 短剣術Lv1

 回復魔法Lv1

 マッピングLv1

 アイテムボックスLv1


 このスキルセットのポイントは生存力、情報、攻撃力。この3点だ。


 回復魔法は生存力。

 鑑定とマッピングは情報。

 短剣術は攻撃力。

 アイテムボックスは物を持ち歩く上で必須。


 隠蔽も欲しかったが今は無理だ。

 だができるだけ早く取得する。


 戦闘もやってみたいがその前にスキルだな。


「使い方は、えーっと。どうすればいいんだ」


 考えているとステータス画面の右下にOKマークがある。


 押してみるか。予想が正しければここを押すとスキルが使えるようになるんだろう。


 ステータス

 スキルが適用されました。

 スキルは声に出すか、この画面でスキルをタッチすると使えます。


「やっぱりか。スキルを1つずつ確認してみるか。いきなりで使い方が分からないなんて事になったらシャレにならん」


 まずはこれからだな


『マッピング』


 頭の中に地図が表示される感覚。

 さっき見た敵の場所まで性格に分かる。

 ただし、マッピングしてない所に出られると見えなくなる。


「後、今確認できそうなのはアイテムボックスくらいかな」


『アイテムボックス』


 そう唱えると目の前に黒いモヤが出てくる。


「この中にものを入れるってことか」


 試しに調理場にあった包丁と冷蔵庫にあった水道水のペットボトル。


 後はパンなどの食べ物と部屋にあったベッドや冷蔵庫、テーブルなど入れられるものはなんでも入れられた。


「容量に制限はないのはありがたい。ステータス画面を使えば中に何が入っているのかも分かる。まぁおおまかにだが」


『ステータス』

 アイテムボックス


 食べ物×10

 ペットボトル(水)×5

 テーブル

 ベッド

 冷蔵庫

 椅子

 勉強机

 包丁

 など


「そう言えば、外からしていた悲鳴が無くなったな」


 窓から外を見てみると1人も人が居なくなっていた。


「ずっと引きこもってられないし、そろそろ行くか」

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