世界最強の天才(ゲーマー)~魔物溢れる世界最高です~

瀬斗 結衣

プロローグ

 世界を襲った大災害


 ゲームの世界にだけ居たはずの魔物と呼ばれる生物が現代に溢れた。

 魔物たちは平和を謳歌していた人達にとっては充分な驚異となった。


 それから1ヶ月が経った。


 時間が経った今でもこの状況に対応出来た人は少ない。


 そんな中、俺たちは知識とチームワークを武器にこの世界を攻略してきた。


「兄貴、前と後ろから2体ずつ来ます。どうしますか?」


「うーん。後ろは俺が担当する。前は頼む」


「競走っすね。了解っす」


 兄貴と呼ばれた白のパーカーの黒髪の男とブレザーを着た赤髪の不良っぽい弟が言葉を交わす。

 その2人の格好や見た目におかしいところは無いがその2人が見つめる先、この世界に本来、いるはずのない生物が居た。


 見た目は子供くらいの身長に緑色の皮膚、手には棍棒を持っていた。


 ゲームとかではお馴染みだろう。ゴブリンだ。


 そのゴブリン達が4匹で囲み始める。


「兄貴、来ますよ」


 そう話しかけられると同時にゴブリン達が四方から襲いかかってきた。


 楽しそうに笑っている。


 ゴブリン達がでは無い。俺を兄貴と呼ぶこの男がだ。


 その歯を剥き出しにしたおそろしい笑いにゴブリン達も怯えている。


「どうした。来ねえならこっちから行くぞ」


 さっきまでニコニコしていた弟が暴走している。


 こいつ、囲まれてること忘れてんな。

 まぁいいか。こいつ、戦闘に関していえば俺より全然天才だしな


「こっちも始めますか」


 黒いモヤから包丁を取り出す。

 それを手に持ち、ゴブリンに突っ込んでいく。


 ゴブリンはその手に持った棍棒で殴りつけてくる。

 ゴブリンは力が強いので当たると結構痛いがこの攻撃速度だと当たる気がしない。


 ゴブリンの首を片手で掴み、包丁で掻っ切る。


 返り血を浴びる。臭いし、血で汚れるのは好きじゃない。


 殺すのは慣れたがこればっかりは何回やっても慣れないなー。

 残り3体は弟が相手をしているが余裕っぽいし、返り血浴びながら笑っている。


 正直慣れたが、少し怖い。


「おおーい。手伝おうか?」


 声をかけるといつもの笑顔に戻る。


「大丈夫っす。こいつらめっちゃ弱いので」


「楽しんでないで早く終わらせろよ」


 俺より、強いはずがこの悪癖があるせいで時間がかかる。


「兄貴を待たせるのも申し訳ないのですぐに終わらせますか」


 そう言うと手を握ったまま打ち合わせ、何かを言う。


『音魔法(衝撃付与)』


 そう言ってゴブリンの頭を殴りつける。するとゴブリンの頭が破裂する。

 その勢いで他2体も殴って破裂させる。


 戦いは終わり、こっちに歩いてくる。


「嫌っすね。血を浴びるの慣れないっす」


「お前、さっき楽しそうに浴びてたじゃん。好きじゃないの?」


「僕は戦闘が好きなんであって汚れるのはノーっす」


「そうなんすか。ほんとっすか?」


「真似っ子しないでっす」


 無線機が鳴る。おそらくもう1人の仲間からだ。

 基地にいるから近くにはいないが。


「もしもし、なんだ?」


「私だけど、帰り遅い・・・・・・」


「実はあいつがまた戦い楽しんで、時間かかった」


「伝言いい?」


「良いけど、何?」


「いい加減にしろ、戦闘バカって言っといて」


「分かった。すぐに戻るから待っててくれ」


 無線機を切る。


「おい。伝言頼まれた」


「なんて言ってました。先輩は」


 俺はそれを伝え、帰ったあと喧嘩になって止めるのが大変だった。


 今度からもっと早く止めるようにしよう。

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