第5話 皇女様と魔導人形と俺…みんな違ってみんな強い

「レセルク!起きなさいよ…今日は新しいパーティーの子を呼んだんだから!」


皇女様は俺の頬をつねりながら、そう大きな声で言い俺を起こす。

なんだろうか…起こし方が可愛いし、頬を膨らませながら起こしてくれるとか天使級だと思ってしまう。

うん、この生活の方が前よりよっぽどいいや。




勇者パーティーの時は攻撃魔法で起こされたり、剣で刺そうとしながら起こしてきたりされたからなぁ…今がすごくホワイトになったので嬉しい。


それにしてもどうやってこんな早くに呼んだのかが気になる…つてか従者を使ったのかわからないが相当自信に満ち溢れていた。


自信満々のところも可愛らしい…これなら毎日見ても飽きないし、ごはん50杯は余裕で食える。






「はい!朝ごはんはサンドウィッチね。早く食べちゃってよ、もう少しで来ちゃうんだから…」


皇女様は俺にそう言いながら、自身もサンドウィッチを食べ進めていた。頬張っている姿もいいなぁ…なんだろう、あのパーティーに独占されていた時に比べればすごく楽しい。


そしてエプロン姿なのだ、そりゃ萌えて可愛いだろう。







「いただきます。うん…いやぁハナ皇女は料理が上手ですね、毎日食べても飽きない。」


俺はすごく美味しいので言葉で表せないものをなんとか感想を述べる。


ちなみにレタスと昨日こっそり教えて貰ったマヨネーズと言うものが、

凄くあっていてとてつもなく美味しい。








「えへへ…そう、かなぁ?もっと褒めてくれたっていいのよ?」


皇女様は照れながら、もっと褒めてくれと俺に言う。うん…可愛すぎるよ、このままだったら皇帝両陛下の思惑通りになってしまいそうだな。


もっと褒めてあげたいし、どうせなら撫でてもいいくらいだ。



「それはそうと私のためにありがとうございます。ちなみにどうやって呼んだのですか?」


俺は気になっていた事を聞いた。

確か皇女様も昨日は早く就寝なさっていたはずだ、呼びに行っているのであれば大体、魔力の動きや足音、気配で気づくはず。

俺がそのことに気づいていないとなると、隠し出口とかから出た?




「いやぁ…呼んだと言うか、もともといたと言うか…」


皇女様はなんか変わった事をおっしゃった。

元々いた…だと俺が魔力反応を感知できなかったとなると、なかなかの強者という事だ。誰だろうか?


俺の魔力反応は大体の人に反応するのに、反応しないとはやるな。





「百聞は一見にしかずよ!出てきてマーリン改!」


皇女様はそう大きな声で呼ぶと大きなカラクリ人形…?らしきものが奥から出てきた。だが、魔力量は異常な程に高い。

皇女様と同じくらいかな、もしかしたら【勇者】を越えてしまうくらいの魔力量かもしれない。


そんな魔力を堂々と室内でカラクリ人形らしきものは放っていた。



「えぇと…この方は誰でしょうか…?」



「マーリン改こと、魔導人形α型よ。なかなか強いし弓が得意な子よ、多分戦闘用に作られていた子だと思う。」


皇女様は意外な事をおっしゃった。

魔導人形は今から200年前まで作られていた、いわば魔王の手下と象徴されていたものである。となればなかなかの実力のはず。


というか、一般人や皇族でも持つべき物では無い。





「ご主人様…自己紹介はそれくらいでいいですよ。レオルク様、私の事はマーリンとお呼びください。」


マーリンは俺に対してそう言った。皇女様ってすごいな…俺でも見た事ないもの作ったり、持ってたりするもんなぁ。




「マーリン、一回外に出てこの弓を使って見てくれるか?」


俺はそう言いながらスキル【宝具生成】を使用、そして弓の宝具を丁寧に作り出す。

その様は魔法【造者】を使用している人と変わらない。


そして【神聖兵器弓 オウレア】は俺の手によって作られた。


どうやら魔力によるコストは0…俺が信頼しているからだろうか…?




外には海が見えるテラスがあったのでそこで弓を使って練習することになった。


「こんなものを使ってもよろしいのでしょうか?」


マーリンは俺に対してそう言った、どうやらこの【神聖兵器弓 オウレア】の魔力がすごい多いと気づいたのだろう。


確かにこの弓は普通の人の魔力、2000人分が込められていて使うとどうなるかわからないくらいの代物だ。


下手したら国一つを消滅させることもできないわけでは無いだろう。


「あぁ…遠慮なく使ってくれ。」


「では…やぁっ!」


マーリンがそう言って弓の弦を勢いよく引っ張った瞬間、光が溢れ始めた。魔力が漏れているらしい、よっぽどこの弓とマーリンがあっているのだろう。


そして放たれた矢は海を真っ二つにしながら今もなお進んでいた。

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