第4話 皇女様に別荘で同居しようと言われました。そして手料理を作ってくれました。

「で…ここはどこでしょうか?」


俺は立派なお城の前に居た…だがこの城は見た事がない。各国を勇者たちと一緒に旅してきて、皇国も5回は来たはずなのに見た事がない。

海辺近くに作られたその城は芸術的だと言っても過言では無い



「それは…ここが私専用の別荘だからです。」


ハナは照れているのか俯きながらそう言った。

何故照れているのかはわからないが、何か理由でもあるのだろう。



「へぇ…で何故こんなところに私を?」



「それは…私のものになったからにはここで同居生活を送るからです!」


ハナは俺に大きな声で照れながら、そう言った。俺が皇女様と…ど、同居!?まぁ…独占されちゃったし、いいか。

勇者パーティーに独占されていたときより楽しそうだし。



「分かりました。でもまだパーティーとして活動していきたい気持ちもあって。」


俺はここで本心を明かすことにした、まだ本当は魔王討伐という大きな夢を諦め切れていないことを…。そしてあんな悲しいことを誰にも味合わせないと誓ったことを。



「ん、ならば私もパーティに入ります。そしていい仲間を見つけて悲願の夢を達成させましょう!」


皇女様は頼もしい事を俺に言った、こうして俺には皇女様と言う頼もしい味方が出来た…しばらくは2人だが、やがて魔王討伐が近づくにつれ増えていくだろう。



「ありがとうございます…でも、皇女様って戦えるのでしょうか?」


俺は一つ不安に思った事を皇女様に聞いてみた。魔王の配下である下位魔族は俺1人でもなんとかなるが、上位魔族となればそれは別だし魔族卿…つまり幹部クラスとなれば強くないと対等の立場につけないからだ。





「むっ…もちろん強いですよ!私は魔法専門ですけど、魔法の出来とかでは【大魔法士】以上に強いんですから。」


皇女様は拗ねながら俺に向かって【大魔法士】に対抗できるどころか、それ以上の強さだと言った。どうせなら…皇女様を入れた方が早めに魔王を討伐できたのではないだろうか。


あと拗ねたのが可愛すぎる…こんな子と過ごせるとか【勇者】パーティーよりすごく比べ物にならないほどホワイトだ。
















「親からは…早めに結婚までしちゃっていいのよ。とか、同居してあんなこととかこんなことするのよって言われましたけどね。」


皇女様は料理をしながら皇帝両陛下からの伝言の内容を教えてくださった。噂には聞いていたが、やはり皇帝両陛下って親バカでは?



「どうせ…同居するなら我が国の料理を味わって、くださればいいかと思っております。」


そう言いながら皇女様は手料理を作ってくれていた。うん、エプロン姿良いね…似合うよ。あとこの匂いなんだ?調味料は知り尽くしていたつもりだったが世界はまだ広いらしい。


「できました…!オウセットフニアです。肉と魚両方をオニオンで味付けしたものです。」


皇女様は綺麗にお皿に丁寧に守られた魚、肉両方を使った料理を持ってきたくださった。



「いただきます!んっ…美味しい、カレー粉を肉に染み込ませてあるのか…こっちはあれか出しをうまく取っていて…____」


俺は感想を10分近く話してしまったが、皇女様は大変満足しながら一緒にご飯を食べていた。なんだろう…この状況ずっと続いて欲しい、そう思いながら俺はご飯を食べ進めた。

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