4.設定を決めよう(4)





場所はあなたの部屋。

革のビキニアーマーを着て、あなたのワイシャツを羽織った美少女,メイ。長い髪の毛がエアコンの風に揺れている。

この美少女メイが、があなたを見つめている。

そして彼女は「姫だけじゃなくてハーレムだっていいんだから。」と告げる。


あなたは「ハーレム」という単語に反応する。

「ハーレム?モテモテになれるの?」

「それもあなた次第ね。勇者は冒険者となり、世界をめぐりながら仲間を集めてパーティを作り、強くなっていく。パーティメンバーを女性に限ってしまえばハーレムの出来上がりよ。」

「もしかして、あんなことこんなことしても…」

メイはいたずらっぽく答える「それもあなた次第よ:

よーし、突然やる気出てきた。

「あ、でも表現するのは自制してね。18禁は私には手に負えないから。そっちはそっちで別のお約束もあるし、表現するための単語もいろいろ違うから。」

「何、単語って?」

「まあ、たとえば濡れ方とか喘ぎ声とか…何言わせるの。とにかくそっちやるのは闇堕ち、って言って…」

「そんな忌まわしいことなのかな。」


「そうじゃなくて、しっかり入り口を分けておいて、好きな人だけアクセスできるようにしとくの。そうじゃないと消されるよ。」」

「なにそれこわい」



「というわけで」と、何事もなかったのようにメイは続ける。美少女はふんぞり返っても美少女だ。


「ハーレムを作りたければ、パーティメンバーを女性にする、というのが王道ね。まあ、その辺の展開はあとから説明するつもりだけど。成長物語に出会いをくっつけていくのが王道ね。」

ふむふむ。

修業の旅先で運命の出会い、みたいなのもいいな。


「あとは、金とか権力を利用して奴隷を買って調教、じゃなかった教育するパターンもあるけどね。」

おお!奴隷か。おお奴隷・ヘップバーンとか言っても意味わからんな。


「奴隷を買うなら、お金がかかりそうだね。その前にどうやって稼いだらいいんだろう?」とあなたはメイに問いかける。


メイは首を横に振る。「安い奴隷でいいのよ。訳ありだとか病気だとかで二束三文で買うの。そうしてその奴隷を魔術か薬かなんかで全快させたら、あなたは命の恩人。もう好きにして!ってなっても不思議ないよね。」


ご主人様、感謝の気持ちを込めて私を…なんてパターンか。これいいなあ。ぐふふふ…。


メイは冷たい目で睨む。

「何それ、気持ち悪い。どうせならデュフフフ、でしょ。」:


あなたにはぐふふとデュフフの違いがわからない。ついでにデュラララとの違いはわかる。たぶん。


メイは続ける。「一般的に好感を持たれたいなら、普通に出会って成長していくほうがいいわね。そのほうがハーレムの展開もしやすいし。もちろん、詩に掛けた奴隷の命を救って病気を治してあげるのも王道だけど。」


まあ、モテるならそのへんのプロセスはどうでもいいかな。そんな風にいい加減なところが、モテない理由なのかもしれないが。


メイは続ける。

「ハーレムはおいておくとして、召喚されたら、その後どうするか、だったよね。

召喚されたら、王とか姫の命を受けて、魔王討伐に行く、というのが全体のストーリーになると思うけど、そこでスムーズに行くと面白くないから、そこですったもんだあるようにする形式もあるよ。」


「僕としてはうまくいかないのは面白くないけど、読者にとってはトラブルがあるほうが面白い、ってことだよね。それはわかるよ。どんな形にするのが自然かなあ?」

あなたは読者サービスを考える。


メイ「たとえば『お前は勇者ではない、出ていけ』といわれて追い出されたりとか、寝ているときにいきなり寝込みを襲われるとか、毒をもられるとかいろいろパターンはあるよ。」

「下手すると死んじゃうよね!わざわざ召喚しておいてその仕打ちはないんじゃない!」あなたは驚いて言う。だが実際にこういうのもテンプレにあるらしい。

メイは言う。「とりあえず死ななければいいじゃない。生きていればきっとどんなニートにだって朝は来るし。」


なぜか目から水が出てくる。あなたは涙をティッシュでぬぐい。続きを聞く。


「あなたは国を救うために勇者として召喚されるけど、その召喚には普通反対する勢力もあるのよ。これもテンプレというかお約束っぽいけど。」


「勇者を召喚されたら困る人がいるってこと?それおかしいよね。」


メイ「ちょっと考えればわかるじゃない。勇者が召喚されて困るのはだれ?」

「そりゃ魔王でしょ。勇者が呼ばれるのは魔王を倒すためなんだから。」


メイ「だったらわかりやすいよね。魔王の手先が王宮にいるってことよね。王様が実は魔族に操られてたり、魔族が王様を殺してなり替わってるケースも考えられるよね。」

なにそれこわい。



「王族は召喚したくても、大臣や宰相が何かと理由をつけて反対し続けていたケースもある。」

なるほど。そうやって考えるのか。ならこれもあるかな。お金かかるからやめとけ、とか近衛兵で間に合う、とか理由はありそうだな。


あなたは考える。

「あ、それならこんなのはどうだろう。市の承認、じゃなくて死の商人。武器とか売りつけてるから平和になると困る、とか食料買い占めてるとかね。」


メイはあなたを見た。「意外にいい線行ってるじゃない。センス悪くないよ。センスが悪いやつが船に乗ると、沈んじゃうからね。」


あなたは戸惑う。「なぜ、沈むの?」


メイは答える。

「だって、センスいかん、でしょ。沈むよ」



しら~っとした空気が流れる。



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