第135話 動き始める改革
―ルーナ視点―
私たちは知事室で書類仕事を進めている。
議会も終わった。予算も承認されていよいよ私たちの計画を阻害するものはなくなったわ。ここから私たちの計画を推し進めていかなければいけない。
議会も多数党を抑えた私たちは、完全にコルテス家を中心とした保守派たちを抑え込んだ。
「ルーナ知事。こちらが教育改革にともなって新たに採用しなくてはいけない人数の予定です。学校は地域にある建物を流用することで対処したいので、候補地リストも現在策定中です」
クリス副知事が中心となって、来年度に向けた準備を進めてくれる。
私たちのタイムスケジュール的には、来年にはバルセロク地方の6割の地点で新しい学校を開き、身分に関係なく教育を受けることができるようにするわ。
準備予算は今回の議会で承認された。半年後の議会では具体的な法案を成立させなくちゃいけないわ。
問題は農村ね。
農村では子供たちが貴重な労働力となっているわ。それは私の実体験でもよくわかる。
反発されてしまえば、教育改革はとん挫する。
だからこそ、農村でどうやって教育を行うかが一番重要よ。都市部よりも、農村の方が数も多いしね。
今考えているのは2つの案。
ひとつ目は、農耕期の春と秋に長期休みを設定して、夏と冬を中心に授業をおこなう案。これなら、農家の人たちの反発も最小限で対応できるはずよ。
もうひとつは、夜間の授業も選択で受けることができるようにする案。こちらは、教師の負担が大きくなってしまうのが難点だけど……
そこは人員を多く投入したりしてカバーしなくてはいけないわよね。
教師と言うのもなかなか難しい。聖職者さんたちや貴族の子弟たちにお願いしなくてはいけないわ。
貴族の子弟とはいっても、
お家騒動の種にならないように、結婚も許されずに
彼らはあまり自分を特権階級だという意識もないわ。むしろ、現体制に不満を持っているケースも多い。
だから、彼らに協力してもらってまずはバルセロク地方からこの国を変えていくわ。
主流になれなかった貴族たちからの支持も獲得できれば……
この国を動かすことだってできるわ。
この教育改革を保守党は軽視していたけど……
実は、これがこの国に革命を起こすための序曲。
そして、序曲は奏でられつつあるわ。
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