第44話 選挙へ
フリオ閣下は、自由党の結成案をまとめてくれた。
アレン様も結党メンバーに入ってくれたのでかなり豪華なメンバーになったわ。
フリオ様は、反保守党の大物も味方に加えていてくれたからね。
まだ、味方は少数だけど私たちが活躍すれば地滑り的に数が増えていくはずよ。政治家たちはそういう空気に敏感だから。勝ち馬に乗りたいという気持ちをくすぐってムーブメントを作るのよ。その第一弾が私が出馬するバルセロク地方の知事選。
負けるわけにはいかないのよ。
「では、党幹部はこれでいこうと思う」
フリオ閣下はそう言って私たちに人事表を披露した。
(自由党3役案)
総裁:フリオ=ルイス伯爵(元・文部大臣)
幹事長:フェルナンド=エンリケス子爵(元・庶民党幹事長)
政調会長:アラゴン=レオン男爵(元・国民党副代表)
総務局長:アレン=グレイシア予備役大佐(元・近衛騎士団副団長。
フリオ閣下が反保守党の有力者を集めた形ね。
3役は議会にも議席を有する権利を持つ人たちで固めたわ。
アレン様も近衛騎士団での活躍が認められて宰相様から推薦されて元老院議員になることが決まったから、自由党の議席は今のところ4席ね。フリオ様が知事選に出馬したら元老院の議席を失う規定だったから実は得をした部分もあるの。
元老院の総議席は473。全体の1%くらいしか議席を保有していないけど、まずはここから。
ちなみに幹事長は総裁の補佐をおこなう党ナンバー2。
政調会長は立法関係の担当者。
総務局長は党内人事や各種調整を担当するわ。
ただ、幹事長と政調会長は反・保守党という理念だけで集まった大物政治家。つまり、あんまり信用できないわ。隙あらば党の権力を掌握しようとしてくるだろうし。
だから、フリオ様は総務局長にアレン様をおいて、騎士団
腹黒いふたりのベテランをうまく使いながら実権はフリオ閣下とアレン様が握る。
頼りになるふたりだから大丈夫ね。
そして、私は……
バルセロク地方支部長に就任したわ。
最初は3役も打診されたんだけど、私は貴族の身分も失った女。アレン様の婚約者ではあるけど、それをひけらかすのも良くないわ。
だから、知事選に集中するためにも支部長になって地盤を固めることにしたわ。
クリス男爵はアレン陣営に形だけは残っているから裏で私を支えてくれる。
本屋さんが副支部長になってくれたわ。
これで形式的には党の形が作れた。
『クロニカル叙事詩』の出版も来週には印刷ができるわ。
すべてがうまくいっている。
あとは3か月後の選挙に勝つだけね。
―――
(ご連絡)
今週の更新分から毎週木曜日をお休みさせていただきます。
よろしくお願いしますm(__)m
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